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尾道と対岸の向島を結ぶ渡船は3航路あり、車両が乗れるのは東側の尾道渡船と西側の福本渡船。その西側の福本渡船の動画がTwitterに流れてきて、驚いた。向島側の桟橋のボーストリングトラスがハウトラスに組まれているように見えたのだ。そこで、2022年末に西に出かけた際に見てきた。

 
「ボーストリングトラス」と書いたけれど、桟橋そのものは桁構造で、それを補強するためのランガーと考えたほうがいいように見える。冒頭の写真で桁下部が緑色に見えるので、補剛桁が薄いように見えるかもしれないが、2枚目写真の通り、アーチ部よりも分厚い。単に塗り分けているだけだ。

桁にかかる負荷に対して耐荷重に余裕があれば、斜材にかかる力は大きくはなく、斜材をこのように配置しても深刻な影響がないのかもしれない。ランガーと考えるならばそもそも斜材は不要。まったくの憶測だが。となると「ハウトラス」という形容そものもが正しくない。

 
本当はこれで本土に渡り、尾道渡船で向島に戻ろうと思っていたのだけれど、時間の都合で乗船できなかった。いずれ必ず。なお、本土側は桁橋。

* * *

 
 
 
こちらは東側の福本渡船の向島側の桟橋。桁橋ではなく、曲弦プラットラスと見て差し支えないだろう。よくあるのはこの形なのだ。




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みちさんが発見し、ヨッキさんがレポートしたのを見て、ずっと行こうと思いながら、バイクで近くまで行くと雨雲が迫ってきたりしてなかなか行けなかった落合橋をようやく訪問した。

 
もう6月だ。当然、緑に覆われていた。それでも東側は、その貴重な姿を見せてくれていた。上弦、下弦とも2本の木材が並行している。

 
どなたかが降りた跡がある。ありがたくそこをたどり、危なくない程度のところまで行く。奈良の寺院のような木造の大建築の中に入ると息を呑むが、この落合橋を眺めていると、それと同じ心持ちになる。圧縮方向の斜材(写真では\)は太く、二重になっていて、引張方向の斜材(写真では/)は細い。木材の軸方向は圧縮に強く引張に弱いのでこのような組み方をするわけで、それがハウトラスで、引張のための鋼棒の垂直材をかますのがアラントラス…と解釈していのだけれど、これはダブルワーレン+鋼棒の垂直材だ。(しかし、木造で、基本はハウトラスというこでカテゴリはそうしてある)

いつの架橋かは不明。それが明らかになってほしい。

 
木製ゆえに接ぎの概念がうっとりする。おそらくスパンは30m程度、軸方向でそんな長い木材はないだろうから、上弦や下弦も接ぎで造ってあるものと思う。下弦の接合プレートのようなものも木製だ。格点に横方向(枕木方向)にボルトが入っているが、これは格点で斜材を受ける三角柱は実は下弦にめり込んでいて、下弦にボルト留めされているものと思われる。

 
上弦の上に横方向に材が載り、その上に縦方向(軸方向)に床版を支えていた梁が載る。(縦=軸方向、横=それと直角方向)

 
梁は7本。左右側の3本ずつの「その先」にある梁はオフセットされて配置されるが、センターのものは一直線になっている。

 
梁の上に、縦方向に倒木があって、まるでこれも梁のようだ。倒木更新か、真上に細い木が何本もある。

 
タラの木もある。そして先端がカットされている。山菜採りの人がここに来てカットしていったんだな…。周囲にはタラの木あり。

左には、上弦の2本の材の間から伸びてきた樹木。

 
いったん現道に戻り、東側には北に上る道があるので少し上がると、上流側を見下ろせる。ドローンで撮れないかと思って持参していたのだけれど、この繁茂では断念。冬枯れの時に再訪しよう。

なお、ヨッキさんの『山さ行がねが』でのレポートはこちら。もっと下まで降りている。


* * *

さて、Wikipediaのアラントラスの項目を久しぶりに確認(この項目を英語版から翻訳して大幅加筆したのは私)。アラントラスとして例示されているハンデン橋 (Hampden Bridge) は、なんと2014年、ヨッキさんが記事を公開した3カ月後に取り壊れていた。この落合橋だったらどうかな。木製の橋は、モニュメンタルなものとして観光地で架けられることがあるが、ここはそれなりの山奥。いつか落ちてしまうのだろうな。






映画『ランボー』の序盤、ランボーが街を追い出される「街の境界」がこの川で、この橋だ。ハウトラスだ! 一見、鉄橋に見えるが…


当然のように、木製のトラス橋だ。こんな構造物が、2000年以降もあるアメリカ。

場所はここ。

カナダのホープという街。このハウトラスは架け替えられていまはないが、ストリートビューに名残がある。ハウトラスを通っている部分がないのが残念だが。


序盤でランボーは道行くバイクを奪って逃走する。マシンはXT250。ぼくが初めて乗ったバイクと同じだ。

で、このバイクは空冷4ストロークなんだけれど、映画の中では2ストロークの音になっている。そのほうが、効果音としては「わかりやすい」のだろうけれど、よくないね。




副港橋梁(留萌)脇にかつてあったアラントラス?のつづき。

●関連記事
副港橋梁 留萌本線脇の廃橋梁

20120904_000.JPG昨夏は大雨の中バイクで移動していたので立ち寄れなかったが、今年は立ち寄れた。こんなだった。3主桁と、その横構が残っている。

中路橋のように見えるが、リンク先を見ると上路鈑桁のようにしか見えないので、実際にはこの上に床版を置いていたはずだ。

20120904_001.JPG横から見た主桁。

20120904_002.JPGかつては、こんな川幅でさえ、川の中に橋脚を建てなければならなかったのだろうか。後年の、つまり現役の橋梁はひとまたぎにしている。


 
副港橋梁 留萌本線脇の廃橋梁に関連して。

映画や映像に造詣の深い、写真家の丸田祥三さんと倉本聰氏の話をしていたとき、『駅 STATION』の話になり、血糊の話になった。この時期の木村大作氏の撮影した映画は、ピストルで撃たれると、血しぶきが水鉄砲のように飛ぶ…というのだ。そうだったのか。そう思って、以前録画してあった『駅 STATION』を再度、見てみた。

倍賞千恵子さんがとてもすてきなのだが、そんなことは割愛して、これだ。

20110730-2.JPG私のPCでは、VRモードのDVD-RWを読めないので、やむなくテレビ画面を撮影した。見苦しいのはご容赦いただきたい。

画面下、歩いているのは烏丸せつ子演じる「すず子」だ。でも、私の目は、右上の三つのトラス橋に釘付けだ。

いちばん向こう、端柱が立っているのが副港橋梁。今も廃橋として残っている。その手前が、留萌本線。いまもある。そして、その手前にあるのが…木製のトラス橋! というか、鋼と木の複合橋?

これは道路橋である。鋼製のプレートガーダーを、木製のトラスが補強している…なんてことは強度からしてもなさそうだ。トラスの横桁の上にプレートガーダーが乗っているようにも見えるが、横桁が朽ちて離れている部分もあるし、後述の理由もあるので、そうした構造ではないだろう。そして、いちばん注目点したいのは、トラスの組み方はダブルワーレンのようにも見えるが、基本はアラントラスになっている点である。

アラントラスについての参考:上士幌町の仙翠橋/アラントラス備忘録


画面に映っている範囲で書くと、

太い=上弦、下弦、端柱と同じ方向の斜材(/方向)
細い=端柱と逆向きの斜材(\方向)
鉄線?=垂直材

である。拡大してみる。
20110730-3.JPGモアレがひどい場合は、画像をダウンロードし、拡大・縮小してみてほしい。それで、ずいぶんと見え方が変わるはずだ。


実は、先の副港橋梁を訪ねたときには、この橋のことを知らなかったのだが、ちょっとだけ写っていた。
20110730-1.jpgプレートガーダーだけ写っているのがおわかりいただけるだろう。現地に行って、これに気づかない私の迂闊さがいやになる。

この道路橋は、いまはない。改めて地図を見ると、ここだけ道路が分断されている。そして、衛星画像を見ると、プレートガーダーだけ残っているのがわかる。



8月中に北海道を再訪することができれば、ここも見直しておきたい。


この橋の情報、求む!!!

==
2012.9.4追記
留萌本線の脇にかつてあったアラントラス?のつづき。


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