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支笏湖畔を走る国道453号には、いくつものキャンチレバーの覆道がある。それも、ほぼ同じ形状の、鋼製のものだ。上の写真を見てわかるとおり、道路を見ても、支笏湖の景観を損ねないという配慮に基づいたものだろう。

 
この開放感。これがもし、コンクリート製でぶっとい柱が湖側にあったら、景観はかなり異なるものになる。


この美しき柱列。柱は歩道の上に設置されている。こういう場所を見ると、「雨の時はここに避難できる、ここにテント張れば濡れずに済む」と思ってしまうのは、昔からの習性だ。雨宿りこそすれ、寝ないけれど。

 
細かな銘板が並ぶ。

(左)※個人名省略
ポロピナイ覆道関係技術者
発注・監督:国土交通省 北海道開発局 札幌開発建設部 札幌道路事務所
設計:株式会社ドーコン
 管理技術者・設計担当者・照査技術者
上部工施工:巴・日進経常毛引接共同企業体
 工場制作・現場架設
下部工施工:玉川・日多基・幌村経常建設共同体
 
(右)
2002年6月着工~2003年2月竣功
延長:45m 幅員:7.5m 内空高さ:4.70m 縦断勾配:-0.007%
適用示方書等:道路橋示方書(1996)
配合:o ck=24N/mm^3 w/C=47% W=141kg・m^3BB
 最大骨材寸法40mmAE剤(ヴィルソルW)
 ポンプ打設 散水養生(養生マット9 最小かぶり70mm
製造:株式会社巴コーポレーション
主要鋼材:SM400A・SM400R・SS400
基礎工:場所打杭基礎(Φ1000x36本)
   :既製杭基礎(Φ800x21本)
国土交通省 北海道開発局

(その右)
品質記録保存分類番号 
140101
01453010

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「定山渓国道」こと国道230号中山峠越えのルートは、工夫された線形で豊平峡ダムと一体となって構想された。この片持ちの覆道は、定山渓トンネル、無意根大橋と並んでこのルートの白眉である。

 
いくつかの理由でこの構造が採用されているのだが、わかりやすいのは景観への配慮だ。コンクリートの支柱が並ぶ圧迫感を避け、かつ、景観を眺められるようにしている。それだけでなく、この覆道を外から…ここに突入する前のクルマから見ても景観に配慮しているように見えるように作られている。それは、昭和42年工事開始という、道路造りの考え方が発展している時期だったからこそ、前例のないこの構造が実現できたともいえよう。


通常、谷側に支柱を設けるが、ここではそれが難しかったためにこの構造になったと国交省の論文にある。

コンクリートの肉厚感があるにもかかわらず、それが圧迫感につながらず、むしろ筋肉質に感じる、優れたデザインである。


通常は坑門に掲げられる扁額は、覆道内山側の壁に埋め込まれている。

 
峠側を振り返れば、特徴的な坑門を持つ定山渓トンネル。

 

麓側を振り返れば、渓明覆道。

【参考】
・国土交通省 国土技術政策総合研究所 景観デザイン規範事例集 道路編
http://www.nilim.go.jp/lab/ddg/seika/ks/tnn0433.html
http://www.nilim.go.jp/lab/ddg/seika/ks/ks043306.pdf
・仙境覆道の設計と施工について
http://thesis.ceri.go.jp/db/files/GR0002500632.pdf





札内川ダム。萩原雅紀さんの『ダムに行こう!』でそのユーモラスな形…真正面から見てゲートの管理施設がロビタのようにも見えるし、あるいは三つのゲートがそれぞれ目と口にも見えるし…ということを知り、訪ねたかったダムの一つ。

ここに至るルートは道道111号。下記の記事のとおり、90年代から気になっていた未成道であり、七爺さんがここに挑んでいて、私も行ってみたいとは思いつつも、どうせゲートがあるしな…と思ってつい訪問せずにいたのだが、今夏の北海道ツーリングで、ちょっと目論見があって訪ねた。

1999年 道道静内中札内線(道道111号)


道道111号はかなり立派な道路で、これでもかとトンネルと洞門が連続し、それも洞門がPC製、鋼鉄製、意匠もさまざまという、土木構造物好きにはたまらないルートだった。まずは札内川ダムの堤体直下で冒頭の写真を撮った後、さらに道を詰めると、どうやら堤体を渡れるらしい。



地理院地図では上記のようになっているが、ちょっと不思議な様子。ときどきあり、洞門内での分岐か? 

 
いや、ちがう、片洞門だ! そして奥にはしんぱくトンネルの坑門が見える。

 
このキャンチレバー感。右への分岐を進むとダム堤体左岸に駐車場に至る。この洞門に至るまでの数々の洞門は、すべて谷側に脚がついたもの。そして、この洞門が「見晴洞門」と名づけられているということは、意図的に、この洞門からの「眺め」を重視してこの型式を採用したということだろう。しかし、札内川ダム堤体に向かうプレートガーダーがまず手前に見えるので、堤体はあまり見えない。また、樹木が生い茂り、せっかくの開口部を塞いでいる。

 
堤体から開口部を見る。周囲だけでなく天井にも樹木が生い茂っている。



なお、道道111号は現在工事中で、関係者の出入りもある。この先が開放されるといいのだが…。


 





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