伊勢の二見浦の日の出。2024/12/29。 (写っているのは家族ではありません) PR (QGIS+地理院地図) 毎年恒例、2024年のGPSログを公開する。今年はツーリングで西に行かなかったので、東日本に偏っている。バイクで行った最西端は、南砺市/白川村あたりだ。 代わりに(?)2000年末以来、24年振りに沖縄県に足を踏み入れた。しかも2回。沖縄本島はあいにくの雨ゆえにクルマだったけれど、宮古島はレンタルバイクで回れた。また、飛行機には3往復乗った。熊本はB787だったのでGPSログがとれなかった。 以前はガーミンのハンディGPSを使っていたが、今年から、iPhone+スーパー地形でのログ取りにした。なお、上記の地図は、小樽から幌延あたりのGPSログがとれていない。 2024年の未訪問県は、福井・和歌山・鳥取・島根・山口・徳島・愛媛・高知・福岡・佐賀・長崎・大分・宮崎・鹿児島の14県だった。 今年のはじめにブログに書いたとおり、昨年末から年始にかけて、「2010年からとりはじめたGPSログは、平成の大合併前;2000年10月1日現在の市町村にどれだけ描かれたか」を調べた。GPSログを記せていないのは、「既訪だけれどログがない」「未訪問」合わせて約400市町村。1999年4月1日現在の3229市町村のうち約12%だった。 私の場合は出かける動機は「観光地」ではなく「見たい土木構造物」や「未ログのルート」が大きな部分を占めるので、「未ログ市町村」を気にすることにした。そうすると、上記のようなことになる。 2024年に、新たにログを記せたのは、次の107市町村。昨年はカウント間違いがあったので、補正すると、残るは294市町村、9.1%だ。2025年はこれをどこまで減らせるだろうか。 奥尻町@北海道 倉石村@青森県 新郷村 稲垣村 岩木町@青森県 沢内村 石越町@宮城県 南郷町 宮崎町 小野田町 中新田町 色麻町 東成瀬村@秋田県 東由利町 羽後町 鳥海町 矢島町 由利町 仙北町 最上町@山形県 岩瀬村@福島県 市貝町@茨城県 芳賀町 真壁町 明野町 八千代町 関宿町@千葉県 松伏町@埼玉県 檜原村@東京都 小菅村@山梨県 戸隠村@長野県 鬼無里村 奈川村 南箕輪村 三岳村 王滝村 清内路村 下条村 泰阜村 川上村@岐阜県 坂下町 北方町 巣南町 柳津町 墨俣町 輪之内町 南濃町 江南市@愛知県 豊山町 師勝町 西春町 春日町 甚目寺町 大治町 美和町 七宝町 津島市 佐織町 平和町 祖父江町 八開村 立田村 碧南市 阿久比町 東郷町 飯南町@三重県 明和町 伊勢市 玉城町 度会町 御薗村 小俣町 神辺町@広島県 国頭村@沖縄県 東村 大宜味村 名護市 今帰仁村 本部町 宜野座村 恩納村 金武町 石川市 具志川市 与那城町 勝連町 沖縄市 中城村 北中城村 読谷村 嘉手納町 北谷町 西原町 浦添市 那覇市 南風原町 佐敷町 知念村 玉城村 具志頭村 糸満市 豊見城村 平良市 城辺町 上野村 下地町 伊良部町 ** 「平成の大合併」前の市町村界をGPSデータ(GPX)としてカシミール3Dに表示する方法 「平成の大合併」前の市町村界・市町村名・県界とGPSログをQGIS上で重ねて表示する方法 「平成の大合併」前の市町村界をiPhone・iPadに表示する/GPSログがないのは400強 2023年のGPSログ 2022年のGPSログ 2021年のGPSログ 2020年のGPSログ 2019年のGPSログ 2018年のGPSログ 2017年のGPSログ 2016年のGPSログ 2015年のGPSログ 2014年のGPSログ 2013年のGPSログ 永太郎さんこと重永瞬さんが、twitterにY字路の類型の画像をアップしているのをみて、何か起こるかな? と期待した。三土さんのDPZ記事「道路を方角ごとに塗り分けると、その街のでき方がわかる」を踏まえた「道路を方角ごとに色分けした地図を鑑賞する会」のような「地図的なおもしろさ」にも出演しているので、そういう記事か何かが出るのかと思ったら、書籍となってまとまって驚いた。 Y字路だけで1冊。すごい。『街角ガードパイプ図鑑』(岡元大)みたいだ。「地理・歴史雑学」だけではないだろうなと予想しつつ手に取ると、「地図・都市鑑賞」というべき構成で、ライトながら裏付けのある記述にあふれていた。 章立てはこうだ。 第1章 Y字路へのいざない 第2章 Y字路のすがた -路上の目(※磯部メモ:「路上」!) 第3章 Y字路はなぜ生まれるのか -地図の目 第4章 Y字路が生むストーリー -表象の目 第5章 Y字路から都市を読む -吉田・渋谷・宮崎 第6章 Y字路とは何か 第2章から第4章の副題が本書の要諦だ。路上で鑑賞する/地図で分類する/表象を考える。巧みかつ簡潔な構成だ。 * 私は、優れた都市鑑賞の本(WEB記事などももちろん含む)には読者が勝手に話を継ぎ足したくなる要素があると思っていて、本書はまさにそれ。読者は千人が千人、それぞれのY字路を思い浮かべるだろう。生まれ育った街だったり、いま住んでいる街だったり。 私にとっては新潟市のここだ。右が元からある道、左が新道。左はすぐに左への分岐があり、そこから砂丘を登ると中学校だ。分岐を曲がらずにまっすぐいえば、「鶏の半身揚げ」を全国区に有名にした「せきとり」がある。もともとは地元の飲み屋で、町内会やPTAの会合はいつもここだったようだ。 * 本書を読んで勝手に話を継ぎたいことが2点ある。橋の角度とクルマからの観点だ。 【1】橋の角度…大淀川が真東に向かっていたら?第5章で語られる宮崎市のこと。橘橋の角度によって規定されているのだが、ではなぜ橘橋はこの角度なのか。(今昔マップより) それは、「大淀川と直交するため」である。河川を横断する場合は、基本的に直交する。上の地図に描かれた橋を河口から順に見れば、そうなっているのがわかるだろう。やむを得ない場合は斜めに架けるし、そういうケースも少なくはないが、原則は直交だ。特に長大橋梁が難しかった時代、つまり時代を遡るほどにそうなる。 宮崎市の道路を規定した橘橋。橘橋を規定した大淀川と土木の基本。スケールを小さくしてみると、見えるものが変わるおもしろさがここにある。 【2】クルマから考えるY字路 道路交通にとって、Y字路は好ましくない存在だ。「分岐する側」ならいいが、逆だと、交差する道路が鋭角になってしまう。見通しは悪いしクルマの最小回転半径からして難しい。また、信号があるとしたら、たいていは変則的な表示になる。 都心の新道でも郊外のバイパス新設でも、そういう理由からだろう、Y字路にせず、旧道との接続部を修正してT字路にしてしまうことがある。たとえば現在事業が進んでいる環状4号の早稲田あたりを見てみよう。 (東京時層地図に加筆) かつてグランド坂は早稲田通りに直結していた。環状4号とグランド坂は鋭角の位置関係だが、交差点を大きく作り替え、グランド坂は早稲田通りではなく環状4号に接続する形にした。そのためにグイッと接続部が曲げられている。しかし、こうしたほうが交通整理がしやすく、安全であることは、現地に立てば実感できるはずだ。 ■関連項目:環状4号線(早稲田通り-新目白通り-不忍通り) * 本書では、「あっ、これ、自分も意識していた!」ということが多々掲載されている。それが個人的には嬉しい。同じセンスを、かなり世代が違う著者と共有しているという勝手な喜び。P128の『時をかける少女』のY字路標識、私はキャプチャして保存してあったはず。でも映画の場面をツイートするのはためらわれて、どこに保存したかもうわからなくなってしまった。(※キャプチャもいけないと思われますが…) 最後に、あまりないというY字路注意の標識と、その変型を。 北海道の鬼志別。村営牧野に立っていたY字路標識。 こちらは長野県の権兵衛街道に立っていた、Y字路標識を逆さまにしたと思われる標識。この先で左から来る道と鋭角に合流するのだが、そこで死亡事故が起きたと現地に掲示してあった。それを踏まえて設置されたのだろうと推測する。なお、逆向きには標識はない。 * みんなで「見せたいY字路」を持ち寄って発表しあいたい。おおいにそんな気にさせてくれる本だった。 ●『Y字路はなぜ生まれるのか?』(重永瞬/晶文社)
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