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道路左側に見えた水管橋。いろいろ惹かれる…。よく見ればすぐ下(向こう)に道路橋があり、水管橋はそれよりも上にある。そして、高さの低いプレートガーダーである。


あまりプレートガーダーという気がしない。寸法は測っていないけれど、たぶん定型のI型鋼であって「プレート」ではなさそう。だが、それがいい。

根元はコンクリート製の用水路。上から見るとおもしろい。

直径20cmばかりの水管に、ここまでの橋がいるのだろうかと思わなくもない。アーチ水管橋(水管そのものがアーチ)ならばアーチのみでいけそうな径間。かたつむりがくっついてた。

端部で下を向いていた水管は道路の下をくぐり、反対側に水を噴き出していた。まさにサイフォンの原理。

道路よりも高い位置にある水田に水を供給できる高さに吹き出ている。しかし、そのすべては用水路に流れていく。

とはいえ、この水管橋は道路をくぐるためというよりも、冒頭写真のように川を跨ぐために作られたのだろうな。その延長でついでに道路もくぐった。そんな風に見える。




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津和野・奥ヶ野という地形で見た「奥ヶ野」に至る津和野側手前、長福という小盆地から東に行くと、日原に出る。その途中にある小さな隧道だ。

慎ましい、逆U字型のアーチとコンクリート製の坑門。わずかに笠石を模した装飾があるのみ。


扁額があるのは嬉しい。風化しているが右から「砥石隧」まではかろうじて読める。おそらく左端は「道」だろう。

抜けて、日原側。

こちらは扁額はない。落下したか、外されたか。ここにワイヤーが突き刺さっているのが、なんとも痛々しい。

その手前には「県道」の道路標示。これは、写真右(北)に分岐があるためだが、いま改めて地図を見ると、そちらのほうは県道のショートカットルートになっている。標高差80mほどを丁寧に降りる県道と、ショートカットする細い道。現地では地図をちゃんと見ていなかったのだが、ショートカットルートも行ってみればよかった。



大きな地図で見る
歴史的鋼橋集覧では「曲弦ワーレントラス」となっているが、ボーストリングトラスとの境ははなはだ曖昧な気がしてきた。どちらも部材の受け持つ力は変わらないはずだ。

松室大橋。「大橋」と名がつくが、現在の目から見ればごく小さな橋。国道434号から見下ろすと、対岸の中国電力錦川第一発電所のためかな…などとも思ってしまう。発電開始は大正13年。

東側から。手前に2スパンのI型桁(歴史的鋼橋集覧による)がある。左端、黄色いガードレールが山口県であることを物語る。

トラスはとても背が低く感じる。トラスは「柵」ではないのだが、端部はなんとなく不安にナル。

西側。銘板もある。

大正九年十一月
日本橋梁株式会社製作
大阪

銘板の周囲の黒い部分は、錆び。錆で1cm以上、銘板が浮き上がっている。クラックも錆で押し上げられたせいだろう。このまま行けば、いずれ、錆が原因で銘板が破損し、錦川に落下するに違いない。

垂直材は1パネルごとについている。

東側の端柱に塗装標記があった。

塗装年月 1992年3月
エポキシ樹脂錆止め 下塗り ハイポン20デクロ1回 
塩化ゴム系樹脂   中塗 ハイラバーEスーパー1回
塩化ゴム系樹脂   上塗 ハイラバーEスーパー1回
塗料会社名 日本ペイント株式会社
施工者   佐原塗装
塗装面積  598m^2

それにしても、塗装の落ち方だ。


写真の右に小さく木谷原橋が写っている。この左側の道がかつての国道434号で、現在は岩国市道だろうか。とにかく先に通行止めのゲートがある。その先、左カーブの向こうには、予想通りの隧道がある。

ここのバス停はあるが、「町営バス」と書いてある。2006年まで存在した錦町営ということだ。後継のバスはあるが、おそらくここは通っていない。なにしろ隧道が通行止めなのだ。…ではなく、無人の隘路をわざわざ通らなくても、新しいバイパスが天空を走っている。

この雰囲気。たいてい、左カーブのあたりまでいくと、風がビュウビュウ吹いているものだ。

鳥越隧道の東側坑口。すみません、カメラが傾いています。

立派な扁額。ただし、扁額ごと坑門にひびが入り、それを補修した跡がある。また、スパンドレルには枯れ草ワイパーの跡がある。

隧道内、腰の位置には金属の帯がある。そして、坑門から1~2mのところは隧道内部を円周方向に鉄板で補強している。これはおそらく、地山の重みで坑門が前(道路側)にせり出し、その煽りで坑門から1~2m付近で円柱方向に亀裂が生じたのを補修したものだろう。

隧道は通行止めなのに、内部は電灯がついている。

このときはなんとなく向こう側へは行かなかった。いま思えば行っておけばよかったと思う。もしかしたら、鳥越隧道はこのまま廃止、閉塞されるかもしれないのだ。


書名はこうだが、内容は「キハ04・キハ07は、いかにひどい設計だったか。それを引きずった国鉄ディーゼル一家的中華思想が刻み続けた罪」といったものだ。

国鉄のディーゼル機関の劣等ぶりはディーゼル機関車・気動車を機械的な方面から好きな人たちには知られてはいる。しかし、いまでも、主としてイメージでしかものごとをとらえない人々がDMH17を「名エンジン」と書き連ね、鉄道趣味誌はそれを搭載した車両を「名車両」として持ち上げる。車両に対するノスタルジックな感情と、その性能の評価は分けて考えねばならない。人の性格のよさと仕事のできる/できないを分けて考えなければいけないように。



内容は極めてシンプル。鉄道車両としての鉄道省ガソリン動車、とりわけキハ41000、キハ42000がいかにダメなものだったかを、その機械、機構、運転面から検証していく。そして、死者192名を出した1940年1月29日の西成線(現・桜島線)安治川口駅での脱線転覆炎上事故に至るまでを説いていく。

この西成線の事故は、戦後の三大事故(桜木町・三河島・鶴見)に比べて語られることが少ない。単にキハ07が転轍機操作のミスで転倒して炎上した、くらいの知識しかない人が大半であろう。しかし、転覆した時点では、停止寸前だった…と聞いたら「低速度でゴロリと横転したとしたら、それくらいで炎上するのか?」とも思うだろう。本書は、それを丁寧に検証する。

要は、暴れた推進軸が、その横にあった燃料タンクを直撃して厚さ3mmの鋼鈑に穴を開け、そこからガソリンが流出した…というものである。それは当時の調査でも明らかになっているのだが、なぜか「定員の3倍」すなわち15~20トンほどの荷重増の状態だったにもかかわらず、枕バネが無荷重の状態で検証されてたりということも明らかになる。

これを、燃料タンクの位置がそこにあるから悪い……すなわちフェールセーフになっていない、という指摘をする。それでも車両としてシリーズで100両以上にもなってしまったことに、国鉄の硬直した組織、思考が現れていると見る。事故は、そうしたことの積み重ねで起きるべくして起きた…と見る。



なにしろキハ07は試運転の段階で自在継ぎ手切断による推進軸破損(車内への飛び込み)ということを起こしているのである。『キハ07ものがたり(上)』(岡田誠一著/RMライブラリー)によれば、それに対して、島秀雄は「設計に間違いはない、精度が悪いからだ」といって北畠顕正(国鉄ディーゼル車史をいまあるようにしてしまった一人)の望んだ設計変更を認めず、やむなく自在継ぎ手が破損しても推進軸が地面に垂れ下がらないような枠をこっそり「振れ止め」なる名称で取り付けたほどである。「振れ止め」は後述の動画の左端の枠がそれだと思う。

こうした国鉄の硬直した思考を、最終章では陸軍統制発動機の設計・運用思想等との比較を元に、徹底的に批判する。なにしろ見出しが「歴史の歪曲を許してはならない」である。『鉄道技術発達史IV』における機械式気動車の重連運転についての記述「非常に好評を博した」という記述を唾棄すべきものと断罪している。「尊大かつ醜悪な国鉄ディーゼル一家的中華思想には…吐き気を催す」とまで書いている。そして、私はそれに首肯する。JR九州元社長・石井幸孝氏も、当初はこのあたりはおそらく自身も思うところがあったのかお茶を濁していたのだが、最近は国鉄マンセーになってしまった。残念である。

国鉄型の気動車が持つノスタルジックな魅力はわかる。しかし、その床下には、こうした黒歴史が塗り込められていることを、鉄道ファンは知っておくべきだと思う。



最後に。
片上鉄道保存会による貴重なキハ41000の同型車、キハ312の推進軸。製造時はGMF13+機械式だったが、現在はDMF13+液体式である。画面左の四角い枠がおそらく「振れ止め」。右が動台車。クラッチを切ってあると思うのだが、推進軸はごくわずかに回転している。






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