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昭和41年3月20日 柏崎駅

昭和41年3月20日 柏崎駅

記憶

20121125_000.JPGここに、1枚の国鉄柏崎駅の入場券がある。私が生まれる6年前の3月。今は亡き母方の祖母から預かったものだ。祖母は柏崎に住んでいた。

「汽車が好きらろ? これ、持ってけっや。おれが持ってても、死んだらどうなっかわかんねっけの」

祖母はそんなことを言いながら、きっぷを集めていた小学生、たぶん6年生くらいだったと思う、その私にこの入場券を寄越した。祖母の家に遊びに行くのが最大の行楽だった、昭和50年代後半の話である。

祖母がこの古い入場券を持っていたのは、偶然ではない。ちゃんと、取ってあったのだ。十数年、仏壇の下の引き出しに入れて。

20121125_001.JPG裏を返すと、ボールペンでこう書いてある。

41年3(月)20日
君代の見送り


「君代」とは、私の叔母の名である。当時18歳の叔母が、就職のために柏崎駅を後にするときの、その母による見送りの印であった。小学生とはいえ、私がそんなものを受け取っていいのかというためらいはあったが、「持ってれ(持ってろ)」と言われるがままに、大切にしまった。新潟の家に帰り、母にその話をした。

私はきっぷを手製のクリアファイルに貼って保存していたが、この入場券はそうする気持ちにならなかった。この裏面が見えるようにしたかった。といって、バラで持っていたらなくしてしまいそうだ。そこで、プラ板で挟んで、ファイルに綴じておいた。写真の下側、磨りガラスのように見えるのは、プラモデル用接着剤の刷毛の跡である。



いま思えば、なぜ祖母は私にこれを託したのだろうか。孫は私を含めて10人いた。昭和41年に見送られた叔母も既に柏崎市内に戻って住んでおり、私と同世代の子どももいた。また、直系の孫も同居していた。なのに、なぜ私に?

理由などない、のが正解である気もするが、そうでもないかな、という自惚れた思いもある。

家族で祖母宅に遊びに行ったとき、いつも子どもたち同士で最大6人くらいで同じ部屋に寝ていた。親戚宅というのはそういうものだろう。しかし、ときどき、私だけが祖母の部屋で寝泊まりした。また、祖母宅に行けば、私が幼少の頃に亡くなった祖父のために、私が一番に仏壇に線香をあげていた。別に祖父に特別な思いがあったわけではない、実は名前すら知らない。ただ「そうするのが普通だ」と思っていただけだ。それを、祖母はとても喜んでいた。一度だけ、インスタントコーヒーを飲む祖母を見て、あまりに祖母と似つかわしくなくて、「コーヒーなんか飲むんだね!」と言ったら、「ちょっとつらいことがあったときに飲むんだわ」と言っていた。祖母は、私を少しだけ、ほかの孫たちよりも大事に思っていてくれたのかもしれない。そして、「汽車が好き」ということで、このきっぷを託していいと思ったのかもしれない。

それから何年か経ち、昭和63年に祖母は亡くなった。もし、この時点で私に託していなかったら、遺品としておそらく叔母の手元に渡っただろう。叔母ももういい年だ。昭和41年から47年も経っているのだ。いままで漫然とこの入場券を手元に置いておいたけれど、いつか、「預かっていたよ」と、渡さなければいけない気がするのだが、その時のことを考えると、なぜか涙がにじむくらいなので、笑って渡せる自信はない。



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DAKOTA20とM-241の差

DAKOTA20とM-241の差

地図・航空写真・分水嶺

GPS地上絵「おどりばサムアップ熊(´(ェ)`)d」のつづき。

定番ロガー、M-241を入手したので、手持ちのgarminのDAKOTA20と比べてみた。どちらも10m間隔でのログ取得とした。比べるのは、『スマホ&カシミール3D GPSログ活用術』でもやったのだけれど、改めて。

「熊」全行程を検証しても冗長なので、端的に「足」で比較する。

(電子国土+カシミール3D)
赤がDAKOTA20、青がM-241。右下が爪先だ。そこから青が食い込んでいるけれど、これは寄り道。この地形図ではわからないけれど、GoogleMapsではここにはロータリーのような○があるのだ。


大きな地図で見る

ほら。
ここはコースから外れていたので、みんなはロガーを置いて見に行った(よんますさんが荷物番をしてくださった)。私はロガーを二個持っていたので、メインのDAKOTAは置いて、M-241だけ持っていった。だから、ここにログを残せたのは私だけなのだ、たぶん。(ルール違反かもしれない)

それはともかく、先の地図を見て欲しい。赤と青、問題になるほどの誤差はないと感じる。

では、高低差はどうだろう?

(基盤地図5mメッシュ標高+カシミール3D)

スケールファクタ(高さ)を10倍にして表示しているので、左のメモリは×0.1mで読んでほしい。「10m」とあるものは「1m」のことだ。赤がDAKOTA20で気圧高度計での取得(校正していない)、青がM-241でGPSでの取得。また、M-241は「寄り道」をしているし、両者での微細な誤差も積もれば大きいので、時刻で合わせた。

どちらが正確かといえば、DAKOTAは一様に上昇している。それを見ると、当日序盤は少し気圧が低かったようだ。

特記したい青い「A」は、例のロータリーにいったところ。その間、赤い「B」は場所を動いていないはずなのだが、高度を50cmほど下げている。気圧が少し上がったということだ。対して青はほぼ忠実に上り下りしている。


こうしてみると、DAKOTA20もM-241も、ログ取得自体はあまり差がないといえる。私はDAKOTA20に2万5000分の1地形図を入れているので、そういう意味ではとても重宝しているのだが、いまやスマホでもそれが可能になった。スマホの電池がGPS稼働で12時間持つようになれば、ロガーとしてのハンディGPSは不要になるのかもしれない。



●関連項目
http://togetter.com/li/473887

GPS地上絵「おどりばサムアップ熊(´(ェ)`)d」

GPS地上絵「おどりばサムアップ熊(´(ェ)`)d」

地図・航空写真・分水嶺

大山顕さんの呼びかけで、横浜市戸塚区踊場に描かれた「GPS地上絵」に参加してきた。
詳細はこちら

私は「右半身」に参加した。描いた後、みんなで集まってログを結合して動画にしたものがすでにyoutubeにアップされている。




改めて、事前に用意していただいたKMLデータをカシミール3Dと基盤地図5mメッシュ標高データを使い、その上に描いたものはこう。横浜(戸塚区)の地形はまったく知らないのだが、なかなかの起伏。この図の中で標高20~65mくらいある。低い方から、白→黄→緑。

右半身にしたのは、こちらのほうがアップダウンが多いと聞いたからだ。


スタート地点は「踊場駅」。ここがまた特徴的な地形だ。

大きな地図で見る

4車線の大通り(長後街道、県道22号)は「交番前」をサミットとして北西\南東方向に下り、交差する路地は「交番前」を谷底として北東/南西方向に登っていく。イメージとしては峠の堀割の位置だ。なお「踊場」とは地形を形容する地名のようにも思えるが、由来は昔話のようだ。(サイト「踊場を歩く」による)

で、「足」からしてこうだ。(電子国土+基盤地図5mメッシュ標高+カシミール3D)

どうだ、この上り下り具合。谷底に下りるとそこには開渠や暗渠がある。

GPSログの標高を地表面に修正して、右半身の高低図をカシミール3Dで描いてみる。空中写真と見比べていただきたいのだが、尻尾は反時計回り。その中ですでに上り下りしている。尻尾から足を反時計回りに回ったそのルートも、このとおり。


そんなこんなでかなりのアップダウン。累積標高は233m(打ち上げ会場で見た数値はたぶん「スケールファクター2倍」になっていたのではなかろうか)(電子国土+基盤地図5mメッシュ標高+カシミール3D)

「グッ!☆」
サムアップ。このデータは設計段階のもので、実際には親指を「大きく」描くように変更した。親指の左に大きな凹みがあるが、これは調整池で、そこをぐるっと回った。

この腕のあたり、地図でもわかるように新興住宅地であり、建物についても、地形についてもいろいろと興味深かった。大地主の家があり、それを迅速測図で見ると、当時はその一軒しか家がなかったりと相当に由緒ある家だったりして、そういう興味もある。

興味深いのは右耳。(電子国土+基盤地図5mメッシュ標高+カシミール3D)
今回の熊、作者の@kaynagさんがこの耳の形状にピンと来たことからできあがったそうだけれど、きれいに台地の上。紙地図(GoogleMapsを印刷したもの)では、この「三角」の外側に不自然な形状の病院があったため、最初はこの三角は凹地かと思ったが、現地に行ったら台地だった。そして、この台地からの眺めがすばらしい!

阿久和川を挟み、正面にはゴルフ場などがある丘、その向こうにランドマークタワーが見える。かなりの眺望の場所。ここは、周辺の高低差がある地形の中でもかなり印象に残る場所だった。

このルート、「土地の上下とは」ということを、住環境の面からいろいろと考えさせられるものだった。ぜひお一人でも歩いて欲しい。山ほどある坂、ナチュラルカーブ、谷、峠、そしてこんな表情が待っている。


より大きな地図で サムアップ熊_改良版 を表示

↑「峠」

谷底と川。


最後になりましたが、企画してくださった大山さん、よんますさん、@kaynagさん、そしてご一緒してくださったみなさん、ありがとうございました。

●よんますさん作成の、時層地図くま。(なぜか、画像が開かれて掲載されるものと、そうでないものがあります。不思議…)










●関連項目

DAKOTA20とM-241の差
http://togetter.com/li/473887

ついに『僕らはレールウェイ』を聴いた

ついに『僕らはレールウェイ』を聴いた

音楽

僕らはレールウェイ/ときめき本線の続き。

テレビ番組『いい旅 ときめき本線』から32年。ようやくそのテーマ曲『僕らはレールウェイ』を聴くことができた。レコード入手の経緯は上述の記事をご覧いただきたい。

ふとこのことをツイートしたら、テクノポップユニット三鷹のタカハシさんが「USBでPCにつなぐプレイヤーあるよ」と反応してくださり、それをお借りした。さっそく落とした。

感無量。
ここにアップして皆さんにお聴きいただきたいのだけれど、そんなことが(倫理的に)できるはずもなく…。

エンドレスで聴いている。



No Image

J型スティフナー

ポニーワーレントラス

英国系100フィートポニーワーレントラスの横桁考(7)近江鉄道愛知川橋梁に、「J型スティフナー」について追記しました。

ポニートラスの外側にときどき見かける、∠型の補強…にもならないような細い部材についてです。木造ハウトラスではその大型のものがついています。役割がわかりませんでしたが、説明のあるサイトをご教示いただきました。

詳細は上記記事をご覧ください。

目白台付近のかつての道 東京図測量原図

目白台付近のかつての道 東京図測量原図

地図・航空写真・分水嶺

都電雑司ヶ谷付近の未成道路と廃道? 東京都市計画道路幹線街路環状第5号線
坂サミットと環状4号の続き。

前回書いた、目白台二丁目交差点付近が、明治十年代にはどんな姿をしていたのか見てみよう。

まず、現在。
(カシミール3D+電子国土2500)

明治十年代(このあたりは明治16年頃測量かな)の東京図測量原図。
(カシミール3D+農研機構が提供するタイルマップ)

なんだ、不忍通りは昔っからここから分岐していたのか! 神田川の谷につながる道はなかったのか!という驚き。

東京図測量原図に描かれた道をピックアップし、電子国土2500に重ねて見よう。
こうなる。

昔からあった坂は、西から、稲荷坂、幽霊坂、胸突坂。もちろん、いまある坂は当時は獣道のような形で存在したということは十分に考えられる。

さらにいろいろ見えてくる。文京区目白台一丁目と豊島区高田一丁目の境は当時の道路を基準としている。東西方向で道路を無視して凸状になっているところがあり、これも昔の道路由来なのだろうが、なぜか最新のオンライン地図ではここは道路に沿って境が描かれている。電子国土2500のほうが正確だとは思う。

また、神田川沿いの豊島区と新宿区の境がおかしな形になっているが、これも神田川が蛇行していたころの名残だということがわかる。

GIFアニメにした。



『五千分一東京図測量原図』についてはこのリンク先にかつて書いた。いまはタイルマップで提供されているので、カシミール3Dを使えば、このような地図の閲覧や切り出しも簡単にできるようになった。しかし、電子国土2500と重ねると微妙なズレ(数m程度)を生じるので、このエントリではそれぞれの画像を手動で位置を合わせて重ねている。

(このシリーズ了)

坂サミットと環状4号

坂サミットと環状4号

道路全般

都電雑司ヶ谷付近の未成道路と廃道? 東京都市計画道路幹線街路環状第5号線の続き。

3月3日、東京カルチャーカルチャーで開催された『坂サミット』に参加してきた。まもなく発売になる『空から見える東京の道と街づくり』の制作中、衛星画像を眺めていて見つけたところについて話してきた。

黄色い部分が「気になったところ」。画像の中心は都電面影橋電停付近。左右を横切る緑色は神田川、その下の太い道が新目白通り。左上の/型の道は明治通り。右上の\型の道路が目白通り。その上に/型に分岐しているのが不忍通り。右下が早稲田大学。

十数年前かな、突然、早稲田通りと新目白通りを結ぶ4車線道路が完成した。ここだ。
なぜこんなところをつなぐのか、まったく理解できなかった。早稲田通りはそれほどクルマ通りは多くなかったし、新目白通りへの抜け道もたくさんあった。でも、それが目白通り、不忍通りとつながるなら話は別だ。

現地へ行ってみた。といってもいつも目白通りは歩いているのだけれど…。

不忍通りとの交差点。いつのまにか不忍通りが拡幅されていた。

マンションの植え込みはマンションと並行ではなく、道路と並行になっている。新しいとはいえないマンションの植え込みの形が道路計画を反映していると思うと興味深い。

現地。ここ、小布施坂が車道になる。と思っていた、最初は。

下まで下りると、かなり立ち退きが進んでいた。1990年代にこのあたりに住んでいたのだけれど、当時のこのあたりはとくに印象がない。つまり、「普通に民家があった」のだと思う。

振り返ると、「坂」が姿を現していた。ここを道路で駆け上るのか…? 

そう思って地形に沿って角度を計算すると、10%勾配くらいになる。4車線の幹線道としてはちょっと無茶だろう。かといってここから高架橋で持ち上げるような、景観を台無しにするようなことはないだろう。それならなにかしら話題になっているはずだ。じゃあ、斜面にぶち当たったところでトンネル…?

現地に説明板があった。そこに、トンネルが書かれている。推理があたった。

事前に見ていた文京区の都市計画図(オンラインで閲覧可能)、よく見るとそこにもトンネルが書いてあるじゃないか。また、これを見ると、不忍通りがなぜ拡幅させるのかもわかった。

現地の鳥瞰図をカシミール3D+基盤地図5mメッシュ標高+電子国土2500で作図、加工。こうなるのだな。

そして、不忍通りは向こうに向かって下がっているので、いまの目白台二丁目交差点は「峠」になることになる。だれもそんなことは言わないけれど、新しく峠ができる。そんなことをプレゼンした。


次回はこうした道路が明治初期にどうだったか、などを見ます。




都電雑司ヶ谷付近の未成道路と廃道? 東京都市計画道路幹線街路環状第5号線

都電雑司ヶ谷付近の未成道路と廃道? 東京都市計画道路幹線街路環状第5号線

廃道

現在、都電荒川線が目白通りの下をくぐるあたりから東北側に、都電を挟む形で道路工事が進行中である。20130302004.jpg
都電の路盤の両側に片側1車線と幅広の歩道が設置できるように(と推測する)確保され、すでに副都心線の駅舎や周辺の建物はその形状に沿って建てられている。

ここに、閉鎖された踏切がある。
20130302001.JPG
20130302003.JPG遮断棒は取り外されている。踏切部分は、まだ「そのまま」だ。

20130302002.JPG「踏切注意」と書いてあるこの盤、回転するだろうとは思っていたが、まさか「使用停止」に切り替わるとは予想外だった。

20130302000.JPG反対から。

踏切用地は鉄道の敷地である。だから、ここを「廃道」と呼ぶことは、おそらく不適切であるに違いない。あくまでも踏切が廃止されたのであり、道路が廃止されたのではない…と思う。とはいえ広義の「廃道」といってもいいだろう。

紺地の進捗が著しいので、GoogleMapsもおいついていない。ストリートビューでは供用中の踏切どころか、北側の道路すらない。

20130302005.JPG(上の画像はキャプチャです。画像をクリックすると、ストリートビューのウインドウに移動します。ストリートビューが更新されたときにこの場面が消えてしまうのを防ぐためにこうしています)



ここは、東京都の都市計画道路の「環5ノ1」だ。豊島区の都市計画のサイトに詳細がある。

20120401-4.jpg(クリックすると豊島区の都市計画のサイトに飛ぶ)

「環5ノ1」とは要するに明治通りで、その一部の未開通部分が、ここだったのである。ここが開通すれば、池袋駅前のボトルネックが改称するに違いない。



キハ07の前面窓のような意匠を持つ元給油所

キハ07の前面窓のような意匠を持つ元給油所

ENEOS/日本石油

20130301001.JPGめったに走らない多摩堤通で出会った、元給油所の建物。道路に対して、建物のコーナーをあてがい、建物の「面」はそれぞれ通りに対して45度になっている。

…と思いきや。

大きな地図で見る

敷地が直角三角形で、その直角に合わせたら、ちょうどコーナーが多摩堤通を向いた…ということのようだ。いや、そこから発想してのこの形に違いない。

20130301002.JPG3階建ての建物の、ヒサシがいい。

そして、どうだ、このコーナーのRの見事さは。Rに沿ってはめ込まれたサッシはキハ07か、あるいはクモハ52狭窓か。

Kiha07-41JNR.JPG(撮影:Rsa ライセンス:GFDL/CC3.0)

しかし、その美しいコーナーに対して、キャノピーがいささか無粋に感じる。道路側の支柱が下すぼまりの角柱で、建物側の2本が円柱であるという点もいただけない。もしかしたら、最初はキャノピーはなくてサービスルームだけで、かなり時が経ってから、キャノピーを増築したのではないだろうか。

20130301000.JPGああ、美しい。まるで採石場の事務所棟(コーナーの一つの窓が開く)、あるいは古い郵便局社内の窓口のようだ。この、Rの向こうでこちらを向いて書類作業をしている人の姿を想像してしまう。

この元給油所が別の建物に見えるのは、防火壁がないためもあろう。建物に向かって右に壁が見えるが、防火壁の高さは1mでもいいはずなので、もしかしたらそうなのかもしれないが。

* * *

1990年代の地図を見ると、ここは日本石油だった。そして、上のGoogleMapsをクリックしてストリートビューを写せば、2009年8月撮影の、閉鎖されて白塗りにされたばかりのこの建物が写っている。現役時代の写真が見たい。

 

『廃道クエスト』DVDが持つ感染力

『廃道クエスト』DVDが持つ感染力

廃道

06.JPG3月2日に、日活から廃道の映像を収録したDVD『廃道クエスト』が発売される(販売元:ハピネット)。

映像での表現には向いている題材とそうでないものがある。私はこれを見るまで、「廃道は向いていないんじゃないか?」などと思っていた。道路という、細く長いものが被写体である。だから、スチルでないと…などと思っていた。しかし、それは大きな誤りだった。過去に軍艦島や鉄道廃線跡の映像化を手がけてきたオープロジェクトの作品である。そんな、素人の想像を吹き飛ばす上質な編集がなされていた。

10.JPGこうした、極めて趣味性の高い映像作品を作るには、二つの考え方があると私は思っている。一つはテレビのバラエティ番組のように芸人を出演させ、そのスター性だけでやってしまうこと。制作側の意図はまったくなく、すべて芸人にお任せしてしまう作り方。「ネタ」として芸人に消費されることも多く、その場合は趣味者はとてもにうんざりする。

もう一つは趣味者の視点を主軸に、きちんと「趣味者が伝えたいこと」を制作者が汲み取ってまとめる作り方。タモリの番組の評価が比較的高いのは、タモリは後者のスタンスだからだろう(タモリ倶楽部は、たまにゲスト芸人が出しゃばりすぎてつまらなくなる)。本作ももちろん後者の作り方で、しかも、その距離感がとてもうまい。オープロジェクトとして出演している黒沢永紀さんが引き出し役となって、平沼さんや石井さんが語り、見せてくれる。この名リードっぷりがあってこその本作だ。

* * *



今回、事前にダイジェスト版がyoutubeにアップされた。それがあまりに「いい場面」が続くので、「いいとこを惜しみなく出してしまっていて、DVD製品版は『残りもの』なんじゃないか?」と疑っている人もあるかもしれない。これには明確に異を唱えよう。

廃道を歩くことは、そのクライマックスたる廃隧道を見て気が済む、というものではない。そこに至る道中の歩き、いや道そのものが楽しいのであって、廃隧道はそのおまけのご褒美でしかない。本映像からは、そのことが繰り返し感じられる。そのように作ってある。見ていて口を挟みたくなる。「おれが行ったときも、こんな空とこんな林だった」とか、「この路面の濡れ具合、いいよね!」とか。見た人が受け取って投げ返す余白がある作品は、映像にしろ紙媒体にしろ大好きだし、すぐれた作品だけが持つことができると私は考えている。

本作最後に黒沢さんの締めが入るのだが、本当に廃道や道路について本質から理解されているのだな、というのがよくわかる。

02.JPG石井さんも、いわゆる探索に適した格好ではなく普段着で探訪することを問われて「道ですから」と答えている。そうだよな、それが本質だ。

こう考えると、私はあまりいい歩き方をしていないかもしれない。やっぱり、少しでも先に行きたいし、少しでも早くクライマックスにたどりつきたい。装備はそれなりにちゃんとする。登山で言えばピークハントすれば気が済む、ような。これからは、もっと「道のひとりじめ」を楽しもうと思った。

そこらへんで寝転がってしまうヨッキさん。私も今度から、もっともっと道と戯れよう。
08.JPG04.JPG05.JPG

* * *

さて、内容はといえば、口述レポである。カルカルの『廃道ナイト』でのメインディッシュたる口述レポ。それが全編にわたって続く。イベントが1回2500円である。本作は3990円(amazonでは2928円)。高くない。いや、安い。もし関東在住でないという理由でイベントにいらしたことがない方は、「これが口述レポか!」と得心いただけると思う。口述レポは前述の通りダイジェスト版では出てこない部分であるので、買ってのお楽しみである。

09.JPG個人的には、雨の日の廃道をひとり歩いて写真を撮ってみたいと思った。

03.JPG
降雪直前の栗子隧道(山形側)にも行ってみたいと思った。私が行ったのは10月だったので、まだススキの繁茂でこのようには見えなかったのである。

07.JPGあと、ここ。南部新道の坑門脇にある砂防ダム。この砂防ダムから坑門への流れに、打たれた。この砂防ダムの存在感は、私の道路的琴線に強く触れた。

* * *

繰り返しになるが、本作は「買い」だ。その際、ぜひヨッキれんさんのサイトから購入すれば、氏への支援となる。


最後に。
エンディングのインターバル撮影、これはこれで、すごい。ここだけ、繰り返し何度も見た。映像ならではのものだ。本映像は素晴らしい言葉が散りばめられているのだけれど、私たち愛読者はすでにそのスタンスを知っている。だから、いちばんグッときたのはここだ。


おまけ:
『廃道クエスト』というかすれたタイトルロゴは、パッケージ、リーフレット、DVD本編、盤面に記載されているが、よく見るとすべてかすれ方が違う。なんでそんな手の込んだことになっているのかは、予想はつくが真相は知らないので、イベントで聞いてみようと思う。

あ、3月23日については公式発表があったら追記します。


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