『空白の五分間』を読んで三河島事故を思うというブログを読み、この本を知った。三河島事故は (1)下り貨物列車の信号冒進、下り電車線支障 (2)併走していた下り電車がそれに衝突、上り電車線支障 (3)その5~6分後(何分後かは正確には測れていない)、上り電車が現場に突っ込む という三つの列車が絡んだ事故で、本書は(2)の運転士の記録である。三河島事故の客観的事実(とされているもの)と結果についてはwikipediaはじめ多くの資料があるのでここでは述べない。 本書は、どうやって調べたのかはわからないが、証言集である。多くの乗客および(2)の運転士、その周辺の証言。ただし、これは強く言いたいのだが、おそらくは多くが脚色してあるだろうし、著者は「ドキュメント小説」のつもりで書いている可能性が高い。そのあたりを含んで読む必要があるだろう。 著者がなにか主張したいことがあって(例えば運転士を応援したくて)書いている…というのではなく、中立の視点のつもりになってドラマ仕立にして悦に入っている、散漫で何を言いたいのかがわからない、という印象を持った。「運転士が悪い」と決めつけている人に「そうじゃないかも…?」と思わせるほどの切り込みほしかった。 * * *
例を出すまでもなく、現代に至っても大きな事故が時々起こる。そうしたとき、当事者だけを罰する風潮はどうかということがよく話題になるが、それはこの50年前の事故の時にすらあった論調だと知る。労働科学研究所の狩野広之が「たとえ乗務員が居眠りをしようと、ミスの起こらぬ手をうつべきだ」と注文をつける一方で、当時らしいというか、こんな記述もある。 評論家小汀利得(磯部注:おばまとしえ)は、また別な批判を下した。一番の原因は人間が無責任で、でたらめになったことだ。昔は先輩がきびしく後輩をしかりつけたものだが、今は年上の者が若い者をしつけられない(磯部注:「しかりつけ」ではない。誤記?)。警報設備の不足も考えられるが、何よりも大事なのは人間の正心だ。 恐ろしい記述である。現代においてこんな発言が許容されなくなったことは喜ばしいことだ。 * * *
本としての仕上がりの質は、非常に低い。一番の原因は、著者の悪文である。言葉の使い方もおかしなものが多い。校閲が入ったら、全文書き換えられるだろう。こんな本を平野甲賀装丁で文藝春秋が出していることが信じられない。本書の1ページ目6行目からしてこうである。 鉄の動輪をまわす烈しい運動エネルギーは、シリンダー内部で蒸気のふきだし力から転換される。火室で帰化された蒸気は、パイプを通じてシリンダーへ送られる。パイプを流れる蒸気の量は、レギュレーターで調節される。蒸気はいわば荒くれ男のようなもので、絶えず精力を発散して水に変化しようとする。だからレギュレーターの役目はかなり重要で、一定の蒸気を列車の速度に応じてシリンダーに運ぶのだ。ただしレギュレーターにすべてをまかせることはできず、もちろんおとずから限度がある。火室の石炭を無制限に燃やし続ければ、水は大量の蒸気を発生し、レギュレーターやバイパス弁の限度を越えて、シリンダーに連打をあびせるだろう。または石炭の不完全燃焼で、短い煙突からふきあげる黒煙の量を増すばかりである。いまでは原始的に近い蒸気機関の構造が、そのときまだデゴイチの鈍重な鉄の塊のなかに、影をひそめていた。ぜひ読んでみて欲しい。質と無関係なはずの乗客や周辺住民の証言についても、万事この調子である。あなたは読み終えることができるだろうか。 PR
大阪圏の有名なスーパー玉出の向かいに、この色褪せたGマークはある。角地で、その路地は商店街…ではないけれど、そんな雰囲気だ。
筆の跡がたどれる、色がなんとなく本来のものと異なる上にいささか形が拙いのは灯油のみをうる店だったのか。 「ファミリーショップ」「共同灯油 ハイカロリー」「タワラ印」「大阪第一食糧」。この「タワラ印」はいまも大阪第一食糧が使っているロゴマークであり、登録商標だ。大阪第一食糧のウエブサイトURLは「http://www.tawara.co.jp/」である。
富士総合火力演習、通称「総火演」に行ってきた。駐車場と桟敷の間には自衛隊用の道路があり、それを乗り越す橋を渡らねばならない。この橋は、毎年、演習として架けているようだ。
9パネルの上路プラットトラス、それも上弦に支承が来るタイプ。3パネルずつ分割できるようになっており、それぞれはピンで接合されている。 当日、@roadexplorerさんより下記の情報をいただいた。過去のものとは形態が異なるようだ。
高萩駅付近の跨線橋(歩道橋)その1の続き。
高萩駅のホームからも、跨線橋(歩道橋)が見える。写真はホームの東側。けっこうなスパンをとばしているプレートガーダーだ。左側の桁、よく見ると扉のようなものがある。 ここに階段をつけようとしたのだろうか? 開口部は桁の上3分の2くらいで、下3分の1は構造として生きているように見える。いや、それよりも桁の下部にある補強が気になる。ここを開口部としたことで大きく損なわれる強度を補っているのだろう。 写真左端、橋脚は「その1」のフィーレンデールトラスト同じくラーメン構造だ。 ホームを挟んで西側。橋脚の上には「その1」の東側と同じように小さなコンクリート床版が載っている。 そしt、こちらも開口部と、その下部の補強がある。ただし、補強の形は前述のものと異なり、細い。これは、開口部より外側(橋脚側)が短いからだろう。
常磐線の下り、高萩駅構内に入る直前、車窓にフィーレンデールトラスが見える。跨線歩道橋だ。駅から徒歩5分くらいのところだ。5パネル、7パネルの2連であり、橋脚は全てラーメン構造。中央の橋脚は軸方向で見るとπ型をしている。階段は西側に一つ、東側に二つついている。
直方体に近い形のフィーレンデールトラスも、ここは橋門構というのだろうか。 5パネルのほうは垂直材が6本ある。それぞれ外側の各2本が上弦と接するコーナーはリブに沿って補強がなされている。7パネルのほうは8本あり、それぞれ外側の各3本が同じようになっている。 前述のとおり、東側は階段がふたつある。ひとつは軸方向(写真左)、ひとつはそれと垂直方向(写真右)だ。 おもしろいのは、パネルそのものを開口部とするのではなく、垂直材を挟んだ位置にしていること。 フィーレンデールトラスの桁は、こちら(東側)が可動側。 軸方向の階段の前に、トレッスル橋でいうところの橋脚上の桁(なんと言うんだったっけ…)に相当する短い桁が乗る。薄いコンクリート床版のみだ。その先に、鋼材をかました階段が続く。 ●関連項目 高萩駅付近の跨線橋(歩道橋)その2 |
カレンダー
最新記事
(11/20)
(11/11)
(11/05)
(10/26)
(10/25)
(10/22)
(10/21)
(10/20)
(10/19)
(10/06)
カテゴリー
プロフィール
ブログ内検索
アーカイブ
カウンター
since 2010.7.30
アクセス解析
フリーエリア
|