2022年10月2日、3年振りの「軽便祭」が開催された。とにかく圧倒されたのだけれど、目的の一つは、青森恒憲さんの『奇天烈トロッコ』を買うことだった。モデルワーゲンのブースに青森さんがいらっしゃり、発売前だけれど直接買えるのだ。 いまどき珍しい、ハードカバーの大型本。 青森さんには、5年ほど前に仕事で大変お世話になった。実は、子どものころたくさん持っていた本にも、青森さんの写真は数多く掲載されているということを知ったのはそのとき。20歳前後でそれだけのお仕事をなさっていた。RM創刊号からの連載「THE トロッコ」も青森さんと、『奇天烈トロッコ』協力の大西靖さんの筆によるものだ。 この連載の背景なども『奇天烈トロッコ』に記載されている。どんな趣味ジャンルでも、十代、二十歳前後の「すごい」若者たちは、「出る杭」として打たれてしまう。しかし、うるせえ、とばかりにこの連載は続き、まとめた本も出た。いまではプレ値になってしまっている。 有名なものから、偶然発見したものまで、43選。なぜ「43」なのかは、理由があるのだが、その中で、エンドレスの鉱石運搬線から仮設の人力トロッコ、森林鉄道まで、実にバラエティ豊かに掲載されている。かっこいい走行写真も多いけれど、「人が仕事をしている」という写真が多い。郷愁を感じるのは、いまなら安全・衛生・機械化・自動化されているものを、危険なことにも拘わらず、人が作業をしていた時代に対してなんだと思う。 気になるのは、やはりこれだ。私と同世代の人たちは、1982~1983年ころの『鉄道ファン』の、岩堀春男さんの「専用線の機関車」と高井薫平さんの「昭和30年代の地方私鉄を訪ねて 軽便・古典ロコ・田舎電車、そして…」をむさぼるように読んでいて、その一つに、ここがあったのだ。 ネンド なめいり くもいぞら。 このフレーズは、多くの人たちがおぼえているに違いない。昨年、その付近を通りかかり、「名目入じゃん!」とそこで気が付いたのだけれど、現地では調べようもなく、当時はなかった国道を行き来して終わってしまった。 こちらは高井さんの連載。 * * *
青森さんは1959年のお生まれなので、撮影は19歳から20代前半。その年代で、全国を飛び回り、トロッコを見て回った。もちろん、情報などない。地図から見つけることもあれば、「~らしい」という情報を頼りにクルマを飛ばす。空振りもある。それでも、掲載されているものの何倍かを訪れ、記録している。 そのころ、私は小学校高学年から中学生。まだ「間に合った」はずなのだ。しかし、行っていない。赤谷線の最終列車に乗りに行ったけれど、その先は行っていない。越後交通も動いていたはずだけれど行っていない。新潟交通などは高校への通学路に白山前駅があったけれど、通しで乗ったのは、蒲原鉄道とともに一度切り。まあ、その程度の行動力だったのだろう。「いま思えば」ということは余りに多いが、もったいない。 本書を読んで、いろいろと探訪したくなっている。まずは、頭の中に散らばっている情報をとりまとめ、行くべき場所をGoogleMapsに書き込んでいくことにする。 直方市石炭記念館。 池島。 端島。 安房。 赤沢森林鉄道。 こうした保存がいくつもあるが、ほとんど行っていない。もっと積極的に現地に行ってみようと思う。 ● PR |
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