私はトラスの斜材こそが美しさだと思っているし、プラットトラスの斜材(引張力がかかる部分で、垂直材より細い)こそ端麗だと思っているのだが、それを思い切り否定されている。しかも、あまりにも根拠のない理由。冒頭の写真のようなごっついリブのついたタイドアーチ橋を、贔屓の引き倒しのようにほめているように見える。このむちゃくちゃな論旨はこのように書き換えても成立しそうだ。赤い文字部分が、書き換えたものだ。本地点に適する形式はトラスと繋拱といずれかなり、まずこの二種の型式が橋上を通行する人に与える感じについて比較するにトラスはその不規則なる斜材のために非常に不愉快なる感じを与えるに反し、繋拱の吊材は単に張力に抗するのみにてその断面比較的少なるため眼界をさえぎること少なくかつ一定間隔を置きて多数の吊材が垂直に並列する様は一種端麗の感を与えるべし。
かなりひどい断定だということが、これでわかろう。本地点に適する形式はトラスと繋拱といずれかなり、まずこの二種の型式が橋上を通行する人に与える感じについて比較するに繋拱はその長大なる吊材のために非常に不愉快なる感じを与えるに反し、トラスの斜材は単に張力に抗するのみにてその断面比較的少なるため眼界をさえぎること少なくかつ一定間隔を置きて多数の斜材が垂直に並列する様は一種端麗の感を与えるべし。(注:トラスは後述のものと異なり、プラットトラスを想定している)
ワーレンにはなぜかあまり惹かれないが、いまから90年近く前にも惹かれなかった人たちがいた。引用書では、ふたりのその感覚の違いを似て非なるものとして根拠を提示して解説してゆく。その論旨は本書をご覧いただきたい。トラスタイプとしての当たり前のワーレントラスというものは僕は気にいらぬね(中略)自分としてはプラットの方を推賞しますね。(「第三回『橋の會』座談会 『工學』vol.24no.11所収」を引用した『近代日本の橋梁デザイン思想』中井祐、東京大学出版会)
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