笹田昌宏さんの新刊『日本の廃駅&保存駅136 感動編』(イカロス出版)。笹田さんとは『廃駅ミュージアム』をご一緒して以来の関係だが、そのときは車両保存方面での八面六臂のご活躍しか知らなかったのだが、お話をうかがって、実は相当に廃線跡や廃駅を訪ねあるいていると知り、同書の刊行に繋がった。 本書は、そこからさらに突き詰め、 第1章 風化してゆく姿が感動的な廃駅&保存駅 第2章 産業遺産の存在が感動的な廃駅&保存駅 第3章 駅舎やホームの姿が感動的な廃駅&保存駅 第4章 賑わいが戻った姿が感動的な廃駅&保存駅 に振り分け、オールカラー176ページで展開している。 具体的な掲載駅は上記を参照していただくとして、この章立ては、膨大な廃駅を見てきた笹田さんならではのものだ。 「廃駅」のイメージは、人によってまったく異なるだろうし、時代によっても変化している。かつては取り壊されるか放置されるかで、2000年代になっても基本はそれ。しかし、2010年ころからだろうか、鉄道路線が廃止になると地元も観光資源として活用するようになってきた。それは、旅のスタイルが、いわゆる「観光地巡り」からピンポイント型に変わってきたこととも大きく関係するだろう。 もちろん、そうなる前から有志が保存を続けてきた廃駅(廃止路線)もある。上の七戸駅などは、まさにそうだ。こうした先人の経験があってこそ、いま、観光資源として活用しようという意見がそれなりに力を持つようになったとも思う。先人たちには敬意しかない。 私はやはり、初めて越後交通の廃駅を目にした中学1年生のころから、自然に還っていくような姿に心を惹かれる。掲載されている駅には、そもそも廃止駅が多く、そのままになっている北海道の廃駅が多いのだけれど、そこは章立ての妙。全国の廃駅を北から並べるような構成とすると、北海道に偏ってしまったり、印象が似てしまうことを防いでいる。 私を含めて、廃線の本などほとんどなかった頃からの廃駅・廃線ファンは、つい「すぐ『レールバイクで活用』とか言ってさ…」と感じてしまうのではないかと思うが、そうはいっても、「廃線跡」という言葉が鉄道マニアでもない人にも認知され、旅の目的地になる現在、レールバイクでの賑わいもまた、普通の(?)人たちが旅の目的地にする。そして、それが鉄道が廃止になったような地域に貢献する。そこは認識しておきたい。 * * *
本書のことで笹田さんからご連絡があったまさにその日、根室本線の富良野~新得間の廃止のニュースが流れた。私は昨夏に訪ねていたが、その話をすると、笹田さんもつい数日前に訪ねていたという。落合駅などが、そのまま廃駅になってしまう。7駅はどうなるのか。布部駅は、富良野盆地にあるのと『北の国から』の絡みで残るだろう。幾寅駅も『鉄道員』関連で残るか。2020年代の廃線・廃駅が辿る姿を追っていきたい。 ●関連項目 『車掌車』(笹田昌宏著) 『走れ、トロッコ!輝け!錆レール』(笹田昌宏著) 閉鎖されて5年の根室本線落合駅 根室本線休止区間の踏切(幾寅西1号踏切) PR 紀伊半島の南端も南端。国道脇の漁港に視線をやったら、その前に、たくさんの無人販売の小屋が並んでいた。 「営業中」のものも「休業中」のものもある。売られているものは、ほぼ生花だ。「1本100円」とある。この町で、そんなに花の需要があるものだろうか。いや、これだけ売る「店」があるのだから、この町で、これだけの花を作って売る人がいるものだろうか。 この無人販売所群は、みな少しずつ違った形をしている。こういうものは、ゼロから考えて作るのは少しハードルが高いかもしれないが、一つお手本があれば、それを目指して作ることができる。きっと、ここに最初に作ってガードレールに括り付けた人がいて、それをみんなが真似し始めて、……。 |
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