現在は「9電力体制」になっている日本の電力会社は、戦時中に国策で統合されるまではかなりの乱立状態で、事業としても不安定な要素を含むものだった。そのなかで、異様な情熱を持ったカリスマたちが着々と勢力と権力を強め、日本を仕切っていく。そうした電力史を人物の面から、主として好意的に描いたのが本書だ。 それぞれがどういう人物か、生まれから育ち、職に就いてからの師弟関係などが、その人物の性格とともに、それぞれ細かに述べられている。そういう書き方だから、多少は色がついているだろうし、客観的事実を読み取ることの妨げになるかもしれない。それでも、こうしたことを把握するには、本来は評伝(掲載されているのは評伝がかかれるような人々がほとんどかもしれない)を読破しなければならないところ、簡単に把握できることはありがたい。 そういう書き方だから、いとも簡単に電力会社が設立され、資金が集まり、買収が成功していく。本書の読み方としては、あくまでおあらすじであって、そこから個々の人物の探求を始めるというのがいいのだろう。 刊行は2009年。東日本大震災の前なので、原子力発電に関することも、肯定的に書かれている。いまなら、そこにいろいろな配慮を入れざるを得ないだろう。そう考えると、本書は「震災前の電力史観」の集大成なのかもしれない。 カバーは左上から時計回りに松永安左エ門、藤岡市助、小林一三、岩垂邦彦、新井章治、福沢桃介。掲載されている肖像写真と見比べて同定しようとしたが、似顔絵が下手だから全部わからなかった。と思ったらカバー袖に書いてあった。 実は、本書とほぼ同じものが、帝京大学のサーバにPDFであがっている。 『電気事業家と九電力体制』。 https://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/kshimura30.pdf これをベースに、章立てを再構成したものが本書のようだ。ぜひご覧いただきたい。 PR 写真は、いまいるのが磯谷トンネル、向こうにあるのが刀掛トンネル、その左の閉塞している坑門はイセバチトンネルだ。 右下には銘板があるのだが、現地では気づかなかった。節穴。 冷涼と思しき積丹の地でもクーラーは導入されているようで、つい、国鉄において、国鉄職員が乗る荷物車は被冷房なのに、郵政職員が乗る郵便車が冷房だったということを思い出す。もっとも、それは車内で区分をするために窓を開けられない(風で郵便物が飛散してしまう)ためでもあるのだが。 手元の2万5000図では、まだ旧道しかないのだが、更新が遅いのだろう。新道が開通したのは1987年だ。旧道となった種前トンネルは、完全に閉鎖することの多い国道229号沿いの多の隧道とは異なり、まだ口を開けている。 まだ7時すぎだた、建設工事中なので、ここで引き返し、向こう側から見ることにした。 ヴォールト内部、坑口側のみ鉄骨で補強されている。これは、地山が坑門を押す力が働くことによるヴォールト入口部分のひび割れを補修したものだろう。 |
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