吉井川と吉野川が落ち合う、「落合」という場所に、この歩道橋があった。銘板に「ゆうかはし」とあるが、漢字は「飯岡」と当てる。片上鉄道の吉ヶ原駅の近く。いまは同じく柵原町となっているが、かつては飯岡はひとつの独立した自治体「飯岡村(ゆうかそん)」だった。飯岡の街から周匝の街への、徒歩ならではの短絡ルートとして使われるのだろうか。
コンクリートの桁橋は縦桁がメインで構成される上路桁が普通で、その場合、手すりの位置にはなにもない。しかし、この橋はまるで下路プレートガーダーのように、手すりの位置にある部材が構造を担っている(と思う)。プレート(?)の高さが低くなる端部は鉄製の手すりがある。 PR
プレートガーダーの水管橋の続き。
ここに見えている橋である。その名を、壮大に「中央橋」という。 幅員は1.5車線程度。きちんと親柱を備える。 左は「昭和四十一年二月」、右は「中央橋」。 対岸から。 左は「程彼川」、右は「ちゅうおうはし」。「程彼」は「ほどがの」と読む。ホドとくれば、よくある地名である。「がの」は「ヶ野」の意だろうか。 この橋が架かる程彼川は、益田に注ぐ高津川の支流である。ずっと遡ると 砥石隧道(津和野)に至る。 昭和41年にこの欄干、前後の未舗装路。それに対して「中央橋」。もっと古いんじゃないかとも思うが、桁裏を見てもいないしなんとも言えない。対岸の道は2万5000図にはないくらいの道。 もう少し下ると高瀬川との合流地点、その北は青原駅。そのあたりから南進したのだが、その北にすてきな給油所跡があると聞かされたのは帰宅した後であった。
西武秩父駅から、国道ではない道を横瀬駅を経て、芦ヶ久保駅に8km強、歩いた。三菱マテリアルを過ぎてちょっと行くと人家は途切れ、道路は国道299号しかなくなる。そのうち、右手(南側)に吉澤石灰工業という会社があり、その手前に旧橋があった。
写真では全然わからないのだが(情けないことに、撮っていない)、こんなに短いのに2径間連続の緑色の鈑桁だ。欄干はコンクリート製。 ついでに、新道の「新山口橋」の親柱(秩父側/南側)。 新山口橋の秩父側/北側の親柱。「横瀬川」。 ただし、旧橋が渡っているのは(たぶん)小島沢で、新橋は、小島沢と横瀬川を一気に渡っており、ひとまとめてに「横瀬川」と記している。 先に新橋を。銘板と塗装標記。
<銘板>
新山口橋 1978年3月 埼玉県 道示(1972) 一等橋 使用鋼材 SM50YA.YB.SM53B 製作 トピー工業株式会社 <塗装標記> 塗装記録表 塗装年月 1978年11月 塗装会社 下塗 森野塗装株式会社 中塗・上塗 大和建装株式会社 塗料材質 下塗 鉛丹さび止塗料 中塗・上塗 フタル酸樹脂塗料 塗料製造会社 下塗・中塗・上塗 関西ペイント株式会社 そうか、建造以降、一度も再塗装されていないのだな。 さて、旧橋。 旧橋の秩父側・北側は「こじまざわ」。左側、欄干の下に切り株が見える。こんなところに、こんな太さの木が生えてしまうのか。 旧橋の秩父側・南側は「やまぐち(はし)」。カッコ内は読めない。 旧橋を渡って飯能側・南側は「小島沢」。 飯能側・北側は「山口橋」。写真では見えないと思うが、肉眼ではなんとか読めた。 渡ってから、秩父方面に振り返る。 飯能側。この先には国道299号の旧道がある。明確な通行禁止の表示はないが、簡単な柵はある。 右の山側に見えているのが西武秩父線のコンクリート桁。秩父側から小島沢橋梁(50m)、第二滝枕橋梁(138m)、第一滝枕橋梁(138m)。「中島」というべき山肌のせり出しを橋台にして、ほぼ連続で架かっている。橋梁名は『日本鉄道名所 勾配・曲線の旅 首都圏各線』(小学館)によった。検索しても出てこないので、西武秩父線の橋梁の名称が正しいかどうかは不明だが、かっこいいのは確か。長い桁でも、歩測で25m程度だった。 そのまま歩くと、新橋が寄り添ってくる。新橋は横瀬川を2回、渡っている。写真中程右手、山側から土砂が流れ込んでいる。2箇所ほど、そういうところがあった。 そのうちの1箇所は、このように砂防ダムのようになっていた。この旧道が現役だったころには、ここから流出する土砂はどうやって横瀬川に落としていたのだろうか? 飯能側の合流地点近くに、ひとつだけ「落石注意」の標識があった。 国道299号の秩父から飯能の間は、地図を見てもたくさんの旧道がある。いずれ原付で訪ねてみたい。
山口県。錦帯橋がかかる錦川には、それに沿って錦川鉄道が走っている。その車窓から沈下橋が見えた。
沈下橋といえば四国と連想するが、ここにあるということは錦川も相当に水量が増加することがあるのか。これは長走橋(ながばしりはし)。上り列車なら左車窓がこの橋、右車窓は錦川第二発電所である。 こちらは守内橋(しゅないはし)。長走橋よりも長い。多径間…という言い方が適切かわからないが、そうである。堤防から水面に向かってけっこうな下り勾配になっている。とっとと越流させて、流木等がひっかからないようにしているのだろうか。 橋の手前右側の看板には「増水時通行止」、左の標識は14トン制限。両端に金網の扉があり、交通を遮断できるようになっている。 ●参考 錦川の沈下橋 錦川の沈下橋 北海道の日高町を日勝峠に向かって登る途中に新清見トンネルがある。長さ910メートル。その手前右側に、旧道が見える。 左に見えるのが新清見トンネル。手前の橋(新清見橋)を渡っていると、車窓右に「旧道だろうな」と思える橋がある。その向こうには隧道も見えている。 右側の橋は幅も狭いし、これは旧道に間違いなしだろう…? なんかおかしくないか。幅、ではなく、その処理というか…。 だってほら、センターラインが…。 登り側の写真がごっそり切り取られている。 断面を見てみると、非常にきれいだ。まるで最初から「いまの形」に作られているかのようにすべすべしている。 ノーファインダーで撮ってみた。 鉄筋の断面から錆が垂れている。酷材たる石まで断面を見せているので、工事にあたり、橋の5分の2ほどをカットしてしまったのだ。 川の高さに降りてみる。 PC桁がスッパリと切断されているだけでなく、前後の橋台は崩されている。 西側の橋台部分。右側(北側)がごっそりと欠き取られている。コンクリートの切断面、「刃」が回転した痕跡がある。 画像右の欠き取られた部分を見るに、本来はこれだけの幅があったのだ。橋台を崩した跡には新橋の橋台が設置されている。崩された橋台の「中身」は土砂だろうから、切断面が崩れてこないように矢板がカマしてある。 桁の裏側。左側がカットされたているのだが、これだけ見ても、カットされたようには見えない。 上にあがって対岸へ。 新清見橋(現道)の工事は、清見橋を欠き取らないと進行できないはずだ。では、通行量の多いこの日勝峠ルート、どうやって1車線分になった橋の交通を確保していたのだろうか? 現状から推察するに、清見橋を半分欠き取ったあと、反対側(上記画像の左側)に仮橋を設置し、2車線を確保していたのではなかろうか。 (8月28日追記) 8月28日、@Einshaltさんから上記架設を裏付ける、工事中の画像をいただいた。 この画像右側、トラックが載っているのが仮橋だ。 これを見て思うのは、PC桁を縦に割っても、通常の道路として使用できるほどのきちんとした強度が確保されているのか、ということだ。まさかそんな使用法は想定していないのだろうが、当然、その点は確認した上でこの形態になっているのだと思う。 そして、新たな謎を@LEVEL_7Gさんが提起した。PC桁を半裁にする工事は、供用中にしたのか否か? 一般的な道路工事を見ていると、カッターで切断するのは、その外側に少しの余裕があればできそうだ。この橋でいえば、センターラインにカラーコーンを置き、それより内側で作業をするならば、片側車線だけを不通にすることで作業は継続できるのではないか、ということだ。じっさい、センターラインから切断面までは 1mはないけれど…というくらいの余裕がある。一時的に仮橋を2車線分作ったのでは…という可能性もなくはないが、現地では、「仮橋の跡」は明確に1車線分しかないこと、また、この規模の国道でも数時間の片側交互通行で対処できるものと考えるので、それはないだろうと思う。 貴重な画像をありがとうございました>Einshaltさん (8月29日追記) @3710dc205さんから、 「カットされた側の主桁を挟んで横梁の構造が変わっているようなので、残った5主桁でもともと構造として完結している気もします。旧橋を拡幅したときに2連目の桁をかけて目地でつないでいた可能性もあると思います。6主桁以上のPC桁を切って5主桁にするのはできそうですが、主桁同士がPC鋼材で横方向に連結されているのを一度解除して連結し直す必要があると思います。そうなるとそこそこ大変な工事になりそうな。もともと5主桁のPC桁だとすれば主桁に支持されて側方に張出したRCの梁・スラブを切り落とすだけなので、供用しながらでも施工できると思います 。」 というご指摘をいただいた。たしかにおっしゃるとおり。上の、桁裏の画像を見ても、橋脚はPC桁の縦桁5本の幅しかなく、その左側=カットされた部分との境は、橋脚とは別の種類・仕上がりのコンクリートになっている。 ということは、ご指摘の中でも相当譲歩のある「6主桁を5主桁に」ということは考えづらく、分離しやすい部分が(たまたま?)センターライン付近であった、と考える方が自然であろう。 貴重なご指摘をありがとうございました>3710dc205さん この橋がある場所は冒頭のとおり。現在の地形図には、この旧道は、このとおり抹消されている。 (カシミール3D+電子国土) 旧道を掲載しておく。 (カシミール3D+山旅倶楽部) |
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