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路線図が大好きな方々がいる。西村まさゆきさん、井上マサキさんは共著で『たのしい路線図』、さらに宮田珠己 さんも加わって『日本の路線図』を出している。いずれも重版がかかっているという、私の仕事的には「やられたー!」という実績。上はマニアフェスタで入手した井上さんの『「電車でお越しの方」の路線図を鑑賞する本』。DPZでも数多くの路線図の記事がある。
 
また、「山手線を含む路線図には皇居が必ず書いてある」「イギリスではテムズ川が書いてある」と見抜いたのは、たしか石川初さんと大山顕さん。そういう話を聞くたびに、なんか思い出したくても思い出せないものがあった。「路線図なんだけれど、なんか、垢抜けないやつ…」。思い出した。新潟車掌区の地図式の車補だ。
 
まだ電車の車掌が持つのが端末ではなく伝票類だったころ、車内できっぷを買うと、独特の様式のきっぷをくれた。それを通称「車内補充券」、略して「車補」と言った。主に3種類ある。「地図式」「駅名式」「一般用」だ。新潟地区は「駅名式」ばかりだったので、東京の「地図式」に憧れた。

 
左は品川車掌区、右は三鷹車掌区。左は、いつ、何に使ったのか記憶がないが、東京~横浜なので、ちゃんと利用したときに使ったのだろう。右は1982年11月14日、中央線で青梅鉄道公園に行く際に、コレクション用として作ってもらったものと思われる。

両者を見比べてほしい。ほとんど同じようなエリアに見えるが、おそらく受け持ち路線の違いにより、地図が異なる。といっても描き方の基本は似ていて、左上が東北本線、右上が茨城、左下が奥多摩、右下が三浦半島。山手線は日暮里がほぼ真上、南部線や武蔵野線の北朝霞~新小平の凹ませ方も共通だ。太線は「東京近郊区間」、いまでいうSuica利用可能区間だ。

それにしても、よく押し込んだものだ。図案が得意な職員が原図を書いたのだろう。もしここに「高輪ゲートウェイ」が開通したら、どのように組み込むのだろうか。

 
これは南部線の矢向車掌区のもの。分倍河原~川崎、と乗っている。なんのために買ったのか、まったく記憶にない。基本レイアウトは上の二つと同じだが、武蔵野線が南浦和以南しか描かれていない。

 
さて、これが問題の「なんか、垢抜けない」と思ったもの。新潟車掌区のものだ。太線が何を表すのかはわからない。車掌区の乗務範囲だろうか。東京と同じ人がデザインすればいいのに…。


この地図、絵心がない。新潟~越後石山間の線は、途中で少し曲がっている。駅がかなり省略されているせいもあるが、越後線の吉田以南や信越本線の宮内以南が省略されている。また、赤谷線は描かれているのに魚沼線はない、これは、来迎寺付近はすで本線でも省略されているのだから、廃止予定の支線なんて黙ってろ、ということか。

 
一気に時代が飛んで、2007年10月20日。これは「鹿島臨海鉄道大洗鹿島乗務員発行」のものだ。この日、鹿島サッカースタジアム~神栖間の臨時列車が3往復した。神栖は貨物駅、当然、常備の乗車券などないので、このように「記事」欄に発駅・着駅のスタンプを押している。これは車内ではなく、乗り換え通路だったかで、特設の机で売られていた。

この路線図の特徴は、「連絡運輸区域」と「連絡運輸区域外」で駅の描き方を変えていること。また、おもしろいところは、自社線を右下にまとめて描き、わかりやすくしているところ。それに、常磐線と内房線が描かれ、それぞれ山手線につながっているところ。連絡運輸区域外なのに、川崎以遠が丁寧に描かれているところ。

当時の、いろいろな地図式車補を見てみたい。




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