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道の「下」にグラウンドがあった。その向かいを見ると、木造小学校があった。どうやら閉鎖されているようだ。

グラウンドに降りてみる。ずいぶんと大きな木造校舎だ。すぐ近くで農作業をしていた男性が、学校の隣の家に戻ってきたので、ご挨拶をした。

もうずいぶん前に「休校」となった。そのとき町は「(たしか)5年後に校舎は取り壊す」と言っていたそうだ。時が過ぎ、東城町は庄原市と合併し、いまも休校のまま、昭和28年の改築から60年を経た木造校舎は朽ちることなく建ち続けている。

木製の壁にはキツツキが開けた穴がたくさんある。これは現役時代もあったそうだ。

「この学校は、裏山から木を切り出して作ったんだ。ここで製材してな。できたときは、それは立派な校舎だった。中学も併設していたから、何百人も生徒がいたよ。でも、いまは…」

男性は70を超えたいまも農業を営む。いまとなっては便利ではない土地だが、かつてはそれだけの人口があったことを懐かしんでいた。

この始終小学校には校門がないので銘板の代わりに表札がある。それが残っている。玄関は木製の開き戸。

校内を覗くと、平成9年4月のカレンダーがあった。その前月、歴史を閉じたのかもしれない。

目の前には「開校百年」の記念碑がある。百年の歴史を持つ学校は、形の上では休校中であり、廃校ではない。



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