北海道のちほく高原鉄道に勇足(ゆうたり)という駅があった。いまは駅もないが、その駅前通にあるのがこの勇足郵便局だ。
正面中央、三枚の扉がある…ように見えるが、これはフェイクである。いわば、はめ殺した扉。蝶番もドアノブも見当たらない。 惜しいのは、真正面に電柱があることだ。意匠を凝らした建物ならばこうした電柱の立て方には断固抗議すべしと思うが、この局舎を「意匠を凝らした」などと評価するのはごく一部のみか。 美しい郵政書体を保っている。「勇」の下部、「力」がやや寸詰まりなのは欠けているからだ。また「郵」の「垂」、横棒が5本あり、通常は中央3本は左右の縦棒よりも飛び出しているのだが、ここではそぎ落とされ、「ノ+田+一」になっている。これはなぜだろう? やはり、側面は規格窓の、本当に適当な羅列。こういうのを見ると、クモハ123-1の窓を思い出してしまう。 (参考画像) (Kei365 cc3.0 by-sa) PR
若桜に近い八頭郵便局。屋根が寄棟なのはちょっと珍しいかもしれない。また、窓サッシが連続しているうえに格子がついているので、まるで連続窓のように見える。ポストが歩道の軸方向を向いているのもおもしろい。
素晴らしい。郵政書体が残っていた。 シチサンは無理だった。 * * *
八東発電所は「八東」だが、この郵便局は「八頭」。どちらも「ハットウ」と読める。八東(はっとう)・八頭(やず)の地名が覚えられないが、どうも沿革からしてこんななので、覚えられなくても仕方なかろう。 ●郡名 ~1896.3.28 八東郡 1896.3.29~ 八頭郡 ●町村名 ~1956.3.14 八東村 1956.3.15~ 八頭村 1959.5.15~ 八東町 2005.3.31~ 八頭町
@0916taiさんが昔の写真、としてアップしておられたのが、この垪和郵便局だった。とても美しい建物、現存するかわからないけれど、とにかく行ってみたら、あった。美しいままに。いまも使われているのがわかる。
「垪和(はが)」という地域についてはwikipediaに詳細がある。 郵政書体を真似て、手づくりで木で文字を作ったのだろうか。経年で脱落している部分もあるが、そこもあわせて紺色になっている。その手作業感がとてもいい。また、この角度では、玄関天井の通風用の開口部も、いかにも公共建築らしい。 両袖の部屋は使っていないようだが、かつてはここを住居とした人がいたのだろうか。とても美しいままに、そこにあった。朝日が差し込んでいた。 正面に向かって左手は「火気厳禁」とあるので燃料でも置いてあったのだろうか。いまなら差し詰めゴミ置き場のように見えてしまうが…。 左右からのシチサン的に。 集落に一つ、郵便局があった時代。それはもうノスタルジーの世界だ。
こういうスタイルの建物にすごく惹かれる。役所風でも言おうか、1970年代学校風とでも言おうか。意匠を凝らすこと名とまったく考えていない外壁、その印象をさらに強くするドアや、大きさの揃ったサッシ。すべてがすてきだ。
こういうスタイルに感じるのは、社会の中の役割としての仕事。作業、という言い方の方が近いかもしれない。個の入る余地は基本的にはなく、全国に均質な対応をすることが求められる仕事。 社会からそうした姿勢を求められる仕事が存在したのは、もしかしたら終戦後から1980年頃までの30~35年間くらいなのかもしれないんじゃないか。官公庁の組合が労働運動を引っ張ってきていた間だけ。あてずっぽうだけど。 ちょっと歪んでいる文字もあるけれど、「郵便」の文字を見る限りは郵政書体だ。 尾白内郵便局は、北海道の森から海沿いに東に行ったところにある。この日、朝食に森のいかめしを食べようと思っていたのに、私が行ったときにはまだできていなかった。すぐ近くにセイコーマートがあったので、そこで朝食を取った。 |
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