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北海道・道北の日本海側、初山別村と遠別町の間を流れるオタコシベツ川にかかる歌越別橋。国道232号の旧橋にあたる。「歌越」はオタコシの当て字と思われるが、行政地名としての「歌越」は「ウタコエ」と読む。かつて近くにあった国鉄羽幌線歌越駅は「ウタコシ」だった。

この3径間の、一見コンクリート桁に見える橋は、実に不思議な構造をしている。

 
近づけないのでドローンを飛ばす。中央径間を見ると、側面から見て逆凹型をしたコンクリート床版下に木材の桁が見える。さらに下、中央部分に添桁がある。コンクリートと木材を組み合わせた複合桁、「木コンクリート橋(もくコンクリート橋)」だ。

 
ドローンのカメラが上を向いてくれればいいのだが…。木材部分は7本が並行している。

寒地土木研究所月報にある「北海道で普及した「木コンクリート橋」の歴史的価値について」を見ると、この構造は戦前の鉄の節約の流れで生まれたもので、1938年に北海道庁土木部試験室の高橋敏五郎により開発されたもの。「圧縮応力に強いコンクリート床版と、引張応力に強い木桁が高いに協力し一体となって…」とある。

一般に、コンクリートと木材を軸方向で考えると、圧縮に強くて鉄は引張に強いとされ、トラスを組む場合、部材がコンクリートと木の場合はハウトラス、鉄ならばプラットトラスに組む。この複合桁の場合はコンクリートが上部にあって圧縮力を、木材が下部にあって引張力に抵抗するようだ。かつ、それに適した(剪断強さが大きい種類の)木材を使うということだろうか。

「高橋敏五郎と木コンクリート橋」(2010年)ほかによれば、木コンクリート橋は戦前から昭和43年代までに350橋以上が架けられ、国道には246橋あった。それも昭和60年代に更新完了となったが、それでも旧橋として現存するものが6橋ある。写真では見えないが、コンクリート床版と木桁は単に上下にくっついているわけではなく、木桁上面に歯型(矩形波のような形)をつけ、さらに両端部各2割ずつを鋸型(ノコギリ波(刃ではなく)のような形)とし、接触面の剪断を伝達するキーとなっているらしい。

木桁と添桁の間も歯形となっている。これも同じ目的なのだろうか。

 
 
歌越川橋は、現在、通行止めとなっている。












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