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昨年急逝した真島満秀氏の追悼写真集が刊行された。書店店頭でページをめくって驚いた。最初の見開きが、見慣れた構図なのだ。廃隧道の中から外を見た構図なのだ。題材は親不知。

残念ながら、ネット上にはその写真はないと思われる。尼の中味検索もないし、版元のJTBパブリッシングのサイトにでも誌面見本がないか見てみたが、商品紹介にすら載っていなかった。一般的にはありえないことだが、この会社ではよくあることだ。学研のサイトでも同じことが起こる。


『廃道本』には、それと同じような構図が無数に出てくる。端的に表しているからだ。真島氏もそう思って、親不知トンネルをそのような撮り方をしたのだろう。その一致が嬉しい。


真島氏の作品は、本当にみとれてしまうものだった。『鉄道記』という大作がある。『駅の記憶』という小品がある。どれも、次のページをめくるのが楽しみなようなもったいないような、読み終わるのが惜しくてページをめくるのがためらわれるような、そんな作品集であった。

バイク雑誌の編集をしていた時代、氏にバイク旅写真を撮っていただいたらさぞかしすごいものになるのではないかと妄想したことがある。いまならそうした依頼に飛び込めるが、当時はできなかった。氏の構図をまねて同じ場所で別のカメラマンにそのためのレンズを持参していただいてまで撮影を依頼したことがあったが、それは私のロケハンの未熟さで成し遂げられなかった。なんと、北海道の音別まで行きながら、見本となる写真を忘れてきてしまったのである。後日、今度は自分が同等のレンズを購入し、同じ構図を探し当て、撮影した。行けばどうということはない。その場所で、そのレンズで、その構図を思いつくことが、すごいことだと思った。自分が撮った写真は、凡百のつまらないものにしかならなかった。焦点距離700mm。あまりに広大で、そこまでの圧縮感を感じない。

20100203-0.jpg

物事の上達のためには、まず一番のものの模写から入る必要があると思う。しかし、模写したというのもおこがましいようなものしか作れない自分は、もうどうしようもない。模写を、もっともっと一所懸命しなければならないのだろう。それこそ、まったく同一(に見える)ものが撮れるようになるまで。
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昨日の『廃道ナイト』でnagajis氏(だったと記憶)がおっしゃっていた『土木人物事典』を買っておこうかと思ってみたら、その価格や5200円、しかも版元たるアテネ書房は廃業していた。気長に探そうと思う。ラインナップを見ると、どうも山海堂とかぶる。山海堂は、2年前に倒産している。

先日入手してまだ読んでいない『土木のこころ』田村喜子著。土木技術者に関する著書の多い田村氏のアンソロジーかなと思って買ってある。初っぱなが田辺朔郎であるところが、田辺に関する伝記をいくつもものしている田村氏らしい。

惜しむらくは書名。田村氏の著書は、内容はいいのにタイトルから類推しづらい。田辺朔郎が北海道の上川線(現・函館本線空知太~旭川間)や狩勝峠の計画に携わった話は『北海道浪漫鉄道』。なにやら、素人による鉄道旅行記のようだ。本書も『土木のこころ』ではなく『鉄道・道路・河川 相互に絡み合う土木技術者たちの明治から現代への系譜』みたいなタイトルであってほしい。

前述のとおり、残念ながら本書の版元は倒産している。

20100131.jpg
カルカルで開催された『廃道ナイト!!! 2010オブローダー総決起集会』にて売り子してきますた。

20100130-0.jpg今回は、ヨッキれん氏+nagajis氏にプラスしてゲストがミリンダ細田氏。彼の参加で一気にチケットが完売に!?

20100130-2.jpgトークはあまり突っ込みが入るような時間的余裕がないためか、畳みかけるような展開。しかし、メリハリもきき、息抜きもあり、非常にいいテンポで間延びせず、あっという間に1部が終わり、2部が終わる。

第3部。細田氏との『探索アルバム』公開。
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次いで、『30分でわかる村田鶴』。

20100130-3.jpg私は現地を案内していただいたおかげで位置関係も系統もほどほどに把握しているつもりだが、もしかしたら、会場の人に地図を配っておくと、より理解してもらえると思った。たぶん、東京の人は、滋賀県の地理を知らない。それどころか、宮脇俊三氏が文藝春秋だっけな、編集者に「大阪から青森まで行く特急が通過する県を挙げよ」というクイズを出して、忘れ去られていた県が滋賀県だったりするから、琵琶湖と米原と大津の位置関係すらわからん人が圧倒的多数な気もする。

そしてエピローグはフラッシュ。涙腺の弱い私は画面を注視できなかった。
20100130-5.jpg


終了!
20100130-1.jpg

『廃道本』をお買い上げいただいた皆様、ありがとうございました。また、『日本の廃道』グッズのご購入もありがとうございました。

ご来場いただきました皆様ありがとうございました。これだけの方に楽しんでいただけるというのは、もちろん出演者と運営者のおかげなのですが、その末席に少しだけ噛んでいる者として、大変嬉しいイベントでした。

自宅で仕事をしていて、ふと使っている鉛筆を見て驚いた。
コーリン鉛筆だった。

20100129.jpg

コーリンと言えば、1981年に文房具店兼駄菓子屋だった実家を建て直す際、大量の不良在庫(4Hや6Hばかり)が出てきて、投げ売りしたことで記憶がある。その際、今は亡き祖母が「いい鉛筆だったんだけど、つぶれてしまった」みたいなことを言った覚えがある。実際の倒産は1997年らしいので、祖母の真意は不明だが、それ以来、コーリンは私の脳内でひとつの確固たるブランドとして、その全盛期もその品質も知らぬままに存在してきた。カルカルで「文房具ナイト」をやった、などと聞くと、ついコーリンを思い出してしまうくらいに、自分の脳内で神格化されたブランドだった。

コーリンのトレードマークは「三角形になった横顔」のマークだ。1982年に、その向きが右向きから左向きになったとある。この鉛筆は右向き。即ち1982年以前の製造分だ。最短で28年前のもの。

なにかのノベルティだったらしく、「ムトウランドセル」とある。通販のムトウだ。浜松駅に大きな看板のあったムトウだ。昨年、「スクロール」という社名になったらしい。ムトウでいいのに。


そんなコーリン鉛筆が、いまここにあるのはなぜ? 明らかに私の所有物ではない。家の者が使っていたのか。30年近く、あるいはそれ以上前に使いかけてそのまましまい込んでおき、いまここにそれがあるのか。たぶん、永遠に謎である。そのコーリンを使って、仕事を続ける。ちびてちびて1cmくらいになって、いよいよとなっても捨てはしない。5mmくらいになってしまった過去の仲間とともに、引き出しの中に転がしておこうと思う。


20100128-1.jpg東武野田線が千葉・埼玉県境を渡る、江戸川橋である。跨いでいるのはもちろん江戸川。


画面右から第1連(プレートガーダー)、第2連(トラス)・・・となるが、第1連と第4連が、製造時期が異なる。3つ並ぶトラスのうち、左端(第4連)の上弦を見ると、それがわかる。第2・第3連は2格間ごとに直線状に結んでいるが、第4連は各格間ごとに結んでいる。

もうちょっと寄ってみる。

20100128-2.jpg橋の手前の歩み板の手すりに段がついている。よく見ると、縦桁の高さも異なる。その一方で、斜材も橋門構も同じように見えるのはなぜだ。両者には製造に30年の隔たりがあり、さらには製造所も異なるのだ。1930年の開通時から使用されている桁である第2・3連は横河橋梁、第4連は東京鉄骨である。



『歴史的鋼橋集覧』にはこう書いてある。

第2,3連と第5-10連の桁が1930年総武鉄道開通当時からのもので、1955年2月新設橋脚上に移設。他は1955年2月河川改修に伴い新設。(強調筆者)

1947年の航空写真を見ても粗いので、橋梁の移設があったのがどうかはよく読み取れないが、Yahoo!地図の衛星写真を見ると、北側に廃線跡に見えないこともない痕跡がある。しかし、それでは根拠に乏しい。というところで、上の写真をよく見て欲しい。明確な痕跡がある。第3連・第4連の間の橋脚(おそらく第3橋脚)の奥(画面右)に、古い橋脚の土台が見える。

こちらの写真のほうがいいか。第2橋脚である。

20100128-3.jpg

河川改修前は、川幅も狭かったのかもしれない。でなければ、
200フィートトラス2連だったものを、わざわざ3連に改修することはあるまい。当時の写真でもあればいいのだが。


この上流、江戸川と利根川の分流地点にある「関宿城博物館」には、わずか5パネルになったタイニーなイギリス系のポニーワーレンが保存されているという。この野田線の前身である総武鉄道が、現在の総武本線に架けていた橋だそうである。知ってれば立ち寄っていたものを。


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