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「定山渓国道」こと国道230号中山峠越えのルートは、工夫された線形で豊平峡ダムと一体となって構想された。この片持ちの覆道は、定山渓トンネル、無意根大橋と並んでこのルートの白眉である。

 
いくつかの理由でこの構造が採用されているのだが、わかりやすいのは景観への配慮だ。コンクリートの支柱が並ぶ圧迫感を避け、かつ、景観を眺められるようにしている。それだけでなく、この覆道を外から…ここに突入する前のクルマから見ても景観に配慮しているように見えるように作られている。それは、昭和42年工事開始という、道路造りの考え方が発展している時期だったからこそ、前例のないこの構造が実現できたともいえよう。


通常、谷側に支柱を設けるが、ここではそれが難しかったためにこの構造になったと国交省の論文にある。

コンクリートの肉厚感があるにもかかわらず、それが圧迫感につながらず、むしろ筋肉質に感じる、優れたデザインである。


通常は坑門に掲げられる扁額は、覆道内山側の壁に埋め込まれている。

 
峠側を振り返れば、特徴的な坑門を持つ定山渓トンネル。

 

麓側を振り返れば、渓明覆道。

【参考】
・国土交通省 国土技術政策総合研究所 景観デザイン規範事例集 道路編
http://www.nilim.go.jp/lab/ddg/seika/ks/tnn0433.html
http://www.nilim.go.jp/lab/ddg/seika/ks/ks043306.pdf
・仙境覆道の設計と施工について
http://thesis.ceri.go.jp/db/files/GR0002500632.pdf




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