地理院のエライ方々がざっくばらんに買った『地図ナイト』、富士山をテーマにした『地図ナイト2』(ブログには書いていないが行った)に続き、『地図ナイト3』は「鉄道と地図」がテーマ。新潮社の『日本鉄道旅行地図帳』ご担当の田中さん、監修の今尾さんのおふたりのトークを聞きにいった。
今尾さんの用意してきた地図ネタに、トークをかぶせていく感じで進行するのだけれど、今尾さんの造詣の深さに舌を巻く。「地図を見て気づくこと」という話ではなく、膨大な知識を瞬時に検索してアウトプットする形で会話を重ねていく。すごい。第1回の『地図ナイト』でも今尾さんは登壇していたが、そのときと印象が全然違う。何時間でも聞いていたい。 「第1章」、言い換えれば第一部は、『日本鉄道旅行地図帳』の制作秘話。途中で田中さんが『十勝の森林鉄道』(小林実著/森林舎)について触れたのだけれど、その意義はこちらと同じだろう。また、駅名の読みや変遷について、紙資料だけでなくさまざまな手段を用いて検証、あるいは推測したとのこと。こうした作業、本当に大変なのだけれど、楽しいんだよなあ。位置の特定に航空写真を使用したとのこと、『鉄道の旅手帖』でも、地理院の地形図に掲載のない仮乗降場や信号場、廃止された信号場などの特定に利用した。この時代だからこそのワザだ。 校正紙の見本。ただし、赤字がもっともっと入ったものもある。ここで各方面からため息が出たが、地図の編集作業ではこれくらいの赤字は普通だ。現に、この本でも地図屋さんは意に介していないようだった。 たとえば私がいままで携わっていた旅行ガイドブックの改訂作業では、ページの入れ替えがあったりすると、ほぼすべての地図注記に赤字が入る。また、銀座や渋谷、京都などは地図も数千分の1と大きい上に店舗の改廃も激しく、やはりこのようなになってしまう。登山ガイドの地図も、ここまでではないが、最初にベースとなる地図を作ってもらい、そこに注記を後から乗せていく。おそらく、そのほうが編集側も地図屋さんもわかりやすいし校正もしやすい。 「第2章」は、終着駅の定義の話。『乗りつぶしノート 第2列車』という本が7月に刊行されるので、そのコンテンツとして終着駅をリストアップしたそう。その際に意見がぶつかったものをあげていく。駅によっては会場の意見を聞いていた。もちろん影響はないだろうけれど。 この定義、「乗りつぶし」の定義に重なる。つまり、個人により基準が大きく異なるのだ。今尾さんは「ケーブルカーはほぼ確実に両端が終着駅だからカット」「ロープウェイを『鉄道』とするのは抵抗がある、甲種乙種いっしょにするとリフトも入れなくてはならないのでカット」などと定義していて、これはすごくよくわかるのだけれど、厳密にはなかなかうまくいかないわけで、「乗りつぶし」を「鉄道」とすれば、当然、ロープウェイやガイドウェイバスなども入れなければならない。そして、実際にそれを自らに課している人も多数いる。 でも、そういう「よく考えると、ものすごくややこしいことになる」ということへの気づき、これが面白い。鉄道に限らず、そういうの集めてなにかできないかな。 <おまけ> 右上の電車?がかわいいw PR |
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