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前日の大好きな看板文字の建物の側面。

20120301_003.JPG2階に引き戸があり、その上部に腕が伸びている。ジブクレーンかと思ったが、これは機能からするとテルハだよな。

20120301_002.JPGたぶん、往復運動しかできない。

腕の左右に、トラスに組んだ扉のようなものがある。これはなんの意味があるのだろう? 根本にちょうつがいがあるのか、向かって左側は開いている。

建具屋さんだから、ここから搬出するのかしら。
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札幌市内を歩いていたら、すてきな書体にでくわした。かつての鉄道の駅名標などでよく見られた、極太の丸ゴシック。ペンキの刷毛の跡も見えるところがポイント。

現代は、この手のものでも簡単にPCで出力できてしまう。でも、20年くらい前までは、こういうのはプロの手によるもので、だからこそレタリングに憧れたんだよな。こういう文字が書けるようになりたかった。

雑誌の誌面をレイアウトするデザイナーのなかで、かつては手で割り付けていたことがある人は、こういう文字を書ける人がいる。写植(今ならフォント)は1文字の縦横サイズが等しく、かつ文字が収まるサイズがけっこうでかい。そして文字同士の間隔がものすごく狭い。そのため、そこにいっぱいいっぱい書くと、デザイナーの文字もこういう書体になりがちなのだ、と勝手にその成り立ちを思っている。

文字を手で書いてみるとわかるが、普通の人が普通に文字を書くと、けっこう縦長であり、1文字1文字の間隔も空いてしまうと思う。試しに、1cmの方眼をつくり、そこに文字をいっぱいいっぱいに書いてみてほしい。かなり横長に感じるはずだ。でも、それが、看板文字への第一歩。


とにかく、この美しい文字を鑑賞していただきたい。
P2297889.JPGP2297890.JPGP2297891.JPGP2297892.JPGP2297893.JPG
 
@gonzke さんが書いていた「マクロ」が「270」に見えちゃう件




書いてみた。

120228_231648-2.jpgたしかに!!


いろんな人にこの文字を書かせてみたい。


















































 
20120227_005.JPG廃墟を、あるいは廃墟を写真に撮ることを好きな人は多い。でも、「なぜ好きなの?」という答えに、答えられる人は少ないのではな かろう か。例えば「美しさを感じる」では答えにならない。その場合、「なぜ美しいと思うのか」に対する答えが必要だからである。

本書には、その答えに至る、重大な示唆が散りばめられている。丸田さんが何に対してレンズを向けてきたのか、その理由が、作家・重松清さんとの対話で浮かび上がってくる。その流れは、そのまま読者自身が体験できる、壮大な時代感覚の共有でもある。それも、「名もない者たちの時代の感覚」、つまり他社をあざける強者の立場ではない者たちの感覚。「名もない者たち」というのは、『廃道 棄てられし道』や『棄景』シリーズでも一貫しているテーマである。


章立ては、

第一章 六〇年代から七〇年代前半 世界はとうに終わっていた
第二章 七〇年代中盤 新品時代の終焉
第三章 七〇年代後半から80年代 ゴミの上の夢の国の時代
第四章 八〇年代から九〇年代 個人攻撃の時代
第五章 九〇年代から〇〇年代 記憶を上書きする時代
未来章 二〇一一年三月一一日以降 懐かしい未来、見知らぬ過去

となっている。

***

章立てを見ると、1970年代の話題が多い。これは、1964年9月生まれの丸田さんと、1963年3月の重松さん(面識はないけれど、さんづけとさせていただく)が、もっとも多感な時を過ごしたのが1970年代だということなのだろう。私は丸田さんと7学年違いの1972年1月生まれなので、この時代のことは「記憶」として知っている(この観念は、本書を通底している)。そして、私にとっては、1980年代こそが多感な時代だった。

しかし、小学3年~高校3年という私の1980年代は、あらゆる刺激を受けはしたが、あくまでも生徒の身分であり、時代を言葉にできていない。それが、1980年代に十代後半~二十代後半という時代を過ごした丸田さんと重松さんは、確実に当時から言葉にしている。その言葉が、散りばめられており、ひとつひとつに「そうそう!」と頷きっぱなしとなる。

おそらく、読む人の青春時代が1980年代であろうと1990年代であろうと、あるいは2000年代であろうと、かならず、自分の記憶を的確な言葉で言い表しているところがあることに、そして、風景として描いた写真作品があることに気づくだろう。それが、この『問いかける風景』のすごさだ。

***

私の時代、1980年代で考えてみると、第三章がそれにあたる。「仮面時代の序章」「仮面の系譜」「『根暗』の時代」の三つの小見出しが立っている。ここで述べられているのは「笑いをとれるヤツがリーダーになる時代が来たのだ」という記憶である。

私が小学生の頃は、確実にスポーツができるヤツが集団の中心にいた。田舎の、ガラの悪い地域だったからか、頭がいいヤツは中心になれなかった。一方で、笑いをとれるヤツが台頭してきていた。それに気づいたのは小学校3年のとき。1980年だった。スポーツ音痴だった私には、それは福音であった。かなりの割合で調子に乗りすぎて失敗しながらなんとか十代を過ごして、たまにこじらせたりしながらも、「別に球技ができなくても、体力と筋力があればいいや」と登山で達観できるようになったのは、1990年頃である。

丸田さんと重松さんのおふたりの対話は、こうした、私が経験してきた精神の動きの過程が実は時代によるものでもあったということに、気づかせてくれる。おふたりが時代を見る目はとても鋭いものだが、その時代を生きてきた人たちを見る目は、とても優しい。

***

本の造り。大きさは菊判、ハードカバー。スピン(しおり紐)もついている。全体の構成については前述の通りだが、写真のページと対話のページは、紙を変えている。構成は、丸田祥三さんの作品が7点くらい、次いで重松清さんの書き下ろしコラムが1ページ、そして重松さんと丸田さんとの対話が掲載されている。これが実に効果的というか、これ以外ない、という構成だと感じる。

写真作品の印刷は、最高の品質であると信じて疑わない『廃道 棄てられし道』を…凌駕しているかもしれない。とくに後半の章で展開される、最近の作品群は、雑誌『東京人』に掲載されたものもあるが、どれもが手を触れると切れそうなほどにシャープでハード。インクが指につきそうなくらいにこってりとした色が出ており、丸田さんの作品を存分に実現している。

作品が掲載されている大きさは『廃道 棄てられし道』と同じくらいか(縦位置)、かなり大きい(見開き)のに、ハードカバーになると、なぜかコンパクトに感じる。これは、おもしろい発見だった。2冊を並べてみよう。

20120227_000.JPG.

ブックデザインおよび全体の指揮は祖父江慎さんと福島よし恵さん。『廃道 棄てられし道』と同じだ。そのため、並べて売られてもソレとわかるように、帯は同じイメージで作られている。

当初から、4月刊行予定の『眠る鉄道 SLEEPING BEAUTY』(小学館)とともに三冊をお願いすることは決まっていたから、もしかすると、最初は判型も似せて…などと祖父江さんはお考えだったかもしれない。しかし、結果として、三冊とも、判型や紙はまったく異なるものとなった。

…そう書いて、今、気がついた。 『眠る鉄道 SLEEPING BEAUTY』のカバーが、「あの作品」(ご想像にお任せします)になったら? それを、上の二冊の右に並べてみたら……? あとはご想像にお任せする。

***
 
冒頭に置いた問い。その答えを自分で持っているという自信がある人も、まだ持っていない人も、絶対に「買い」の一冊だ。あわせて『日本風景論』(丸田祥三・切通理作共著)もおすすめする。







 





20120226_000.JPG東武野田線の岩槻駅の3・4番線ホーム。跨線橋から1組置いた位置のホーム上屋支柱が、古レールだった。

興味深いことに、この1組だけなのである。それも、他の木製支柱と異なり、ホーム中央の1本脚。他の木製支柱はご覧の通り、ホームに2本の脚を下ろしている。脚部分は、よくあるように、レール底面を接合している。レールはカーネギースチール、1900年(と読めたがちょっと不安)。

20120226_001.JPG屋根の真下はこんな感じ。左右のレールを板で挟み込み、その中央から棟木(線路方向の、屋根の背骨にあたる部材)を支える真束が上に延びている。その付け根には、棟木からの補強材。

20120226_002.JPG木製支柱のほうはというと、このようにズラリと。

脚には、線路方向からと枕木方向から、それぞれ補強材が入っている。補強材が脚に接合される部分では、枕木方向同士、線路方向同士が1本のボルトでつながっている。そのため、両者の位置が少しだけ上下にずれている。

20120226_003.JPG古レールの脚と異なり、垂木(枕木方向の屋根材の裏の部材)を支える形になっている。そして、枕木方向の補強材が、棟木を支えている。



木製支柱のホーム上屋の組み方を集めてみたい。また課題が増えた(笑)。




 


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