天草上島・下島の間の本渡瀬戸は、地図だけ見ると運河のようにも見えるが、もともとの海峡だ。
そこに架かる昇開橋が、この瀬戸歩道橋。昇開橋だ。動画は倍速。渡ったらすぐ上昇した後、けっこうな頻度で船が通るので、戻るのにやきもきしてしまった。 天草下島側から。左の建物が操作塔。 主塔上部にモーターがあるのだと思うが、その操作用のケーブルは下島側の主塔を上り、昇降桁の上空を通って上島側の主塔に渡っていると思われる。 これらローラーはガイドの役割のみで、ローラーに動力はない。 下島側の親柱、左は「昭和53年3月竣功」、右は「瀬戸歩道橋」。 この本渡瀬戸には、古くは1923年に旋回橋が架けられ、1958年には跳開橋となった(写真2点は国土交通省九州地整熊本港湾・空港整備事務所より)。1枚目写真奥の天草瀬戸大橋は1974年完成。高さがあり、歩行者は大幅な迂回と昇降を強いられるために、この瀬戸歩道橋が設置された。 幅は1車線分、といったところだろうか。人もバイクもそこそこ通行する。 天草上島側。 桁が上がっている間は赤信号がつき、遮断桿が下がる。鉄道用の装置とは異なるようだ。 昇降桁の裏側。カウンターウエイトは見えない。主塔の中にでもあるのだろうか。 天草上島側の親柱は、下島側と同じだ。 PR 熊本県の三角線の橋梁。三角線は九州鉄道が比較的初期に敷設した路線で、開業は1899年と、歴史が非常に古い。この桁はハーコート製だ。(とは、かつての歴史的鋼橋集覧には記載がなかったような気がするが、その後身である歴史的鋼橋検索ではそうある) 車両の大型化に伴う補強とのことだが、いつの改造かはちょっとわからない。「鉄道における鋼橋の改造と補修」(野澤伸一郎)によれば、陸羽西線の界川橋梁の補強が1948年で、「全国約で700連がフィンク補強されたといわれている」とあるので、その頃だろうか。国鉄蒸機の制式機への集約の時期を考えてもそのころか。 『機関車表』(沖田祐作)によれば、熊本にC11が配置された最初は1950年10月15日のC11 190である。動機は大井川鉄道での動態保存機として知られ、いまはトーマスとなっている。ただし、ほかに1955年8月1日「現在」熊本配置ながらそれ以前の経歴不明のC11も多数ある。 なお、それC11以前はどの形式が使われていたかはわからない。戦後まで2120が熊本に配置されていたのは確認している。しかし、軸重でいえば、2120>C11だ。 【同日修正】 ドボ博「川はマイナーだけど、鉄道構造物ではそこそこ~超有名な川番付」では「大正時代末から昭和時代初期にかけて桁のフィンクトラス補強が行われた」とある。 同論文には、支間が20ftを超えるとクイーンポスト形式となる、とある。波多第4橋梁は支間9.17m。「この程度の短さなのに…」と考えてしまうが、それは現代の水準で作られた橋梁ばかり見ているからそう思ってしまうのだろう。 橋梁下部には、補強を点検するための通路が設置されている。それだけ頻繁に点検する必要があるのだろう。鳥除けだろうか、そこにネットがかかっているので、補強の美しい姿が隠されてしまっている。2013年のストリートビューにはこのネットはない。 塗装標記。「支間10M09」とあり、「歴史的鋼橋検索」の「強調10.07m、最大支間長9.17m」とは数値が異なる。 反対側から。 元の位置で引いて見る。一般道と同時に河川も跨いでいる。この川は、GoogleMapsでは「八柳川(はちやながわ)」と表示されるが、「川の名前を調べる地図」では「波多川」となっている。本流は波多川であり、八柳川は支流。石打ダムがあるのが八柳川だ。 また、この道路はこの部分で桟橋状に河川上の張り出しているのわかる。開業時は車道ではないので、車道への改良時にこのようになったものだろう。波多第4橋梁も、その下の道路も、それぞれ近代化改修がなされている。 片洞門を見るために四国の石鎚山に向かう道を走行中、ボーストリングトラスが目に飛び込んできた。まったくのノーチェックだった。「歴史的鋼橋集覧」にはない。 検索すると、いろいろな情報が出てきた。本四高速のサイトで紹介されているくらいだが、そこでは「曲弦トラス」と書かれている。ボーストリングトラスは曲弦トラスの一種ではあるが、上弦が円弧状で端柱もその延長線上にあるため「アーチの一種」という主張もあり、また特有の弱点もあるので一般的には分けて考えるんじゃないだろうか。 垂直材は下弦を過ぎて延び、横桁を保持している。また、一部、補修がなされていて、その部分はボルトが使われている。リベットを置き換えた部分もあるのかもしれない。 垂直材は2組が背中合わせになっていて、レーシングの厚みだけ離れている。 そこだけを見ると、噛み合わせになっているように見える(噛み合わせではない)。 一部に補修の跡。 県道側(左岸)。耐荷重は14t。 この県道は行き止まりだ。なのに、大正14年にこの規模で架設されたというのは、なにか理由があるはずで、土木学会の選奨土木遺産・大宮橋の解説では、 このような芸術的な橋(筆者注:大宮橋)が、ほとんど人の訪れることのない山奥に架かっているのには理由がある。実はこの橋(筆者注:大宮橋)は、瀬戸内海側の西条から四国山地を抜けて太平洋側の高知へ至る幹線道路の一部として建設された。(中略)ルート上には、大宮橋以外にも、鋼トラス橋である千野々橋(1925(大正14)年)、RC充腹アーチ橋である河口橋(1925(大正14)年)などの古い立派な橋も現存(中略)。この幹線道路は、明治から戦前にかけて別ルート(現在の国道194号)との誘致合戦があり、地元の熱烈な誘致運動が行われた(中略)このルートは戦後になって誘致合戦に敗れたため、現在では、大宮橋は人知れずひっそりと残されている。とある。その一環として、この規模の橋が架けられたのだろう。なお、私は帰宅後にこの解説を見たので、大宮橋は行っていない。 それともう一つ、その大宮橋付近では、別子銅山と同様に(?)銅の鉱脈があり、新居鉱山・西之山鉱山があったことは、何か関連があるかもしれない。 ・愛媛県生涯学習センター ・気ままに鉱山・炭鉱めぐり 現在では上流に新しい橋が架けられており、こちらは旧道だ。 左の親柱は「加茂川」、右は「千野々橋」。 右岸。左の親柱は「大正14年5月完成」、右は「ちののはし」。「完成」という表記は珍しい。 気づきにくい場所に銘板があった。 千野々橋 大正14年5月 愛媛県 昭和44年11月補修 新橋維第1号 昭和55年3月補修 新橋整第1号 使用鋼材 SS41. 製作 住友重機械工業株式会社 右岸より。 渡った先の千野々集落の入口。
「平成の大合併」前の市町村界をGPSデータ(GPX)としてカシミール3Dに表示する方法
「平成の大合併」前の市町村界・市町村名・県界とGPSログをQGIS上で重ねて表示する方法 の続き。 QGISで「平成の大合併」前の市町村界と、私の2010年以来のGPSログを重ねて表示し、GPSログがない市町村を手作業で確認した。上の地図は、「方法」を書いた際の地図とは体裁を変えてある。 ●確実に訪問したけれどGPSログがない…133 ●訪問したか記憶が曖昧/していない…192 ●訪問していない島嶼部…77 (合計)402市町村 となった。2000年10月1日現在の市町村数は不明だが、1999年4月1日現在では3229なので、そう変わらないと思う。約12%にGPSログを残せていない。 意外にも北海道にGPSログがない市町村があったし、長野も若いころはよく行っていたものの近年は「近すぎて」行っていなかったりする。一方、鳥取や徳島、高知は1自治体しか残っていない。そんなおもしろい発見があった。 しかし、逆に言えば、13年間で、3229の市町村のうち約88%に足を踏み入れたことになる。まったく狙ってはいなかったが、「GPSログがないところを走ろう」という意識はあるので、その結果だ。そして、おそらくその半分は再訪だろう。 この作業をすることで、今後の旅の目的が増えた。目指すは全3229市町村にGPSログを残すことである。例えば北東北にツーリングに行くときは、上の地図に記した(旧)市町村の訪問を目的とする。 小笠原や沖縄の離島など、すぐには難しいところもあり、それらまで網羅できるのは、定年退職後かもしれない。気長にGPSログを取り続けていこうと思う。 == さて、「必要な市町村界」だけ残す作業は、こうだ。 ①レイヤーを選択 ②鉛筆アイコン「編集モードを切り換える」 これで、ポリゴン(市町村界と市町村名が一体になったもの)を選択・削除できる。左の矢印アイコンで「地物を選択」を選ばないとダメかもしれない(が、よくわからない)。 それをQGISでgeojasonに書き出して、iPhoneやiPadのアプリケーション「スーパー地形」で読み込む。そうすれば、現地で、現在地と旧市町村界を重ねて表示することができる。 方法は、市町村界のレイヤー(ここでは「01-47コピー」)を右クリック→[エクスポート]→[新規ファイルに地物を保存]でgeojsonに書き出す。そのファイルをiCloudにアップし、端末で開くだけ。 表示のオン/オフは、「スーパー地形」の[ツール]→[図形/地物オーバーレイ]。 ●iPhoneの例 ●iPadの例 もう一点。GPSログをiPhoneの「スーパー地形」に表示させたかったが、カシミール3DでまとめたGDBファイル(または書きだしたkml)は300MBを超えるためか、iPhoneSE(Gen2)ではフリーズしてしまうので諦めていた。 しかし、市町村界と同様にgeojasonに書きだしたら約140MBとなり、無事に表示できた。線がピンク色になるのはなぜだろう、設定できるのかな。 いままでは現地で『ツーリングマップル』と「GPSログ+地理院地図を画像化したもの」を見比べながらルートを選んでいたけれど、一発でできるようになった。いままでQGISを忌避していたのが悔やまれる(同じようなアプリケーションに、InDesignがある)。WEB上にハウツーが多々あることに感謝しつつ、私のこれも、QGISを使ったことがない人に役立てば幸いだ。 昨日、「平成の大合併」前の市町村界をGPSデータ(GPX)としてカシミール3Dに表示する方法(以下「前記事」)をアップしたが、QGISでそれをすれば、市町村名まで表示できるのではないかと思い、試してみた。その結果が上の画像だ。 手順としては、 ①国土数値情報から該当のshapeデータをDL(前記事と同じ) ②県界のshapeデータをDL ③カシミール3DでGPSログをKML形式に書き出し ④ ①~③をQGISに読み込ませる(前記事と似ている) ⑤ ①②を修正して線だけにする ⑥ ①を修正して市町村名を表示させる となる。 順次、説明する。 * * *
⓪前段階:地理院地図をQGISに表示させる国土地理院のサイトにマニュアルがある。下記をDLし、17ページ以降を参照して、QGISに地理院地図を表示させておく。https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/other/QGIS_manual.pdf ①国土数値情報から該当のshapeデータをDL(前記事と同じ)https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N03-v3_1.htmlサイト上部には最新のデータがある。スクロールさせていくと都道府県別になり、それぞれいろいろな年のデータがあるので、任意のものをダウンロードする。私は「平成12年」(10月1日現在)を選択。これを47回繰り返す。一度にDLできる方法はない。 DLしたzipには、この五つのデータが格納されている。任意の場所(例:デスクトップに新規フォルダを作り、そこに)にすべて解凍しておく。 ②県界のshapeデータをDLEsriジャパンのサイトから、県界のデータをDLし、①と同じように展開しておく。 ③カシミール3DでGPSログをKML形式に書き出しカシミール3DはGPSデータをGDBファイル(GISで使うファイル形式とは別)で保存しているが、GPSデータエディタ(Ctrl+L)で全トラックを選択肢、[ファイル]→[選択したGPSデータの書き出し]で、KML形式に書き出すことができる。ここでは「20231231」という名前のレイヤとしている。作業の邪魔なので、左のチェックボックスをはずし、いったん非表示にする。 ④QGISに①~③を読み込ませるQGISはフリーウエア。インストールしていない場合はこちらからDLできる。windows版は1.2GBある…。それを開いて、①のshapeファイル47件、②のshapeファイル1件、③のKMLファイル1件をすべてドラッグする。 画面左下がレイヤウインドウで、上から順に重なっている。市町村界は、都道府県ごとに異なる色で塗りつぶされているが、これを⑤の手順で修正する。 作業の邪魔なので、いったん③ ⑤ ①②を修正して線だけにする①を読み込んだ47のレイヤを1件1件処理してもいいが、面倒なので、47のレイヤを結合して一括で処理する。windowsの場合、まず、レイヤの文字コードをすべてShift_JISに修正する。おそらく47のうち5~6件が該当する。レイヤをダブルクリックし、「ソース」タブをクリックすると文字コードが確認できる。ここが最初からShift_JISであれば修正不要。UTF-8だったらShift_JISを選択し、「適用」→「OK」で閉じる。 全レイヤの文字コードがShift_JISになったら、今度はレイヤをマージ(結合)する。photoshopだと複数選択して右クリックすれば結合できるが、QGISはそうはいかない。 [ベクタ]→[データ管理ツール]→[ベクタレイヤをマージ]をクリック。 このウインドウが出るので「入力レイヤ」右側の「…」をクリック。 全レイヤが表示されるので、47都道府県に該当するレイヤのチェックボックスをチェックし、「OK」。 次いで「出力レイヤ」右側の「…」をクリック、「ファイルに保存」を選択。任意のファイル名(ここでは「01-47」)を入力し、「実行」すると、レイヤが統合される。 統合されたレイヤ「01-47」と、元のレイヤ47個がすべて表示されてしまうため、元のレイヤをすべて選択して削除。 さて、ここからが本番。以下、「01-47」レイヤを選択して作業する。 レイヤウインドウの「01-47」をダブルクリックするかプロパティを表示させると、上の画面になるので、「シンボロジ」(外観を意味する)タブで「市町村」の描き方を設定する。ここでは「黄緑色の枠線だけ」を選んで「適用」→「OK」。好みによって、塗りつぶした上に半透明にすることなどもできる。 同様に、②の都道府県界も設定する。ここでは青い枠線のみにした。 これで、2000年10月1日現在の市町村界が黄緑で、現在の都道府県界が青で表示されているはずだ。 ⑥ ①を修正して市町村名を表示させるレイヤウインドウの「01-47」をダブルクリックするかプロパティを表示させると出るウインドウで「ラベル」タブをクリックし、上部に表示されるプルダウンから「第一定義(single)」を選択。 次いで「値(Value)」から「N03-004」を選択し、「適用」→「OK」すると、QGIS上に地名が表示されるはずだ。 なお、N03-001=都道府県名、-002=支庁・振興局名、-003=群・政令市名、-007=行政区域コードとなる。 ⑦完成現在、このようになっていると思う。レイヤウインドウの「20231231」にチェックを入れる。 レイヤウインドウのレイヤをドラッグして重ね順を入れ替え、上から ・GPSログ(20231231) ・都道府県境データ ・市町村界データ(01-47) ・地理院地図(淡色を選択している) となっている。 これで完成。 ⑧縦横比の変更現状、日本がかなり平べったく見えてしまっている。これは、球体である地球を平面に投影するため、北に行くほど、本来よりも横長になってしまう。日本地図で、北海道が特に横長になったものを見たことがある人もいるだろう。デフォルトでは赤道を基準に作られているようなので、記事「QGISで正距円筒図法(方眼図法)の縦横比を変える」を参考に、北緯35度を基準に修正する。 基本的に記事のとおりでいいのだが、「ユーザ定義CRS」のウインドウは、下記の画像と差し替えて実行してほしい。「形式」は、記事では「Proj文字列」となっているが、最新のQGISでは「非推奨」となっており、「WKT」を選択すればよい。そうしないと、座標系を変更したレイヤだけが、南大西洋に飛んで行ってしまう。 これで北海道の平べったさが減った。
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