樽見鉄道の揖斐川橋梁。
すぐ横に、旧東海道線の橋梁であるパテント・シャフト製ダブルワーレントラスの
旧揖斐川橋梁があり、その隣には東海道本線の複線トラスがある。
『歴史的鋼橋集覧』には「A.&P.Roberts Co.製」とあるが、
のちのアメリカン・ブリッジであることは後述する。
98フィートのプラットトラスが道路をまたぎ、その向こうに巨大な200フィートの
曲弦プラットトラス5連がつながっている。
手前(大垣)側から塗り替えが進行中なのか、奥(樽見側)の上弦は錆びている。
せっかくのピン結合曲弦プラットトラスなのに、画面左の樹木が邪魔で
ピントラスのアイバーのか弱さ、美しさが感じられないのが残念だ。
こうして2種類のトラスを比べると、平行弦トラスはよりも曲弦トラスのほうがずっと好みだ。
冷たさがない。
堅さがない。
この橋梁を走る樽見鉄道の列車の前面展望は非常に楽しい。
揖斐川を渡る鉄道は、地上のそれなりの高さを走っており、
両側の駅、すなわち東大垣と横屋は低い位置にある。
これがどうなるかというと、すごい下り勾配の向こう、
レールが左カーブしている先に駅が見えるのだが、
それがあまりに模型のような光景なのだ。
それが楽しい。
さて、アメリカン・ブリッジとの関係である。
『歴史的鋼橋集覧』には「A.&P.Roberts Co.製」とあるが、各種文献には
「のちにアメリカン・ブリッジに統合される」とある。
アメリカン・ブリッジはジョン・ピアポント・モルガンが28の企業を統合して作り上げた鉄鋼メーカーだが、その28分の1にしてのちにアメリカン・ブリッジペンコイド工場となったのがペンコイド製鉄所である。そして、そのペンコイド製鉄所の設立者が
AlgernonとPercivalのRoberts兄弟であり、それをしてA&Pロバーツと称した。二人はペンコイド開拓者の末裔である。その他いろいろわかったので、まとめることができたら某事典にでもアップ
するした。
ペンコイド製鉄所の後進、ペンコイド工場は、余部橋りょうのトレッスルを製造したと
各種文献で紹介されている。
なお、1913年に同名のベッセルがアメリカン・シップ・ビルディングにより建造されているので
混同しないように注意されたい。
迂闊にも、というか現地では第1連もアメリカン・ブリッジ製だと思い込んでいた。
だって、磐越西線の一連の橋梁は、こうした短いプラットトラスはおろか、
ガーダー橋までアメリカン・ブリッジ製なのだ。
そのため第1連の銘板のみを撮影してきたが、第1連は川崎造船所製である。
銘板は割れているが、こうだ。