アルパカ牧場に向かう途中、県道から一段上がった見えづらいところに青空給油所(キャノピーのないところをこう呼ぼうと思う)があった。坂道を下る方向からしか見えないような作りだ。
ファインダーのないカメラで撮っているので、背面液晶が全然見えず、サインポールが欠けてしまった。 例によって坂道の途中にあり、防火壁の開き方が左右で角度が異なることもあり、水平のラインがわかりづらく、真正面から撮れていないのが無念。左に灯油、中央にレギュラー(左)と軽油(右)。 トキコ灯油の計量器。 (不明)のレギュラーガソリンと、タツノ軽油の計量器。 この給油所の名称は「大谷開拓農協SS」。大谷開拓農協で検索をしたら、第二次世界大戦後に山形から入植した方々のようだ。twitterやブログ、googleページもある…が、どれも放置されているのがありがちでかなしい。 冒頭の写真にもチラと映っているが、給油所の上には長屋があり、これが農協の事務所である。地形図やネット地図では郵便局のマークがあり、「那須大谷簡易郵便局」の表示がある。現地ではそれを知らなかったので「ポストがあるなあ」程度に思っていたのだが、よく見ておけばよかった。 長屋の左は「大谷開拓農協」の表札。右(長屋の中央)には「ゆうパック」の幟があるのでおそらくここが簡易郵便局。入口右(の右)には「那須大谷簡易郵便局」とあり、左隣に「那須大谷開拓農業協同組合事務所」とある。 長屋から給油所を見る。セキショウグループの看板には、ここで気づいた。こういう、一見の人が入りづらいような場所だけれど、地元の人に大切にされているのが感じられる給油所だった。 PR
大木茂『汽罐車』が刊行されて1年半にして、写真展が8月1日から新宿で開催されている。詳細はこちら。
初日ということでギャラリートークを目当てに訪れると、驚くほどの人。9割方、50歳以上だろうか。大木氏が65歳、その若き日に刊行した『北辺の機関車たち』(共著)に感化された方々のようだ。神様とも称される写真家(もちろんいくつか写真集を持っている)もいた。私が大好きな作家さんもいた。私が知らないだけで、高名な方々も多くその場にいたに違いない。吉永小百合からの花が飾ってあった。 写真展は、『汽罐車』に収録されているもの以外の、出し惜しみをしていた作品を含めてA1判を主体としたとても大きな作品として見ることができる。ご本人はその仕上がりに納得がいっていない部分もあるお話ぶりだったが、息をのむ。あまりに人が多く、浸るように見ることができないのは残念だったが、初日ゆえ仕方あるまい。私はこの時しか行く時間がなかったのだ。 ギャラリートーク。司会の方(お名前失念)、名古屋機関区OBの川端新二氏、写真家の結解学氏との4人で進行した。まずは川端氏。蒸機の加減弁を握り続け、昭和45年からは電機を運転していた方で、御年83歳。とてもそうは見えない。いまでもOBたちと集まると、電機や電車の話は一切ないが、蒸機の話になると尽きないという。 川端氏(写真右)は、所要で東京に来たときに大学生の大木氏の写真展を見て以来のつきあいだという。 「昭和48年に中央西線が電化され、蒸気機関車のさよなら運転があった。一般者は乗れない。ところが、この大木さんというすごい男は乗った。その時、のちにJAXA理事長となる山之内秀一郎氏(注:むしろJR東日本会長といったほうがわかりやすいだろう)が添乗していたのだが、なんとそこに大木さんも乗った。3~4駅で降りるだろうと思ったら、往復全部乗った。すごい」。会場は大爆笑。おおらかな時代である。 その川端さんのお気に入りの1枚が上の作品。常紋信号所だ。「山之内さんもこの作品を気に入っていた。もう亡くなられたが、お宅には、この常紋信号場の作品があるはずだ」。すごいエピソードだ。 川端氏の話は続き、蒸機の水、石炭、投炭などから蒸機の「効率の悪さ」に至る。その話を大木氏(写真左)が継ぐ。 「蒸気機関車のような効率の悪いもの(石炭のエネルギーの5~7%程度しか牽引力にならない)がなくなっていくと同時に、そうした効率の悪い、器用でないものがどんどん消えていった。蒸気機関車の写真は、そうした人々へのオマージュである」。 中学生の時に『北辺の機関車たち』に衝撃を受けて一番弟子を自認している結解氏(右)のお気に入りは、宗谷本線のダブルルーフの客車内で撮影した、おじいさんの作品。 「人にカメラを向けるのには抵抗があった。それに、動いている機関車が撮りたかった。今回は意図的に人が写っている作品を多く展示しているけれど、写っているのはカメラを向けやすい老人と子どもが多い。」 司会の方(お名前失念、右端)のお気に入りは、宗谷本線のC55のスポーク動輪。「この角度で狙って撮った。写真集ではナンバープレートをトリミングして、より動輪を強調している」。 他の作品を見ると、大木氏は、後ろから見た蒸機がお好きなようだ。わかる。バイクも、右後ろ(マフラー側)から見た角度がもっともかっこいい。 大木氏は、ベストの1枚は選べないが、お気に入りの作品として、浜小清水の朝日の作品を挙げた。私もこれがもっとも好きな作品の1枚だ。もう1枚は、これだ。
* * *
昨秋、私が企画・編集して刊行した丸田祥三さんの写真集『廃道 棄てられし道』。その帯は、私が考えた。 「道路の声が聞こえるか?」 自画自賛をご容赦いただきたいが、ものすごく気に入っているキャッチだ。 実は、このキャッチは、『汽罐車』に寄せられた香川照之氏の言葉「この写真、匂うか、匂うだろ」がにヒントを得ている。もともと、丸田さんとも、共著者の平沼義之さんとも、「もの言わぬ道路だけれど、そこに込められた思いがあり、それを解放したい」という話をずっとしていた。丸田さんは写真で、平沼さんは文章とwebサイトで。それを「使われなくなった道路の写真集」というとしてまとめ上げたのが、『廃道 棄てられし道』である。名乗らず、声をあげることもしない道路そのもの、工事の従事者、そしての設計者たち。彼らや道路たちの思いをどうキャッチにするかと考えれば考えるほど、香川氏のこの13文字の素晴らしさが巨大な壁に見えた。相当な期間没頭し、ようやく「道路の声が聞こえるか?」という11文字ができた。 「匂い立つ写真」と「聞こえる写真」。前者では、読み手は作品の情景そのものを味わう。後者では、作品の被写体と対話しようとする。そんな違いを、個人的には感じている。 写真集『汽罐車』は絶対に「買い」です。 【追記:2012/8/2】 この日はご挨拶するのもご迷惑なくらいの盛況だったので、翌8月2日午前、再訪し、ご挨拶申し上げた。たくさんのお話をお聞かせいただいた。また、なんと私の過去の駄文などをご覧いただいたことがあるとのこと、あまりに恐縮で縮こまってしまった。写真集を持参し、サインをいただいた。 友人達も興味を持っているようなので、けしかけておいた。 この秋公開の映画『北のカナリアたち』も、大木さんがスチル撮影を担当されたとのこと。こちらも楽しみだ。
松尾鉱業鉄道のED25形の2号機が、八幡平市松尾歴史民俗資料館の屋外で保存されている。屋根がかけられ、全体を撮影するには厳しいが、おかげで状態はほどほどにいい。ここは「民俗資料館」という名称なので、知らない人は、ここに電気機関車が保存されていることに気づかないかもしれない。
このED252の台車である。 軸箱守式。軸バネはコイルバネ。 枕バネは2列の板バネ。 角度を変えて、枕バネと揺れ枕。 銘板。 TT-51台車 製作番号 351010 製作年月 26-6 東京芝浦電気株式会社 また角度を変えて。砂箱の複雑な形状やブレーキ引き棒の取り回しなど。 真正面。排障器 くらいか、目に見えるところでは。 社章、ナンバープレート、メーカーズプレート。 資料館内には松尾鉱山鉄道の資料や写真が多数展示してある。また、このように、ED252を移設する際の記録写真もある。 ほかにも出物がたくさんある資料館だ。入場無料、ぜひ訪れてほしい。
松川地熱発電所から東へ向かう県道。雨が降る中、シンプルな給油所が目に入った。定休日か、人気のない給油所。雨なのでスルーしようと思ったが、防火壁が気になった。
反対側。 道路側の防火壁が、延長されたのに削られた、という雰囲気。当初はブロック積みのところまでだったのが、なにかの事情でコンクリートで延長したところ、歩道の新設工事に伴ってコンクリート部分を削られた…といったところか。塗装は古くないので、「どうしてこうなった」という気分。企業としては守りたいであろうシンボルマークやロゴ部分がばっさりと切り落とされている。精神的にもっとも大切なものだと思うのだが…。 敷地の裏。この雰囲気なら、まだ現役か。 サービスルーム。手前の計量器の有効期限は27年1月とあるから、これは現役なのだろうな。…と思ったが、GoogleマップにしろYahoo!地図にしろ、給油所のマークがない。閉店して間もないのかもしれない。
国道46号、道の駅雫石に隣接して、砂防ダムがある。が。
この日は前日から東北は大雨。全国的に見れば、九州はじめ各地に大水害をもたらした集中豪雨の流れの雨である。 前日、ここを通ったときには、丸い穴から水がブワッと噴き出しているような感じだった。この写真のように堤体が滝になってはいなかった。 ところがこの日、すなわち7月16日(月)の午前には、このような状況になっていた。前日の写真を撮っておけば比較できたものを。 水しぶきがすごい。真正面に立つと、水しぶきと、水流がもたらす風とでかなり厳しい。 (前にも書いたな) なかなか「平常時」の画像がネットにないのだが、「大雨の後」というのがあった。まだまだ水量は少なく見えてしまうが、これを見ると、冒頭写真のような「上」だけでなく、「下」にも排水孔があるのがわかる。ああ、またここも再訪しなくては。。。 |
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