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踊り字(漢字の繰り返しの記号)「々」が使われる地名がある。大間々や久々野、等々力、新島々など誰でもいくつか思いつくだろう。その中でも他の漢字がつかない、合計二文字の地名には妙な魅力がある。 

百々(どど)
千々(ちぢ)
万々(まま)
年々(ねんねん) 

カシミール3Dの地名ファイルで検索した結果のうち、二文字のものをピックアップするとこんな感じだ。見落としもあるかもしれないし、(失礼ながら)地名ファイルに誤りがあるかもしれない。あるいは現地表記と違うかもしれない。順不同。

佐々(ささ)
美々(びび)
保々(ほうほう)
猩々(しょうしょう)…架空の動物、あるいはオランウータン
尾々(おお)
馬々(ばば)
道々(どおどお)
洞々(どうどう)
働々(どうどう)
堂々(どうどう)
手々(てて)
蔵々(ぞうぞう)(ぞぞ)…ZOZOタウンか。
間々(まま)
漸々(ようよう) …音読みは「ゼン」…
場々(ばば)
振々(ぶりぶり)…ぶりぶり?

頃々川(ころころがわ)
舞々(まいまい)

畦々(うねうね)

おもしろいのは、読み方が一文字目と二文字目で異なるものだ。二文字目が濁音になったりするのはよくあるが、音便化したり、あるいは別のものになったり。 

呉婆々宇山(ごさそうさん) …由来は不明のよう。知恵袋に記事あり。
上々(じょうじょ)…JOJOか!
下々(しもそう)…「下」で「そう」とは読まない? 
20130110_004.jpg(カシミール3D+解説本地形図)
地理院の地形図では、踊り字のみに「そう」とルビが振ってある。地形図のこういうルビの振り方はおかしいと思う。振るならすべてに振る。振らないならすべてに振らない、としたほうがいい。


* * *

「々」は、例えば「民主主義」を「民主々義」にするような使い方はしないのだが、地名では使ってしまっているものもある。もともとの地名に東西南北や上下がつくのに、さらにそれらがついたものだ。

下々条(しもげじょう)
20130110_000.jpg(カシミール3D+解説本地図)

もともとの地名は「下条(げじょう)」。これに「上(かみ)」と「下(しも)」があるが、現在「上」は地名としてはないようだ。バス停や越後交通の路線名に名残を残している。

越後交通のサイト(東口3番線)


下々野(しもしもの)
20130110_001.jpg(カシミール3D+解説本地図)
対応する「上下野」には当然「々」は使われていない。すぐ近くには「羽々ノ下」(はばのした)もある。


北々条(きたきたじょう)
20130110_002.jpg(カシミール3D+解説本地図)

対応する「南北条」もある。周辺には上下がつく地名がふたつ。


* * *

新村(にいむら)周辺
20130110_003.jpgこれはちょっと違うけれど、「新村」の語幹というか「新(にい)」に対して方位や上下がつき、わけがわからなくなっている例。語幹としては、

新村
上新
下新
北新
東新
南新

が地図にはあるのだが、「北新東」は「東新の北」なのか「北新の東」なのかわからない。「下新南」と「南新中」も、どちらがどうなのかさっぱりわからない。相対的な位置を示す語は、ひとつしか使ってはならない、と強く感じる。



カシミール3Dの「ジャンプ」機能はこういうときにもとても便利だ。かつて年賀状に干支の漢字を含む地名の写真を使っていた頃、漢字は地図を眺めて探していた。いまは検索すれば一発で出てくる。ありがたいことだ。



 
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