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大分県中津市と日田市の境、大石峠。その旧道の、中津市側にある、大石隧道。nagajisさんの旧道倶楽部、そして『廃道本』で知ってから、訪問するまで13年もかかってしまった。nagajisさんの初訪問は1996年。ここを日常的に利用する人がまだいた時代。

 
しかし、いまは倒木が多く、それも苔むしている。人が使わなくなって、相当な年月…といっても十数年か、二十数年かが経っている。


この坑口は、実に大きい。元々は1車線幅くらいの幅・高さしかなかったようだが、もろい火山灰の堆積地層であるために崩落が進み、穴が拡大しているようだ。『廃道本』において、nagajisさんは「この調子で何千年、何万年と年月を重ねたならば、隧道の形を保ったままだんだん上昇していって、ついには嶺に至ってしまうのではないかと想像する。その全過程を見ることができないのが悔しい」と、素晴らしい諧謔で表現している。

実際、nagajisさんが初訪問した1996年と比べ、私が訪れた2022年では、上昇しているに違いない。

 
廃隧道の内側は、乾燥しているか、湿潤しているかのどちらかだ。大石隧道は前者。大きな石がないことが、地質を表しているだろう。

 
 
西側坑口。といって、石がないわけではない。火山灰の堆積とはいえ、中には大きな石も含まれている。いつ、こいつらが落ちてくるかはわからない。

1974~1978年の空中写真では、確かに西側の谷筋を田が埋めている。しかし、2004年の空中写真では、もはや緑に埋もれている。1996年ではまだ田があったというのだから、放棄されたとすれば、1997~2004年ころ、ということになる。そして、道路は、あっとういう間に廃道化してゆく。













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