三笠鉄道記念館は、すてきなところだ。欲を言えば、もっと近づいたり触ったり上ったりしたいのだが、それは仕方ないか。
ソ80形81である。古くからTOMYTECからNゲージの鉄道模型が発売されている。 この手の事業用車両は、製造ロットによって、配置地区によって大きな差異があるのが常である。ソ81以外をみたことはないので、ソ81の特徴なのかどうかはわからないのだが、興味を覚えた機械的な可動部分を紹介する。 まず、走行装置。3軸台車を2組備える。機器室内のディーゼル発電機を搭載し(エンジンはDMH17型)、モーターでブームやワイヤーを操作する。その電力で、台車に架装したモーターで自走もできる。3軸台車の左端と中央の車輪の間に歯車が見える。これが、自走用の歯車だろう。後端(画像右端)にはアウトリガが見える。 キャブ後部。キャブの旋回には、小さな歯車を、走行装置上部の大きな歯車の外周を走らせることで行う。写真中央部にある小さな歯車がソレだ。 キャブ前部には、このように四つの走行輪が備えられている。その左右にターンバックルがあるが、これは移動時にキャブが旋回しないようにするための固定具。2枚上の台車内の歯車を見せた写真を見ると、後端にもターンバックルが見える。 真横からキャブの走行輪を見る。 台枠および台車の前部のアップ。ここが大変に興味深い。 赤い丸の部分はそれぞれの可動部分が不意に動かないようにロックするためのピンが刺さっている。 右側のピンを抜くとアウトリガを下げることができるようになる。ハンドル(棒)を回転させると、ジャッキの要領でアウトリガが地面のほうに伸びていく。また、アウトリガ自体は線路の外側に開く構造。写真には写っていないが、確か、勝手に外側に開かないようにロック機構があった気がする。 左側のピンを抜くと、レールをつかむクランプを動かすことができる。写真ではペンチのようなクランプ先端が上を向いているが、これを180度回転させて地面に向け、上部に飛び出したハンドルを回転してクランプをレール面に落とす。そこから引き上げると、自然にクランプがレールをつかみ、転動防止となる。これは前後左右の四ヶ所にある。 ほか、ブレーキパイプの取り回しと連結器部分のブレーキホースへの接続、軸バネ(板バネ)とその固定、それらの破損防止ガードなど、ひとつひとつの部品が必ず役割を持って存在している。過剰と思えるほど他の部品を守っていたりするのだが、これは、こうした労働環境では必須のものなのだろう。 * * *
事業用車は趣味的にかなり厳しい部分だが、とりわけ貨車、なかでも操重車の暗黒っぷりは一番かもしれない。趣味誌に諸元などが載ったことはほとんどなく、ディーゼルエンジンがどういう形で載っているのか、その制御板はどうなっているのか、走り装置はどうなっているのか、そういったことは一切わからない。ましてや蒸気機関を積んでいた時代のことなど知る由もない。RMライブラリーで、操重車を特集してもらえないだろうか。 PR |
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