京阪電鉄 宇治川橋梁(京都府)の続き。 下流側から。左が京都方、右が大阪方。 この橋梁は宇治川橋梁の兄弟で、基本的には同一仕様。両端が少し短い5パネルのプラットトラス、これはおそらく長さ25mほど。中間7連が6パネルのプラットトラス、これが宇治川橋梁と同じなら36mほどとなっている。文末資料によれば、径間は28.2mと37.8m。 上流側から。撮像素子のゴミが鬱陶しい…。 京都方(右)の2連は、塗装工事中である。 6連のトラスを側面から。 宇治川橋梁と同じく、このトラスは「コリジョンストラット」が特徴的である。コリジョンストラットとは画像に赤矢印を引いた部材で、端柱(トラス両端の斜めの部材)の中間から下弦材の第1格点とを結ぶ部材。 このコリジョンストラットがあるのは、たしか英国系トラスだったと記憶する。1880年代の200フィートダブルワーレントラス(錬鉄)において、日本で建築師長であったポーナルの元で設計された桁にはこのコリジョンストラットがあった。しかし、それを英国在住の顧問技師、シャービントンがチェックしたところ、コリジョンストラットをやめ、垂直材を追加するなどした例がある。 また、1896年に開通した、やはりイギリスのハンディサイドで製作された日本鉄道の隅田川橋梁にも、コリジョンストラットがある。リベット結合の200フィート複線プラットトラスで、これはのちに川崎の江ヶ崎跨線橋に転用されている。現在は撤去されたが、写真は残っている。 (在りし日のの江ヶ崎跨線橋。川崎市のサイトにリンク) コリジョンストラットは、意味からすると「対抗する支柱」のようなものになるのだろう。引張力がかかるらしいが、なくてもいいということは、ほとんど意味をなさないということか。計算する術もなく、ただスケルトンをなぞるがまま。 話を戻して、橋門構。向かって左が塗り替え中。ひとつ奥の桁は、左側のトラスの一部だけが塗ってあって、いかにも作業の途中らしくて好もしい。 この木津川橋梁については、とくに短い桁だけでも塗装標記を探して撮るべきだった。失敗した。 (追記) この複線トラスになる以前、ここには別の9連(*)の複線トラスが架かっていた。径間28.2mと37.8mの2種類があり、車両大型化による耐荷力が不足するために架け替えられた。『鉄道ピクトリアル』1984年1月号に写真が掲載されている。 鉄道院設計桁を元にしているが、走行するのは電車のみのため、耐荷重を軽くし、「軽快」(後述資料)な姿をしていた。 (*)『明治時代に製作された鉄道トラス橋の歴史と現状(第6報)--国内設計桁--』(小西純一・西野保行・淵上龍雄)によれば、「木津川に7連、宇治川に9連」という旨の記載がある。しかし、現在は木津川に9連、宇治川に7連なので、これは誤記であろう。 PR |
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