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中山隧道、水路隧道を堪能したあと、国道291号を東に向かっていたら円筒が目に飛び込んできた。セル式の堰堤だ。

高さは14.5m、遠目に見下ろすのでそれほどでもないだろうが、もし直下に立ったらその塊感かるや相当なものだろう。

周辺は、新潟県中越地震で大きな被害を受け、そこかしこで斜面の崩壊や河道閉塞が生じた。その対策工事はいまもなお続けられているが、この神沢川第1号砂防堰堤もそのひとつ。上流に崩壊土砂が堆積したため、それを受け止めるために作られた。

貯水池の溢流部…とでもいおうか、高いセルの上面よりさらに高い位置なのだが、柵の向こう側に銘板が碑のように立っていた。




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かの有名な、国道291号中山隧道を広神から山古志(いまの行政区分でいうと魚沼市から長岡市。ただ、しっくりこない)へ抜け、さらに東に少し行くと、北に入る上り坂がある。入口は狭いが、急坂を抜ければ高地にはのびのびとした棚田があり、とてもよく手入れされている。中山隧道も、その「上の方」に田圃や溜池がたくさんあるが、ここもそんな場所なのだろう。ひとつ違うのは、ここでは水を引けないのか、水路隧道がある。この水路隧道は、中山隧道の説明板に載っていたし、案内標識もあった。

国道から登ったところに広がる田圃から、さらに見上げる高さにも棚田がある。水路隧道への案内看板はないが、谷筋になっている場所に目星をつけて畦道をたどっていくと、奥にひんやりとした空間が見えた。

その手前には真溜池があった。ここを回り込むと水路隧道の前に行ける。この溜池から、冒頭写真左の田に導水している。また、この溜池は養鯉用の水槽も兼ねているようで、テグスのようなものが上部に張られていた。

水路隧道。ただし、坑口前の地面には土が溜まっており、排水はしていない。いささかかび臭い。ヨッキさんなら間違いなく入るだろうな。

これだけの棚田があるのは、水の確保ができるからだ。とはいえこの付近には水源は望めないようで、そのためにこうして水路隧道があるのだろう。では、この水路隧道はどこから引かれているのだろうか。
(クリックして拡大、以下同)
周辺を航空写真で見てみよう。国土地理院が2013年に撮影したCCB20135-C26-3に加筆し、トリミングした。こう見ても、北側の尾根の向こうに坑口が…どころか、この水路隧道すら判別できない。また、画面ほぼ中央に「高台」があり、そこに「水田A」がある(後述)。

(電子国土と5mメッシュ標高データをKashmir3Dで表示)
拡大しないと文字が読めないが、これがその周辺地図。右下が中山トンネル。上記水路隧道の位置をマークしてあるが、こうして見ると、尾根の向こうにはここより標高が高いところがある。こういうことは、水路隧道を彫る前から経験的に知っているものなのだろうか。やはり、ヨッキさんならば反対側も行くだろうな。

先述した「高台」へ。
このように、登る道があった。このまま国道291号に戻るのかと思ってたどってみたら、意外なことに田圃があった。「高台」だと知ったのは、登ってみてからだ。

そこにはこんな田圃が! 周囲を林に囲まれた別天地に見えた。

水害に遭う可能性がないからか、畦もない。段差のない道路から農機が直説田圃に入っていた跡があった。ここは隠れ里のような田圃だった。水はどこから引いているのだろうか。写真上の林の手前に水路のようなものはあったが、ここより低そうだった。

* * *

こんな場所、案内看板や導きがなければまず訪れない。偶然、周辺案内の看板を見たから来たのだが、予想外に素晴らしいものを見せてもらった。今回、棚田と水の関係をがよくわかった。先人たちがここまで切り拓いていて、しかも現役であることにも感激した。

なお、同行した友人に聞いたのだが、水は上から下へ流れるので、「上の田圃」でできる米のほうが上質とされるそうだ。








綾部橋国道27号を遡る形で東へ向かう途中に、給油所の跡があり(後述)、その隣に広大な車庫の跡があった。京都交通の綾部営業所跡だ。この「京都交通」は2004年に会社更生法を適用した会社で、一部の事業は現在、日本交通グループの「京都交通」が引き継いでいる。

広大すぎて、写真に収まらないが、上記の写真の右に切れている建物から。以下すべて敷地外(公道上)から撮影。
 
中央、空いているドアには「京都交通株式会社 綾部営業所」の文字。営業所の事務所棟だろう。その左のドアの向こう(室内)には「待」「←入」の文字が見えるので、左は待合室だったのだろうか。前の空間には残土が積まれている。敷地の管理者は(新)京都交通だ。

右の洗車機は「大型車・外車不可」とあるので、バス営業所内の給油所ながら、一般への給油もしていたのだろうか? 

次いでその左隣の建物。
営業所棟の左側につながっている整備場と事務所棟。事務所棟はこちらも入口の扉が開いている。整備場は大きなもので、10台くらいは同時に入れそうだ。チェーンブロックなどが残されている。

その左、直角の位置に、車庫。
ピットや、高台(なんと言うのだろう、ピットを持ち上げた施設)がある。

トップの写真の右にカメラを振ると、給油所がある。
 
サービスルームがあることから、一般営業もしていたように見える。

【参考】
サイト「一都物語」に、現役当時の写真が多数ある。
http://traffica.6.ql.bz/kyotokotsu/kyoko-list.htm


京都府の由良川河口、右岸をボケッと北上していたら行き止まりだった。河口部分に架かる橋は鉄道橋だけだった。

すごすごと引き返すと、線路脇に菱形の木製扉が見えた。来たときには気づかない方向。ブロック積みの小屋で、この正面の扉横に張り出した部分は構造ではないようだ、意匠だろうか?扉の上に梁がないこともあり、側壁が倒れないように支える意味合いがあるのだろう。ブロック塀の控え壁はよく目にするところだ。(参考:http://www.sasakiblock.com/kitei.html

線路との境界も曖昧な、こういう場所が好きだ。

(注)太字部分、市瀬克己さんからご指摘を受けて2014年11月1日改変


●関連項目
由良川橋梁(京都府/北近畿タンゴ鉄道宮津線)


戦前の「幻の」五輪も、いまから50年前の五輪も、それぞれ東京の街づくりに大きな影響を与えた…ということは、過去、いくつかの本で述べられている。竹内さんに書いていただいた『空から見える東京の道と街づくり』『空から見る戦後の東京 60年のおもかげ』(ともに実業之日本社)でも、本文の一記事として空中写真を提示しつつそれを解説されている。だが、その2冊も含めて、いずれも東京の通史からの観点だった。本書は視点をオリンピックに変え、そこから東京を見ている。

例えがわかりづらいかもしれないが、「国鉄・JR史のなかの485系」ではなく「485系から見た国鉄・JR史」といったイメージだ。


章立てがおもしろい。
第一章 二〇二〇年オリンピックで何が変わるのか
第二章 一九四〇年オリンピックと戦火
第三章 一九六四年オリンピックへの道
第四章 新幹線とオリンピック道路

よく練られた構成だと思う。ベーシックな形を時系列とするならば、本書は現在進行形のことで日々耳にするので理解しやすい話題と冒頭に起き、その後、戦前に戻ってから時系列に入る。地図や空中写真を多用しながら五輪にまつわるさまざまが書かれている。第三章などはあまり地図要素がなく、「五輪ドキュメント」のような体裁となっているが、第一章、第二章で頭が五輪に慣らされているので、一見、地図とは関係ないエピソードもスラスラ頭に入る。

私のブログをお読みいただいている方には、きっと第四章がおもしろい。東京の上水と下水道、道路の開削だけでなくその規格の意義と当時のイメージ、首都高、新幹線や東京モノレール、営団日比谷線、都営浅草線がオリンピックを目指して建設されたこと。いずれも、こうして文字だけ見れば他の本でも述べられている内容と思うかもしれないが、そこは裏切ってくれる。幹線道路の歩道橋がオリンピックと関係あるとは誰が思いついただろうか。また、今年の正月に有楽町で火災があって新幹線が運行不能となってかなり大きな影響を与えたが、あれがオリンピック当時の負の遺産の亡霊だとは誰が気づいただろうか。


ただ、もっともっと、地図が欲しかった。私は都心の地図が脳裏に浮かぶし、PCやスマホで地図を確認しながら読める環境だから理解できるのだが、そうでない人は、大人でもたくさんいるだろう。例えば第二章P61に「昭和37年7月競技場計画最終案」が掲載されているが、文字で「世田谷区用賀に…」などとするのではなく、1ページ大の地図にプロットしてあればなおよかったと思う。普通の人は、地図は絶対的な位置関係ではなく、相対的な…たとえば「環八をまっすぐいって、東名にぶつかるところが用賀」というような捉え方で覚えていると思う。同じような図版が繰り返し出てくるのは本作りからすると「もったいない」のだが、その分、読者の理解を助けてくれるものだ。

(印刷工程上はおそらく)オールカラー、192円で1000円+税というのは安い。オリンピックから見た東京史、としてとてもおもしろかった。書名からして「地図好きのための本か」と思われて敬遠されたり、書店がそういう分類をすることのないことを願う。




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