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備中神代駅。伯備線と芸備線の分岐駅だが、分岐駅だからといって駅の規模が大きいわけではない。芸備線の列車はすべて新見を起点にしており、分岐駅といえども単なる途中駅の扱いである。

昭和47年刊行の『日本の駅』(鉄道ジャーナル社)を見てもすでに委託駅または無人駅、と表示されているので、当時でさえ運転の取扱いはなかったのだろう。昭和56年の『国鉄駅名全百科』(小学館)では無人駅と表示されている。かつては木造駅舎があったが、現在はその空間に屋根がかかるホームのみの、簡素な…というか寒々しい姿だ。

そんな微衷神代駅、右に見える白い建物は…

駅便である。トイレは更新ののち存置したようだ。このトイレくらいの大きさの駅舎があってもいいのに!

真正面に手洗い。左に男子用小便器、右に個室。

なんとも不思議な水道だ。壁の向こうからも使えそうだ…と思う感覚は正しく、このトイレは半分で仕切られている。

外観写真の窓の位置を見比べてほしい。駅便だけでなく立ち食いそば等でもよくあるのだが、室内を二つに区切り、駅構内から利用するための部分と、駅構外からの部分とに分けている。これは有人駅であった時代の要請だ。

ついでながら、入口の柱が木製であることがわかる。内装は化粧ベニアを貼ってある。

個室は木桟の引き違い窓に、腰部分は白壁。便器は踏み込まず、直接地面に据え付けられている。窓の下部、三角のコーナーがある。かつてはそこに花などが生けられていたのだろう。

便器は扉と並行である。住宅の和式便器は「向こう向き」に据えられるので、公衆便所特有のものだ。

ほかに乗客がいたので、雑に撮ってしまったことを後悔している。


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