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大阪で開催された「どぼくカフェ『道ちゃん大集合!』 in 大阪」に参加してきた(「みっちゃん」と読む)。主催は土木学会関西支部FCC(フォーラム・シビル・コスモス)。facebookで『道カードを作ってみよう』に投稿したのが縁だ。「道カード」は実際に作られている。

「ダムカード」のように道路の管理事務所で配布できればいいのだろうが、なかなか難しいようで、現段階ではイベント等での配布となっているようだ。私はかなり道路を走ってきたつもりだが、道路の写真を撮るようになったのはここ5年ほどであり、さらに国道の「おにぎり」はとくに撮ってもいなかったのだが、立ち寄った旧道・廃道に「おにぎり」があったときに撮ったものがいくつかあり、そのうち国道121号と228号で採用していただいた。なお、道カードには撮影者ごとにイニシャルとともにナンバリングされるのだが、うっかり読みを伝えなかったか、私のは「YI」ではなく「HI」になっている。「祥行(やすゆき)」と読ませるのは無理な要求だろう…。


さて、イベント。実に素晴らしかった。最初に主催のFCC代表幹事の高橋良和さんからイベントについてのお話があり、登壇者順に、私、山形みらいさん、江種洋一さん、林昇平さん、長野淳さんの順で道の楽しさをめいっぱい展開。時間が押してしまって松波成行さんのは超特急でのまとめになってしまった。そして最後に大阪市建設局道路部の中野泰也さんのお話。大阪市の道路のこと、個人的な好みのことなど、中でも興味深いのはこれだ。
「大阪市では、国直轄の国道のほか、政令市が管理する国道(172号、176号、308号、309号、423号、479号)があります。なぜか、『おにぎり』が設置されていない」
そうだったのか。そして、それを設置すべしという働きかけもしているという。道路行政の中にいる方々は、外野の趣味者などにはわからない、大変な愛着と苦労があるだろうことが垣間見えるプレゼンだった。

個人的には、山形みらいさんのプレゼンがすばらしく、ああ、ここまで作り込み、ここまでなりきらないといけないのだな、と深い感銘を受けた。いずれみらいさんのブログにレポートが出るだろう。一方、私は写真や地図を織り交ぜながら、基本的な国道の旧道と廃道の話をした。そのスライドはこちらにアップしてある。125MB。閲覧のみならご自由にどうぞ。関東の方はよっきれんさんの『廃道ナイト』ですごいものを見過ぎているので「なんだ、普通の道か」と思うかもしれないが、今回はそういうイベントなので…。

* * *

この後の懇親会も素晴らしかった。オンラインでは会話していたものの、お目にかかったことがない方々…出演したみなさんも、お客様としていらした方々も…ととても愉快な時間を過ごすことができた。とにかく、みな、よく知っている。走っている。3次会が終わるころには0時を過ぎ、ホテルに向かう電車がなくなってしまったが、朝まで続けたかったくらいだ。

ぜひまた開催して欲しい。個人的には関西で開催され、それが(内輪のイベントにならずに)東西交流になればとも思う。一方で、東京でもイベントができないかと考える。

* * *

最後に。冒頭写真のミニチュア標識、これは大蔵製作所によるものだ。サイトはこちら。もう少し安いと買うのだけれど…!



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JR四日市駅から末広橋梁(可動橋)を目指して歩いていると、保線車両の車庫の横に、プレートガーダーが一つ+三つ、保管してある。これらはおそらく災害用の予備の桁であろう。JR東海管内では時折見かける。

上の写真は大型のもので、銘板等はないので詳細はわからない。

「三つ」のほうはこのように重ねて保管してある。

塗装表記。

型式 大正9年式
支間 5M05
塗装年月 1989年12月
塗装回数 3回塗
塗装種別 下塗 塩基性クロム酸鉛さび止ペイント(鉄けた用)
及塗料名 中、上塗 長油性フタル酸樹脂塗料(鉄けた用)
塗料メーカー 大日本塗料株式会社
施行者 中施施設工業株式会社

これが、カッティングシートのようなもので切り抜き文字として貼り付けられている。

この「大正9年式」というのは『鉄道構造物探見』(小野田滋著)に掲載されている、大正9年3月4日の「達198号」による、6、8、10、12、15、20フィート桁(クーパーE40)なのだろうが、5m05という寸法は16.56フィートであり、どういうことかはわからない。


こちらは槽状桁。

微妙に柵の向こうなのでよく見えないのだが、この溝状の部分にレールを固定する。それにしても、同じものが三つあるというのは、駅構内などので使われていたのだろうか。

こうした災害用桁は桁の架け替えで捻出されるものだと思うが、果たしてどこから来たものなんか。それがわかると一段と「味わえる」のだが。




【関連項目】
中央本線須原駅 災害用桁(ポーナル桁)
「架空の地図」の作者、「地理人」こと今和泉隆行さんの著書が刊行された。『マッピングナイト』は今和泉さんが突然現れた「3」も登壇した「4」も別件があって行けなかったけれど『タモリ倶楽部』は見ていた。そして、おもしろいテーマだけれど、空想地図の話だけで一冊の本にするのは難しいのではないか、さてどういう構成になるのか…と興味深く思っていたところ、私の予想などとは全然違う本に仕上がっていて驚いた。もちろん、違ったのは「いい方向に」だ。

本書は、空想地図を題材にした、偉大なる観察眼の養成講座というか、その獲得のプロセスと、さらにそれを実際の町並みにあてはめて考えた、都市計画を帰納法で考えていく(などという言葉や表現は一切ないが)本であった。

今和泉さんが、子供の頃からいかにして街をながめ、いかにして把握しようとし、そして把握していったか。そのプロセスで、観察眼が養成され、空想地図にフィードバックされていった。今和泉さんの空想地図があまりに「本物ぽい」のは、きちんと街を観察していて、その理屈に従って描いているからなのである。

だから、この本は、地図が好きとか、街歩きが好き、という人にこそ読んで欲しいと思う。

* * *

こういう本格的な架空の地図は描いたことはないが、鉄道模型の小さなジオラマを手がけようとしたことはある。着手はしたものの、初期の段階でつまづいてやめたのだ。つまづいたのは、道路や街をどう配置すればいいか…どころか、どういう地形を作ったらいいか、というアイディアが出なかったからである。例えば牧場を作ろうとする。では、牧場は、どういう場所にあるのか。地形をどう利用しているのか。牛舎はどうあるのか。柵はどうめぐらされているのか。そういったことを想像できない限り、着手することができなかった。

悪い例をひとつ。京都の嵯峨野観光鉄道のトロッコ嵯峨駅にある「ジオラマ京都ジャパン」のジオラマを見てみよう。
こんな建物の並べ方はないだろう! 

ここには町並みをまったく感じない。ただ適当に建物の模型を置いただけ。駅前に唐突に住宅がある。遊園地がある。団地がある。そこから100mも離れずに茅葺き屋根の家が、多の建物に挾間さてある。木造長屋や倉庫がある。こんな町並みなどあってたまるか!

1980年代前半の、確かNゲージPLAYMODELだったと思うが、そこに発表されたジオラマに夏の神社があった。鉄道は出てこないジオラマだが、そこにはストーリーがあった。神社のいわれもあった。そこでの祭りがどういうもので、それを支えている町の人はどういう人で…という設定があった。ジオラマは、そうであってこそ、リアリティが出る。空想地図と同じだ。

模型鉄道地鉄電車』(宮下洋一著/ネコパブリッシング)という素晴らしい本がある。この本に掲載されているジオラマが素晴らしいのは、ごく小さなスペースでも、それがあまりにリアルだからだ。眺めていると「そうだ、線路脇ってこんなだ」「家の横ってこうなってるよね」という発見の驚きばかりだ。もっとも、そうしたことは、昔から繰り返し雑誌で訴えられてきたことではある。

* * *

今和泉さんは、街を把握する際に、俯瞰しよう俯瞰しようとしている。その姿勢が、とても共感できる。そして、特定の、例えば建築の観点からだけで語ろうとしないように注意している。そうしたフラットな目を持ち、さらに、俯瞰するだけではなく、きちんと咀嚼しなければフィードバックはできない。その咀嚼ができていることで、空想地図はリアリティを持った。

* * *

さて、子供の頃から何度か架空の鉄道の地図を作り、でも駅前の道路すらどう書いていいかわからず放棄することを繰り返した私がいま空想するのであれば…。

今和泉さんの「中村市(なごむるし)」は内陸の都市という設定である。しかし、新潟生まれの私としては、港湾都市を想像するだろう。どういう規模の港湾で、旅客船は入るのか、貨物の流動はどうか、鉄道駅との結びつきはどうか、河川との関係は…。いや、こう考えると、自分が地図の上で何を把握したがっているのかを確認することだと気づく。

空想地図を描こうとは思わないが、空想からリアルに戻っていくことができる本書は地図というよりも街の成り立ちのような話が好きな人にはぜひ読んで欲しいと思う。

最後に。
本書のカバーが秀逸である。装丁は小沼宏之さんだ。


近鉄八王子線。軌間762mm、存廃に揺れたこの短い線の終着駅がこの西日野駅だ。

ホーム週間に駅舎が立ちはだかる。そしてその前に、駅便。

コンクリートブロック造り。

小便器。こういうトイレでも、バリアフリー対策として手すりが設けられているのだが、そもそも段差があるから車椅子は無理で、これはもっぱら松葉杖とかそういう人向けであるに違いない。

個室にも手すりが! もちろん汲み取り式だ。




スチーブンソン式弁装置が動く!(東武博物館)
スチーブンソン式弁装置が動く!動画編(東武博物館)の続き。

梅小路蒸気機関車館に、元日鉄鉱業の1080が保存されている。これの下回りをノーファインダーで撮った。

後部、動輪側。動輪の車軸に、赤い円盤が四つついている。上向きの棒が全身用の偏心輪+偏心棒、下向き(水平に見える)の棒が後進用だ。

前方。巨大なクリップみたいな部品が加減リンク。そこから前方(写真で言うと左下側)に向かって偏心棒が突き出している。

別角度。

弁心棒。これがピストン弁(蒸気をシリンダーに入れる向きと量を調節する弁)をスライドさせる。


スチーブンソン式弁装置は、国鉄制式機のようなワルシャート式と違い、なじみがない方も多かろう。こちらのサイトにリンクを介したものだがGIFアニメがある。また、英語版wikipediaにはそれを改変して90度回転させたGIFアニメがある。これを見ると、前進時にも後進用の一式を動かしているのはいかにもムダで、徐々に廃れていったのもなるほどと感じる。




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