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20120425_000.JPG丸田祥三さんの写真集『眠る鉄道 SLEEPING BEAUTY』が、ついに完成した。「本」というカテゴリでは比類なきものができあがった。つきつめると、印刷物として、こういうものを作ることができるのか…。

丸田さんの作品ひとつひとつについてはいまさら私が書く必要などない。また、どんな作品が掲載されているかは下記の「制作実況中継」で十分想像できると思う。私の感想など、ファンにはなんの役にも立たないが、造本と印刷についてなら多少は参考になると思う。そこで、それらについて書く。

<ぜひご覧ください>
togetter:丸田祥三×祖父江慎×凸版印刷×江上英樹 『眠る鉄道』制作実況中継


本書の企画・担当は、月刊IKKIの江上英樹編集長。広田尚敬さんのデビュー60周年記念企画をとりまとめ、『Fの時代』を作り上げた方だ。(<参考>『Fの時代』と『Cの時代』

* * *

20120425_012.JPGこの本に興味をもったら、あるいはこの本を買うかどうか迷ったら、ぜひ書店で手にとってみていただきたい。とにかく、「造り」が魅力的だ。この「造り」が、本書の作品をさらに高めている。装丁は『廃道 棄てられし道』と同じく祖父江慎さん+福島よし恵さん。

上の写真のように、本書は、ノド(綴じてある側)までめいっぱいに開く。そして、紙が厚くて硬い。ノドまで開くこの製本は「コデックス装」、通称「綴じっぱなし製本」といって、本来は、この背に布を貼り、ハードカバーをつけるものだ。これを並製本にすると、こんな感じに見開ける。

20120425_011.JPGノドまで開けて、硬い紙だとすると、「絵葉書の束」のような印象になる。外周に白地があることによって、絵葉書感はなくなり、額装のような印象になる。このあたり、祖父江さんの狙いなのだろう。

20120425_016.JPG印刷については前述のtogetterに詳細があるが、一部の折は蛍光ピンクを使った5色刷りである。印刷で再現できる色は、比較的限界が低いのだが、丸田さんの作品の彩度を再現するために、凸版印刷のプリンティング・ディレクター、金子氏が決断したものだ。しかも、通常、蛍光色は最後に刷るのだが、逆に先に刷って、その上にCMYKを刷ることで、シャープさと輝きを実現している。

私のダメな目では、5色刷りと教えていただいたページをルーペで覗いてもそれだとわからないので、このページもそうなのかどうかわからないのだが、丸田さんお気に入りの一枚が右の作品。こんな写真ではわからないだろうが、まるで絵画のようなのだ。最近撮影したデジタルカメラによる作品の、手が切れるようなシャープさと被写体の硬さとはうってかわって、画面全体がとても軟らかい。私はどシャープな作品も大好きだけれど、丸田さんのファンはこちらの作風を好む人も相当いるのだろうな、と思う。ほかにも、まるで昭和30年代の雑誌の付録のようなやさしい、少しくすんだ色合いの作品もいくつかある。たとえばこの作品。(自宅の蛍光灯が写り込んでいるのはご容赦!)

20120425_008.JPGわかりやすいように作品の一部だけを写すと…


20120425_009.JPGどうだろう、この絵画感は。

巻末には、江上さんこだわりのページとして、全作品の現役時代の写真が掲載されている。

20120425_020.jpgこの写真とデータを集めるのが、相当難儀したらしい。いや、でも、相当そこで楽しめたはず…と、実はお手伝いしたかった私はそう思っておく。

20120425_021.jpgそして、ここで、広田尚敬さんの作品も掲載されている! 丸田さんは、広田さんをとても尊敬している。こんな形での共演、喜んでおられるのか、今度お会いしたら伺ってみようと思う。

* * *

もう、うっとりする本だ。定価2625円。決して高くないと思う。3冊買って、1冊は「本」として大切にし、2冊はバラして1枚1枚の作品として額装して飾っておきたいくらいだ。25日配本なので、書店店頭には明日ころから順次並ぶはずだ。


本書で、丸田祥三さんの「三部作」は完成した。これから、本書を、丸田さんの作品を、作品世界をさらに楽しむためのイベントも企画中だ。私も絡むかもしれない。乞うご期待。

最後におまけ。これなんだ?

20120425_002.JPG
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20120424_005.JPG昭和56年(1981年)、友人のH君から借りたコロタン文庫の『国鉄駅名全<オール>百科』(小学館)に載っていた飛行場前駅が、小学4年生を打ちのめした。これが北海道か。

広い空、だけど暖かくもなさそう。草いきれを十分に感じるけれども、海風も吹いていそう。とにかく、この駅があこがれとなった。

20120424_006.JPG本文でも2ヶ所で写真が使われている。鳥居型駅名標が大好きで、よく真似して絵を描いたり、駅名標の写真がたくさん載っている本を日夜探していたような私にとって、この駅名標も衝撃的だった。

ひこうじょまえ。やすべつ。あさじの。

なんともいえない手書き文字。標準的なものよりもかなり小振りの駅名標。ローマ字がないということは、定型ではない…。あまりにもこの写真を見過ぎて、安別と浅茅野もあこがれの地名となった。

天北線が廃止になった頃には鉄道趣味から離れていたので(廃止になることは知っていた)、結局は現役時代には行っていない。後年、大学を卒業後にバイクツーリングをするようになって、このあたりはよく通った。浅茅野あたりの地名を見るたびにこの駅のことは思い出すが、どうせ駅などないものだと思い込み、訪ねたことはなかった。

さらに年月が経った。
どうやら、2011年になっても、ホームや駅名標の一部が残っているようだと知った。

その夏、いろいろ無理をして10年ぶりのソロツーリングを実現した。現地3日。ぜひ行こうと思った。

20120424_000.JPG夏の匂いがする。

線路だったところは舗装され、自転車道路になっている。両脇の草は刈られている。ここを自転車が通ることがあるのだろうか?

20120424_001.JPG板張りのホームがあった。板の上に乗るのがためらわれるほど乾ききり、踏み抜けば踏み抜けそうだった。

20120424_003.JPG右に見える標識は、まるでメインの標識が落ちて補助標識だけが残っているように見えるが、そうではなく、「国道0.1km」のような字が書いてあったと思う。

20120424_002.JPGこの場所に、何時間でもいたい。この場所で夕暮れを迎え、夜を迎え、朝を迎えたい。そう思った。

* * *

こんな青空も、興部に着く頃には曇天となり、雨となった。紋別あたりでまた晴れた。この後、三国峠を越えて苫小牧まで走った。

* * *

コロタン文庫は罪深い。こんな本である。
20120424_004.JPG小学生の時、H君に借りた本をあまりに読み込みすぎて折り目をつけてしまい、申し訳なかったので新しいのを買ってH君に返した。私の手元に残った本は、その後しばらく持っていたものの、やがて鉄道から離れたころ、近所の子どもにほかにもたくさんあった同類の本とともにあげてしまった。いま思えば、思い入れのある本を手放すというのは、悔やんでも悔やみきれない。上記の写真は、2000年代に入ってからオークションで購入したもの。

20120424_007.JPG本文での取り上げ方はこう。ひとつの駅が、本の巻頭、エリアの最初、本文と3ヶ所に掲載されている。いまなら事情もわかってしまうが、そんなことはどうでもいい。この駅を巻頭に掲載してくれたからこそ、思いが募ったのだ。ありがとう、コロタン文庫。


鉄道のオフ会のような飲み会があったのだけれど、まさかの展開で出入国印マニアな話をたくさん聞くことができた。なんだこのおもしろさは! 話を伺ううちに、船で外国に行くことはレアなことらしいとわかった。韓国航路がある港やサハリン航路がある稚内は比較的メジャーだろうけれど。

20120423_000.JPG「新潟港の出入国、ありますよ」と私が言ったら、その、恐ろしい集め方をしているその方にも珍しがられたので、調子に乗ってここにアップする。新潟港の出国印と入国印である。

こういうことをまったく知らなかったので、検索してみると、新潟空港から出入国する場合は、スタンプが「NIIGATA A.P.」となるとのこと。港湾と空港が同じ名称である場合、空港側に「A.P.」とつくようだ。成田は港湾がないので「NARITA(1)」などである。「(1)」は第一ターミナル。

このときの目的は、ロシアンラリーの取材。その様子はこちら。ちょうど10年前だ。

現地4泊、うち3泊は船中泊だったと記憶している。最初の寄港地はナホトカなので、入出国もナホトカ。
20120423_001.JPG左が出国、右が入国。上のピンクのスタンプは、港湾らしく船が描かれている。



どうやら、この世界は、スタンプのためだけに海外に行くことが多々あるようだ。でも、たいていの行き先はチャーター便で韓国だったり中国だったり。日本では珍しい「発地」になっても、行き先は成田みたいなもので。そういう悲哀を含む楽しみ、大好きだ。
 
20120420_000.JPGトラック野郎が大好きだ。この本、ほしかったのだけれど、2520円もするので躊躇していた。ところが、先月、勤務先が移転する作業の際、処分品置き場にコレがあった。だれが捨てたのかはわからぬが、ありがたくいただいた。

A5判のハードカバーである。重くて読みにくいのだが、装丁が凝っている。

20120420_001.JPGこんなふうに、カバー表1/表4、カバー袖表1/表4、本体表紙表1/表2/表2対向/表3/表3対向/表4を使って、全10作のポスターが印刷されているのだ。すばらしい。

「一番星」というネーミングや「雪の下北」の行灯に隠された思い、お蔵入りしたシナリオなど、ますますトラック野郎が好きになる話が散りばめられている。

とはいえ、トラック野郎のエピソードはそれほど多くなく、むしろ鈴木監督の映画論の本である。そして…恐ろしい悪文である。これがトラック野郎の本でなかったら、3ページで投げ出すくらいの悪文。リライトしたら4分の1くらいになると思う。


かつて、東映チャンネルがトラック野郎全作を放送すると知ったとき、その期間だけ東映チャンネルを契約した。そして10本とも録画した。とはいえ、アナログであるうえ、第5~7作のDVDが行方不明になっている。近所のレンタル屋にあるのは確認しているので、そろそろ借りてこようと思う。


20120420.jpg国道17号が湯沢駅前付近を通るとき、異様な光景を目にするだろう。

とても巨大なENEOS…ではなく、ふたつ並んだENEOS。その奥に出光。

3軒並ぶだけでも珍しいのに、うち2軒が同ブランド。もちろんこれは、JOMOとENEOSの合併によるもので、奥のENEOSがJOMOだった店舗。ガソリンの価格表示の看板が、まだ緑だ(撮影は2011年夏)。

両方とも地元の店だ。どちらもいい気分はしないだろう。もともとENEOSだった手前は「おれのほうが先だ、お前が店を閉めろ」と思うだろうし、元JOMOは「ENEOSになったら2店並びになっちゃったら、お客さんが減るじゃないか」と思うだろう。

私の勝手な予想:奥の元JOMOが、独立系になる。


 


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