米屋こうじさんの写真集が発売された。ほぼ同時に銀座のキヤノンギャラリーで写真展が開催された。オープニングパーティーもぜひうかがいたかったが、どうしても都合が付かず、その後もアレで、なんとか最終日に写真展にうかがった。
(撮影自由でした) 大きなパネルが並ぶ会場。 米屋さんのお好きな、アジアの鉄道風景…いや、アジアの、と形容するのは適切ではないかもしれない、「鉄道がある風景」が、そこにあった。拝見して思ったのは、「どれだけ、鉄道の近くにいたのだろう?」ということだ。 とにかく、鉄道のそばにいる。夜明け前から夜更けまで鉄道を見つめている。間にご飯食べたりビール飲んだりしながら。そうすると、ふと、その瞬間が舞い降りてきて、自然とそこに絵ができていた…そんな印象の作品ばかり。それに出会うのもまた、写真家のワザだと思う。(念のために書くが、偶然いいシーンに出会ったからこそ作品できあがった、などというくだらない話をしているのではない) 作品の色は、赤と、真っ青。どちらも印刷では表現しづらいような色。緑はすこしくすんでいる。写っている人々の肌は、褐色だから赤の印象を強める。そして、太陽光線。もし、米屋さんと行くアジアツアーなんていうものがあったら、なんとか工面して参加したいものだ。私も、こういうシーンに立ち会いたい。もっとも、写真など撮らないかもしれない。写真は米屋さんにお任せして、この目で、見たい。 * さて、写真集。制作の過程は米屋さんのブログにアップされている。 鉄道憧憬 感想は…写真展のパネルとは別物だということ。写真集は写真集だけの作品世界になっているということ。当然といえば当然のことなのだが。 全体に、ネガで撮ったプリントを原版にしたかのような軟らかい色調なのは、意外だった。会場で米屋さんがおっしゃっていたのだけれど、写真展の作品が掲載されているわけではない。おそらく、この色調の雰囲気とこのサイズで見るからこその作品のセレクトと思われる。ページをめくるたび、そこに現れる人たちの表情に、読み手の心はほぐれていく。これこそスナップと呼びたい。 外国製のポストカードは、良質のスナップが多いけれど、それに通じるものがある。1枚1枚が切り離せて、ポストカードみたいに、机上に飾ったり、壁に貼ったりできたらいいのに。 そういう造りなので(と私は勝手に思っている)、大きなパネルで展示されていたバングラディシュの写真は収録こそされているが、失礼ながら、こちらはパネルの色調と大きさに軍配を上げる。そして、そういうパネルもまた「ほしい」と思わせてしまうのだから、こわい。いままで写真展はそこそこ見てきたけれど、「ほしい」と思ったのは初めてかもしれない。どれもすてきだったけれど…P53のWay home from school、がほしい! * 写真集は、ハードカバーで2310円。安い。ジュンク堂池袋店2階に旧知の店員さんがいるのでそこで買おうとして言ったところ、なんと最後の一冊で、ちょっと傷んでた。だから取り寄せてもらい、先日、やっと入手した。いまはジュンク堂にもちゃんと面陳されている。 こういう本が、こういう世界が商業的に受け入れられるとき、やっと、鉄道趣味が、「それと意識しない文化」になるのではないかと思う。常々思っていることだけれど、鉄道趣味誌は「楽しい」が、ない。憧れも、ない。知識しかない。タコツボ化がひどいと思っている。(鉄道)写真家がめざすものと、鉄道ファンがほしがるものが違ってしまっている。ほどよい文芸作品がいっさい存在せず、ラノベと文芸評論しかない、みたいな感じ。それじゃダメだろ。これは、メディア側の問題だと思っている。なんとかしたい。 * 米屋さんのパネル作品には、これから仙台、大阪、札幌で会える。絶対に行くべき。 米屋こうじ写真展:I Love Train ~アジアレイルライフ~
作品のいくつかは、米屋さんのサイトにも掲載されている。 http://www.geocities.jp/yoneya231/ スマホですみません。米屋さん、最終日、多くの方々に囲まれてお忙しいところ、やっとお話しできました。。。 PR |
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