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引き続き漫画/『カレチ』
『カレチ』第4巻(池田邦彦著/講談社)

  最終刊。連載中に、大きく性格が変わった作品だと思う。『カレチ』第4巻に書いた変化がそのまま延長されて、「鉄道が描かれただけのもの」ではない作品になった。最終章「分割民営化」は、それまでの37話分の荻野の活躍を知らない人でも読める独立した作品となった。作者に賞賛を贈りたい。

鉄道を舞台にした漫画から「仕事」を軸にした描き方に、そして「物語」へという変化は読者の反応への対応でもあろうし、作者が書きたいことが変わっていったことでもあろう。(カバー袖の作者コメントにもそのようなことが書いてあり、私の受け止め方は間違ってはいないと思う)。その変化は、第1巻から第5巻までの、帯のキャッチを見るとよくわかる。

・第1巻「懐かしい!泣ける!昭和テツ漫画」
・第2巻「今この一瞬を、誇れる仕事を。」
・第3巻「『志織ちゃん』編で、ほんわか。」
・第4巻「読むとプロ魂が宿る。」
・第5巻「さらば国鉄。さらば昭和の職人(プロ)達。さらば荻野カレチ。」

第3巻は傾向が違うので除外して、第2巻・第4巻と、第5巻の間には大きな違いがある。そして、第37話までと最終章とで、プロ、本書では「仕事の誇り」という言葉がよく使われるが、それが指し示すものも大きく変わった。

第37話までに描かれているのは個人の行動規範たる「プロ意識」だ。しかし、最終章は職場の行動規範たる「プロ意識」を描く。個人ではなく、共同体としての「プロ意識」。それが大切なものであり、なおかつ当時、時代とともに大きく変化している最中だったことを、見事に描ききっている。

* * *

私は、いったんこの路線から離れて、第1巻や『RailGirl』の路線をもっとたくさん読みたいと思う。初期作品のようなエンターテインメントを描けるのは、作者しかいない。期待して待っている。










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