銀座のニコンサロンで開催されている吉野正起氏の写真展『道路』に行ってきた。50点の作品が並んでおり、吉野氏ともずいぶんお話をさせていただいた。気がついたら2時間以上が経っていた。
(許可を得て室内を撮影しています) ニコンサロンの案内や産経新聞の案内を見て、私はてっきり廃道の写真展だと思い込んでいたのだが、まったく違っていた。いやもちろん、伊豆の賀茂トンネル旧道の写真は代表作的に展示してあり、来訪者の多くはその作品をベストだと感じるようだが、作品の大半は「道」そのもの。関連した写真を撮る人たちにとって、当たり前すぎてシャッターを切らない光景が、そこには溢れていた。 交通量まばらな地方の幹線道。 夏の山間、1車線から分岐する1車線の強引な道。 ダートと舗装路の境界。 波浪が砕け、空から降ってくる日本海の道。 雪が積もり始めた、山間の除雪済みの道。 雪解けを待たずに作業が始まった、キャタピラ跡がある作業道。 ……。 バイクにしろクルマにしろ自転車にしろ、道を走っていると常にこうした光景は展開しているはずだ。でも、当たり前すぎて立ち止まらない。我々がレンズを向けるのは、フォトジェニックな何かがあったとき。たとえば重ねた歳月を裏付ける標識や、美しい日差しに出会ったとき。そういうものではなく、当たり前すぎる場所を作為のないように切り取るのはおそらくとても難しいと思うのだが、そうして切り取られた「あるある!」という光景がひたすら静かに並んでいる。作品を見た人は、自分がこれまでに見てきた「似た光景」を一瞬で連想できる。そして、「いますぐ走りに行きたい!」と思うに違いない。 被写体となる道路は東日本のもの。雪景色も多い。鉛色の空も多い。新潟育ちの私にはとてもなじみ深い風景だったので、より強く共感できたのかもしれない。 作品はすべてスクエアフォーマットで展示されている。その意図などもお聞きしたのだが、それはここには書かずにおく。ぜひ実見して、直接吉野氏の道への思いを伺って欲しい。吉野氏はとても気さくに、道路への思いを語ってくださった。道路に魅せられ、もう夢中になっているというお気持ちが強く伝わってきた。 芳名帳には、荒川好夫氏や柴原直行氏のお名前があった。荒川氏は、私がもっとも好きな鉄道写真家。その作品は、本当に見惚れてしまう。『カシミール3Dで見る・自分で描く 空から眺める鉄道ルート』でお世話になった。柴田氏は、かつてバイク雑誌でものすごくお世話になった、バイクを撮らせたら世界でもトップレベルの方で、ツーリング取材で道とバイクの写真をひたすらお願いしたこともある。私が密かに尊敬する方々が、これら「道路」をご覧になって、どうお感じになったか、お尋ねしてみたい。 吉野氏のブログはこちら。作品が一部閲覧できる。 <関連情報> 吉野正起写真展『道路2011 -岩手・宮城・福島-』 PR |
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