渥美半島の地形図を見ていたら、なんだか不思議な水路が書いてあった。とくに山がちでもないところに、隧道と堀割を交えつつ、時に海岸縁まで近づきながら、伊良湖岬近くまで伸びている。元を辿るとかなり遠方、飯田線の三河大野駅の南側から取水している。そのあたりの標高は78mほど。
気になったので、渥美半島に行ったときに、一カ所、近づきやすい場所で覗いてみたところ、上の写真のように豊かな水量だった。用水の両岸には、盛りを過ぎた桜。さぞかし観桜の適地と思いきや、どうもそういうことが行われている雰囲気はない。なんともったいないことか。用水の中には、体長50mを超す太い鯉が、悠々と泳いでいた。 写真の「奥」に、水路隧道が見える。 水路隧道は用雨水の幅に適したこぢんまりしたものだ。断面は方形か。扁額には 豊川用水東部幹線水路 長沢第二トンネル とある。 水路隧道手前には「救命竿」。きちんと整備されたルートなのだなあ。 同じく水路隧道手前には、別の用水の水路橋がかかっていた。 水路には、きちんと案内板が出ている。「ここは和地第1開水路(東713地点) (独)水資源機構 豊川用水」。 ここに架かる橋は「西大坂橋」。 親柱にはきちんと銘板がある。「西大坂橋」「豊川用水」「にしおおさかはし」「昭和四十二年八月完成」。 * * *
豊川用水についてはあまり優先順位を高くせずに行ったのだが、帰ってきて5mメッシュ標高データで渥美半島を見ると、大失敗だということがわかった。見所はこんなところではないのだ。 (Kashmir3D+DEM5m+数値地図25000) 右の「山」と左の「山」を結ぶ形で、水色の点線がある。それが豊川用水だ。山裾では開水路となっていて、平野に下りると水路隧道となる。…あれ? 逆ならわかるのだが。 豊川用水は、「谷」に相当する部分は地中に潜り、サイフォンの原理で「対岸」に吹き出してまた開水路となっていたのだ。これは気づかなかった。現地に行く前に25000地図は見ていたのに、「等高線をなぞっているのだろう」と高をくくり、きちんと見ていなかった。 これは、サイフォン構造を見に行くしかあるまい。次回はいつ行けるだろうか? なお、革洋同さんより、豊川用水は世界銀行の融資を受けるような国家的事業だったとご教示いただいた。 wikipedia:豊川用水 PR |
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