現在、都電荒川線が目白通りの下をくぐるあたりから東北側に、都電を挟む形で道路工事が進行中である。
都電の路盤の両側に片側1車線と幅広の歩道が設置できるように(と推測する)確保され、すでに副都心線の駅舎や周辺の建物はその形状に沿って建てられている。 ここに、閉鎖された踏切がある。 踏切用地は鉄道の敷地である。だから、ここを「廃道」と呼ぶことは、おそらく不適切であるに違いない。あくまでも踏切が廃止されたのであり、道路が廃止されたのではない…と思う。とはいえ広義の「廃道」といってもいいだろう。 紺地の進捗が著しいので、GoogleMapsもおいついていない。ストリートビューでは供用中の踏切どころか、北側の道路すらない。 ここは、東京都の都市計画道路の「環5ノ1」だ。豊島区の都市計画のサイトに詳細がある。 「環5ノ1」とは要するに明治通りで、その一部の未開通部分が、ここだったのである。ここが開通すれば、池袋駅前のボトルネックが改称するに違いない。 PR …と思いきや。 大きな地図で見る 敷地が直角三角形で、その直角に合わせたら、ちょうどコーナーが多摩堤通を向いた…ということのようだ。いや、そこから発想してのこの形に違いない。 そして、どうだ、このコーナーのRの見事さは。Rに沿ってはめ込まれたサッシはキハ07か、あるいはクモハ52狭窓か。 しかし、その美しいコーナーに対して、キャノピーがいささか無粋に感じる。道路側の支柱が下すぼまりの角柱で、建物側の2本が円柱であるという点もいただけない。もしかしたら、最初はキャノピーはなくてサービスルームだけで、かなり時が経ってから、キャノピーを増築したのではないだろうか。 この元給油所が別の建物に見えるのは、防火壁がないためもあろう。建物に向かって右に壁が見えるが、防火壁の高さは1mでもいいはずなので、もしかしたらそうなのかもしれないが。
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1990年代の地図を見ると、ここは日本石油だった。そして、上のGoogleMapsをクリックしてストリートビューを写せば、2009年8月撮影の、閉鎖されて白塗りにされたばかりのこの建物が写っている。現役時代の写真が見たい。 映像での表現には向いている題材とそうでないものがある。私はこれを見るまで、「廃道は向いていないんじゃないか?」などと思っていた。道路という、細く長いものが被写体である。だから、スチルでないと…などと思っていた。しかし、それは大きな誤りだった。過去に軍艦島や鉄道廃線跡の映像化を手がけてきたオープロジェクトの作品である。そんな、素人の想像を吹き飛ばす上質な編集がなされていた。 もう一つは趣味者の視点を主軸に、きちんと「趣味者が伝えたいこと」を制作者が汲み取ってまとめる作り方。タモリの番組の評価が比較的高いのは、タモリは後者のスタンスだからだろう(タモリ倶楽部は、たまにゲスト芸人が出しゃばりすぎてつまらなくなる)。本作ももちろん後者の作り方で、しかも、その距離感がとてもうまい。オープロジェクトとして出演している黒沢永紀さんが引き出し役となって、平沼さんや石井さんが語り、見せてくれる。この名リードっぷりがあってこその本作だ。
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今回、事前にダイジェスト版がyoutubeにアップされた。それがあまりに「いい場面」が続くので、「いいとこを惜しみなく出してしまっていて、DVD製品版は『残りもの』なんじゃないか?」と疑っている人もあるかもしれない。これには明確に異を唱えよう。 廃道を歩くことは、そのクライマックスたる廃隧道を見て気が済む、というものではない。そこに至る道中の歩き、いや道そのものが楽しいのであって、廃隧道はそのおまけのご褒美でしかない。本映像からは、そのことが繰り返し感じられる。そのように作ってある。見ていて口を挟みたくなる。「おれが行ったときも、こんな空とこんな林だった」とか、「この路面の濡れ具合、いいよね!」とか。見た人が受け取って投げ返す余白がある作品は、映像にしろ紙媒体にしろ大好きだし、すぐれた作品だけが持つことができると私は考えている。 本作最後に黒沢さんの締めが入るのだが、本当に廃道や道路について本質から理解されているのだな、というのがよくわかる。 こう考えると、私はあまりいい歩き方をしていないかもしれない。やっぱり、少しでも先に行きたいし、少しでも早くクライマックスにたどりつきたい。装備はそれなりにちゃんとする。登山で言えばピークハントすれば気が済む、ような。これからは、もっと「道のひとりじめ」を楽しもうと思った。 そこらへんで寝転がってしまうヨッキさん。私も今度から、もっともっと道と戯れよう。
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さて、内容はといえば、口述レポである。カルカルの『廃道ナイト』でのメインディッシュたる口述レポ。それが全編にわたって続く。イベントが1回2500円である。本作は3990円(amazonでは2928円)。高くない。いや、安い。もし関東在住でないという理由でイベントにいらしたことがない方は、「これが口述レポか!」と得心いただけると思う。口述レポは前述の通りダイジェスト版では出てこない部分であるので、買ってのお楽しみである。 降雪直前の栗子隧道(山形側)にも行ってみたいと思った。私が行ったのは10月だったので、まだススキの繁茂でこのようには見えなかったのである。
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繰り返しになるが、本作は「買い」だ。その際、ぜひヨッキれんさんのサイトから購入すれば、氏への支援となる。 最後に。 エンディングのインターバル撮影、これはこれで、すごい。ここだけ、繰り返し何度も見た。映像ならではのものだ。本映像は素晴らしい言葉が散りばめられているのだけれど、私たち愛読者はすでにそのスタンスを知っている。だから、いちばんグッときたのはここだ。 おまけ: 『廃道クエスト』というかすれたタイトルロゴは、パッケージ、リーフレット、DVD本編、盤面に記載されているが、よく見るとすべてかすれ方が違う。なんでそんな手の込んだことになっているのかは、予想はつくが真相は知らないので、イベントで聞いてみようと思う。 あ、3月23日については公式発表があったら追記します。 立て看板は「大船工場長」である。その名称が使われていたのは2000年6月末まで。 * * * このすぐ東に小袋谷跨線橋がある。いま架け替え工事をしているのだが、あいにく時間がなかった。その狭さ、古さを確かめに、もう一度行ってみようと思う。 大きな地図で見る ●鎌倉市のサイト twitterでもお知らせしましたが、3月3日(日)に、お台場の東京カルチャーカルチャーで開催される『坂サミット』に出ます。 ・東京カルチャーカルチャー 坂といえば地形、地形といえばカシミール3Dですよねえ。まあ、壇上で5mメッシュをいじくっていてもそれなりに楽しいと思うのですが、やっぱり「坂」、いや「坂『道』」じゃないと…とも思うので、「道」方面の話にしようかなあと思っています。 でも、ぼくにとって「坂」というのは、こういうものなんですけどね。 ![]() あるいはこういうの。 ![]()
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あと、もうすぐ告知できると思いますが、3月23日もぜひ空けておいてくださいませ。 |
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