草木に埋もれていた天北線の上音威子府駅は、2015年に整備された。駅名標は、幸いにも、よくあるように「方向幕フォント」や「JNR-L」ぽい書体ではなく、現役時代と同じ字形で再現されている。 1998年に訪問した際には駅名標はなかったと思う。現役時代に撮られた写真を見ても形が異なり、照明もないので、再建されたものだろう。 整備から8年、草木の侵食はけっこうな勢いだ。路盤はほぼ見えない。 ホームにはアンテナのようなものが1本。電源が引かれている。 * * *
1998年8月に訪問したことがある。駅名標はなさそうだ。「上音威子府通信中継機室」と書かれた小屋のドアには、現役時代に書かれたものだろうか、落書きがあった。「機」は略字。 駅舎だけの写真をなぜ撮っていないのか。まあ、当時は鉄道趣味からは完全に離れていたし、記録しようという気持ちもなかった。 ホームにバイクを上げて写真を撮っているけれども、当時は別になんとも思わなかったし、世間もそんな感じだった。いまならためらう、というか、たぶんしない。 PR 国道244号が標津川を渡る部分の南行のルートに架かる標津橋は、日本で唯一のフィーレンデールリブタイドアーチ。アーチリブがフィーレンデール構造になっているものだ。床版を単純に吊り下げているように見えるが、タイドアーチ。 アーチ橋にはいろいろな分類があるが、アーチリブの作り方でも分けられる。基本は1本の棒がアーチとなる「ソリッドリブ」。これは箱形、円柱形、プレート型が含まれる。リブが複数あってお互い補強されているものが「ブレーストリブ」。トラス構造がほとんど。このフィーレンデールリブアーチは「ブレーストリブ」のバリエーションだ。 東京都の豊海橋のような直線状のフィーレンデール構造…つまりはハシゴ形であれば解析もしやすいのかもしれないが、それがアーチ状となり、負担するのは圧縮力だけとなると、まったく違うのだろう。新幹線計画時と開通後の国鉄技師長にしてのちに国鉄総裁、鉄道公団総裁、土木学会会長を務めた藤井松太郎の卒論は、このフィーレンデールアーチだった。土木学会論文集かなにかで見たことがあるのだが、検索してもちょっとわからない。見たときにメモ、というかここに書いておくべきだった。 アーチリブは吊り材を垂らすからか、フィーレンデール構造といっても方形ではなく、平行四辺形の一辺をつぶした形になっている。 アーチ橋は、アーチと補剛桁が同じくらいの太さのローゼや、桁橋をアーチで補強した形のランガーが多いので、このような単純な(?)タイドアーチはとても華奢に見える。 北側から。「きれいな赤だな」とは誰もが思うだろうが、日本唯一の構造だとは誰も思わないだろう。 南側から。 北側の上流側の親柱は「標津川」、下流側は「標津橋」と令和4年度選奨土木遺産の銘板。 南側の親柱。上流側は「しべつはし」、下流側は「昭和61年11月完成」。このアーチの竣工1962(昭和37)年、北行の竣工は1983(昭和58)年。昭和61年というのは標津川の拡幅に伴って橋が延長された年だ。 この標津橋の沿革は、コミュニティFM局のFMはなのサイトが詳しい。 名寄本線のオホーツク海側、旭丘~豊野間にあった藻興部(もおこっぺ)川に架かるプレートガーダーが残っている。国道を走っていてもすぐ気づく。 3径間のプレートガーダー。 路盤も明確に残っている。 下路プレートガーダーなのだが、軌道は中心からズレている。複線型ではもちろんなく、点検用の犬走り(というのだろうか)のスペースにも見えるが、桁の外側に点検用通路があるので、 レールは剥がされているが、枕木は残されている。 銘板。 藻興部川橋梁 設計 旭川鉄道管理局 施工 株式会社北野組 設計荷重 KS-14 基礎 鋼管くい打 Φ=60CM L=25M8本 基礎根入 けた座面から 6M50 着手 昭和56年1月 ?? 昭和56年3月 1981年に架け替えたのか。廃止は1989年。 これが現在のGoogleMapsにおける藻興部川橋梁と周辺。残念ながら地理院地図では1978年の空中写真が「最新」だ。 こちらは地理院地図の1978年の空中写真。たしかに藻興部川橋梁は短い。河川幅も違う。このころ、道路橋を付け替えている。川幅を拡幅したのは、名寄本線の橋梁の着手が1981年なのだから、その後なのだろう。 中日本建設コンサルタントの資料によれば、旧橋は単線のプレートガーダーで12.2m×2連。写真に写る道路橋は13.6m×2連で1978年架け替え。 橋梁の架け替え後、数年で鉄道路線が廃止になる例はほかにもいくつかある。しかし、河川の増水は廃止を待ってくれない。桁だけでも再活用できればいいのにと思ってもそんな都合よくいかないので、やむを得ないとしかいいようがない。 |
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