映画『アンストッパブル』を見てきた。大きなスクリーンで見ることを信条としているため、日劇まで行ってきた。この映画は、大スクリーンで見るべき。
とにかく見所がありすぎる。それはきっと、私がアメリカの鉄道会社、機関車、歴史、橋梁などをある程度知っているからそう思えるのだと思う。 この映画はアメリカの鉄道を舞台にしている。だから、日本の鉄道にいくら詳しくても理解が及ばない部分もあるはずだ。ましてや一般人においてをやである。ここでは、映画を見ただけではわからないことを書こうと思う。 ●ロケ地 冒頭から意味深に出てくる巨大なペンシルバニアトラス。どうやらロケ地は下記らしいのだが、周囲の光景が全く違う。クライマックスシーンでキモとなる石油備蓄タンク(?)がない。 大きな地図で見る 上の地図で「A」とマッピングされている廃橋は、この2011年6月までに解体される予定の橋だ。wikipediaに記述がある。私有らしい…というのは余談で、この橋の形状、一端で分岐している点など、どう見ても映画で使われてた橋だ。でも、タンクはないし、周辺の住宅の様子も違う…。 いろいろググっていたら、こちらのサイトで、その謎が解けた。答えは合成だった。 ●777号 北米(アメリカ、カナダ、メキシコ)の機関車には「ロードナンバー」といって、各鉄道ごとに通し番号がついている。車両の形式名ではないし、製造番号でもない。それが、この「777」と、その後ろにつながっている「776」だ。一般的に#をつけて、「#777」などと書く。験を担ぐこともあり、記念とする機関車にはキリのいい番号が与えられることがある。 (つづく) こちらもご覧ください。 映画『アンストッパブル』をより味わうために(2) 映画『アンストッパブル』をより味わうために(3) PR
上:『日本国有鉄道百年写真史』(著作権については後述)、下:『鉄道ファン』2011年3月号(複写:大西友三郎、所蔵:西尾克三郎)
去る21日に発売された『鉄道ファン』(下段の写真)を見て驚いた。開業当時の大阪駅の写真が掲載されており、なんとその跨線橋がクイーンポストトラスなのだ。掲載されている記事は古い給水塔の図面の解説で、実はこの写真との関連性が私にはわからないのだが…。 上の写真は『日本国有鉄道百年史』の別冊『~写真史』。両者の写真はよく似ているが、もちろん別物。上の写真には蒸気機関車がいない。そして、より多く跨線橋が写っているという点で、いま現在書店に売っている『鉄道ファン』をぜひご覧いただきたい。 ふと思い立って土木学会のサイトにある『日本鐵道史』を見たら…あった! (『日本鐵道史』第二章「鐵道の創始」59ページ目より) 写真などほとんど掲載されていないこのアーカイブに、正面からのものがあるとは! 冒頭の写真でもわかるが、端柱がずいぶんと鈍角である。そういうものなのだろうか。そういえばキングポストトラスもクイーンポストトラスも、端柱が鋭角であるものを見たことがない気がする。発想として方杖(棒を突き合わせるもの)だからだろうか。 『日本国有鉄道百年写真史』について、以前も書いたような気もするが、土木構造物の写真がたくさん掲載されている。それも、開業に向けての工事中のものや開業直後のものが多いので、既に架け替えられてしまった大多数の橋梁の姿が拝める。現存数の少ないボルチモアトラスもいくつかある。室蘭や手宮の、石炭船に積むための2階建ての桟橋の俯瞰写真もある。 いまオークションを見たら1000円以下でいくつも出ている。ぜひ。(出品者は私ではありませんよ) なお『日本国有鉄道百年写真史』の著作権について。これは国が出版したものと見なしていいのだと私は考えている。奥付には、不思議なことに「(C)1997」とある。これは、表記としてはまったく「なっていない」。(C)=マルCはcopyright、複製権を持つ者を記すマークであるから、これでは「1997」という人格が著作権を持っていることになる。復刻版の発行年が1997年であるので、おそらくそれを書いたのだと思うが、明確な誤りであり、この本には著作権表記がない、というのが実際のところであろう。表記がない=パブリックドメイン、ではないので念のため。
「広田尚敬 編集」と銘打った素晴らしいイヤーブック『鉄道写真』。1998年から2005年まで刊行されていた。2002年版と2003年版は持っていたが、高価ゆえに全部そろえてはいなかった。それが、秋葉原のTamTamに立ち寄った際、合本が安価で売られていたのを見つけた。豪華箱入り上製本である。発売当時7000円もしたものが、3000円である。そのときは買わなかったが、後日、ヤスコーンさんの手を煩わせて入手した(ありがとうございました)。
作品のすごさに圧倒される広田氏の写真集が4冊分がセットになって、しかも割引で売られていることに複雑な思いはあるが、買い物としてはありがたい。 中はこのように、4冊を表紙ごと合本にしてクロス貼りとしている。 広告も当時のまま。 でもよく見ると… ページの端が断裁されている。 まあ、事情はいろいろ見えてくる。 そしていま、amazonをチェックして驚いた。他の『鉄道写真』、たとえば『鉄道写真2005』などは新品が半額で売られている。欲しい人にはチャンス。ムックが安価になった分は、構造上、版元が損をしているだけだ。繰り返すが、割り引かれていて複雑な思いはするが、堂々と買っていい。 作品については、ただひたすらにそれに魅入るだけだ。 たしかこの本は、招待作品のように読者の秀作を集めて掲載していたと記憶している。そのどれもが素晴らしい。それらと、広田氏の取り下ろし作や過去の作品がギュウギュウに盛り込まれている。 観点としては、12年~8年前の本ということで、本の作り方が違う。写植で作成したページばかりなのだ。フォント(写植では「書体」という)の選び方や使い方、デザイン処理の仕方。いまはPC上で素人がクリックひとつでできることが、当時は写植のオペレータの腕と製版担当者の腕にかかっていたのだ。もしかすると、写真もドラムスキャナによるスキャンではなく、写真製版していたかもしれない…とも思ったが、このシャープさは既にスキャナだろう。 それと、広告とカメラの記事。『1998』の表2はF5、表4は645Nである。記事にはコダックのフォトCDやMacの7500などが掲載されているあたりにも時代を感じる。 とにかく、広田氏による600ページを超す写真の本が、わずか3000円。私のように迷わず、買うべき。 オオゼキタクさんのライブ『歌旅人生』に行ってきた。タクさんの歌は、生でも何度か聴いているし、ビデオでも見たことがある。昨日一昨日はtwicasでも歌ってくれた。でも、ちゃんとしたライブハウスで聴くのは初めて。ついでに言うと、「歌」をライブハウスで聴くのは初めて。僕はずっとインストばかりだったもので。(…と思っていたが、高校生の時に友達のライブを見たことを思い出した) 編成は、タクさん(g)、オバタコウジさん(G)、小林和弘さん(カホン、Perc)、田ノ岡三郎さん(Accordion)。 初っぱな。「旅の空」。そして「ほのかたび」。「旅の空」は、タクさんのpodcast「マジpod」のオープニングでも使われているし、「ほのかたび」は中井精也さんの写真展に合わせて作られた曲だ。僕は、歌声も楽器として聴きたい気持ちを持っているので、詩も大好きだけれど「声」に聴き入る。 客層は、1~2割が鉄道関係というかツイッターつながりというか、あとは「うたうたい」タクさんの客。もちろんほとんど女性。う~む。ステージは映えるな……。あれくらい映える場所というのは、バイクのレースに出ているときくらいだろうか。レースに出てれば下手でもかなりかっこよく見えるのだ。 今回のライブは、イベントがたくさんあった。まずは、ゲストで杉ちゃん&鉄平さん(Piano & Violin)の登場。お二人のステージとなった。杉ちゃんさん(←さかなクンさん、みたい。タクさんがこう言っていたので…)のパーカッシブなピアノと、鉄平さんのバイオリンのデュオ。楽しいネタをいろいろ披露してくれた。 『タモリ倶楽部』の鉄道の回になると登場する南田祐介さんの鉄道トーク、タクさんの鉄道トークを交え、休憩なしで約2時間以上。アンコールは最初の4人に杉ちゃん&鉄平さんを加えた6人で「ほのかたび」。田ノ岡さんと鉄平さんの掛け合い、杉ちゃんの力強いピアノ。それに反応するタクさんの歌。とてもよかった。壁には、中井精也さんの作品のスライドショー。一気に突っ走った感じの、素晴らしい組み立てのライブだった。 最後の「ほのかたび」の前に、タクさんが言った言葉が印象に残った。といいつつ、言葉そのものは正確に覚えてないんだけれど、「この楽しいライブが終わってしまうから、最後の曲を始めたくない」という意味の言葉。そういうセンスを見逃さない人が、詩を作れるのだろう。 ライブ終了後は、残った有志で、そのまま会場で打ち上げ。 (左から小倉沙耶さん、ヤスコーンさん、オオゼキタクさん、杉ちゃんさん、田ノ岡さん。許可を得て撮影・掲載) このライブでは、ツイッター上の気になる人に会うこともできた。また来月、「鉄イッターサミット」というイベントもあるのでそちらも行く予定。この歳になって新しい友人が増えていくことが素直に楽しい。
ソフトバンククリエイティブのサイエンス・アイ新書。サブタイトルが「なぜ昔の人は地球が楕円だとわかった? 航空写真だけで地図をつくれないワケは!?」。
内容は、地図製作の歴史=「地球」のとらえ方の歴史から、近代の三角測量、GPS測量に至るまで、なかなかわかりやすく解説している。さすがに著者は地理院の技官であっただけに、実際の2万5000分の1地形図を起こす際のエピソードがいくつか盛り込まれている。 けっこうな紙数が割かれているのがGPS測量の問題点や写真測量。本書の約半分は、そうした話だ。だからこそこの本を買ったのだ。おそらく著者が直接携わった「現場」なのだろうと思う。GPSを使って地図とリンクさせていたり、航空写真を眺めることが好きな人が読んだら、GPSや航空写真への興味というか知識が深まると思う。 ただし、記述は舌足らずである。地理の専門用語がばしばし出てくるのだが、その解説が文章だけだったり、具体例がなかったりするのだ。添えてあるイラストの一部が、理解を妨げるようになっているものもある。 たとえば… (1)ジオイド面 簡単に言うと、もし海面が陸地まで浸透していたら…という面で、「標高」の基準であるのだが、その説明がなかなかまどろっこしい。本書だけでは理解できないと思う。 wikipediaの図がいちばんわかりやすい。 (wikipediaのファイルをキャプチャ、転載。ライセンス=CC-継承 3.0 非移植) 1が平均海水面。海水面は周辺の陸地(というか、海水ではない部分)の密度などにも影響を受けるので、地球楕円帯(仮想の地球の形状。そもそもその定義すらいくつもある)とは異なる。2が、その地球楕円体。3はジオイドそれぞれの点おける鉛直線。4が地表面。5がジオイド。5のジオイドから4の地表面までの距離が標高となる。 私はGPSで表示される「標高」が地球楕円帯からの高さであってジオイド面ではない=地形図の表示と異なる」ということを本書を読むまで知らなかった。このあたりのことと、その問題点は本書で詳しく説明されているので、GPSをお使いの方はぜひ見たほうがいい。「GPS使いなら知ってて当然」だったらすみません。 (2)スクライブ これは、製版・印刷の流れが分からないと、まったく理解できないだろう。本書では「スクライブ製図は、ポリエステル系の樹脂へ不透明の膜を塗布したベースに、編集した地図画像を焼き付け、記号部分の塗膜を針で削り取る方法」と書かれているが、その「ベース」がなんなのか、理解できないと思う。 印刷には「刷版」というものが必要である。要するに、8ページ、16ページをひとまとめにした金属製の薄い板状のハンコである。その刷版を作るのに、以前はエッチング処理を要し、というとエッチングを説明しなければならないが、金属板のハンコ(刷版)は、金属を腐食させてオスメス部分を作る。そのときにフィルムを使うのだ。フィルムが透明な部分がハンコ(刷版)のオス、黒い部分がメスとなる。フィルムは、実際の誌面のネガ(白黒反転したもの)となっているので、スクライブ製版というのは、直接、真っ黒(ではないけれどイメージとして)のフィルムを針でケガキしてオスとなる部分を描いていく方法である。 ここまでお読みいただいてから武揚堂のサイトをご覧いただければ、合点できると思う。 さらにスクライブの現実は、フグの女王様のサイトで理解がするむと思う。このサイトはTUBEグラフィックスの方のようだ。私は面識はないが、たぶんあの方。TUBEグラフィクスは仕事上でもお世話になっているし、常に注目しているグラフィックデザイン集団だ。このサイトにあたったのは、偶然である。 (3)空中写真を使っての図化 これは、いまでも理解できていない。「(位相を変えた空中写真を置いた後)お測定のための『ポインター』(メスマーク)には、顕微鏡の先で浮き沈みするしくみがあって(後略)」とあるのだが、「ポインター」がどんなものなのか、なぜそれが浮き沈みするのかがわからない。1990年代前半に『山と渓谷』に地図製作の特集があった気がするのだが…。 などと勝手なことを書いてきたが、別に、理解できなければ自分で探求すればいい。この手の、地図の根本的な定義を問う本としては手軽な価格であり、そこを評価したい。願わくば、地図の定義やGPS測量についてだけ書かれた続編を。 ついでに。 検索中に発見した「写真測量」とそれを継いだ「写真測量とリモートセンシング」という研究誌のPDF。おいておきます。例えば第1巻には「写真測量の現状と問題点」などという論文があります。 『写真測量』(1962年~1974年) 『写真測量とリモートセンシング』(1975年~) |
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