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20120219_000.JPG神保町の南洋堂書店で開催されていた「スリバチカフェ」にお邪魔してきた。

洋泉社から刊行された『凹凸を楽しむ東京「スリバチ」地形散歩』(皆川典久著)の刊行記念で、東京の「スリバチ」を見ながら皆川さん(上写真の後ろ姿の男性)とお話をしましょう…というイベントだ。私は皆川さんにお目にかかるのは初めてなので、ご挨拶申し上げた。

会場には『東京の微地形展』で展示されていた、5mメッシュ標高データを元にした東京の地形図(高さ8倍強に強調)、やはり5mメッシュを使用した関東の地形図を大きなボードにしたものなどが展示され、話の糸口がつかみやすいようになっていた。常に10人以上の人で満杯、なかなかお話ができなかったのは嬉しい誤算だろう。用意してあった100冊の本はすべて売れてしまったとのことだ。

地形図は、石川初さんが制作したもの。20120219_001.JPG
ここでしか見られない特大の目次。5mメッシュに地形図を貼り込んである。

個人的にはここがツボ。
20120219_002.JPG川越街道が環八に向けて左に曲がる、あそこである。あえて書き足さないが、下記の写真の左端の中央付近の五叉路が和光陸橋である。

池袋方から走ってきた川越街道は、成増を過ぎると堀割になる。そして、左に急カーブして急勾配を登り、環八にぶつかる。その堀割は、「成増台」から白子川まで降りるものであり、急勾配は「朝霞台」に登るものである。現代なら、こんな堀割と急カーブ、急勾配を避けるために、白子川の谷は高架で突っ切るに違いない。R246がそうであるように。

この場所は私にはわりと身近なところだ。こうした本は、「自分に身近なところ」が出ているかどうかで、本へのシンパシーが大きく変わってくる。いや、それで価値が増減するものではないのだけれど、心情的にはそういうものだ。本書には、こうした「スリバチ」が15エリア、豊富な地図やイラストとともに解説されている。

20120219_r002.JPG装丁もすてきだ。カバーは、こうしたことに関心を持つ人なら一目でわかる「都心の谷」。そこに、タイトルがシアンで刷られ、浮き上がっている。これはUV厚盛りニスという加工。私なら、少しでも価格を下げるために泣いてしまう(やめてしまう)かもしれない。定価に反映すると○○円くらいに相当するのだ。また、見返しも本体表紙への糊付けがされていない挟みっぱなしのタイプ。

20120219_r003.JPG通常、私はサインをもらわないのだけれど、せっかくこういう機会なのだから、サインを入れていただいた。いいですねえ、「谷へ出よう」。山じゃない。谷。

会場では、バドンさんによる「スリバッジ」が配布され、また「スリバチてぬぐい」が販売されていた。茶色をひとつ所望。


さて、本題というか。

上に貼った、地形のみの地図。標高別に色分けすることを「段彩」というが、段彩次第で地図は表情を変える。私が今回思ったのが、「低地を基準に段彩を施すと、地図が違って見える」ということだ。別に目の錯覚でもなんでもなく、「何を見せようとしているか」で見え方が変わってくるだけの話だが、私はこれを面白いと思う。上記の地図や本書に使われているものに近い、石川さんが設定した「5mメッシュスペシャル」と、私が設定した「緑グラデーション」で比較してみよう。(すべてカシミール3Dと、解説本付属の20万地図+50mメッシュ標高データを使用)

20120219_b50.jpg.jpgこの描き方だと、川が山を浸食しながら流れていく様がよくわかる。また、高崎付近まで「海が入り込んでいる」というように見える。

20120219_g50.jpg一方、この描き方だと、山岳地帯(急斜面が多い)と平野部との差がよくわかる。

20万地図を貼り込んだものだとこうなる。

20120219_b20.jpg20120219_g20.jpgカシミール3Dを使えば、段彩も自由に、簡単に設定できる。こうした遊びをしながら、地形を楽しんでいると、あっという間に時間が経ってしまうから恐ろしい。


残念ながら、このスリバチカフェは2日間限りのイベントだったが、どうやら「無地」の微地形模型に、いろいろな要素を投影する企画が進んでいるようだ。またお邪魔する機会があると思う。楽しみだ。
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