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新潟県のいくつかの商店街では、軒庇を張り出して隣家とつなげ、その下を通路とする「雁木」がある。雪が降って道路が埋もれても、この通路だけは確保できていた。そんな往時の写真がいくつもある。

元来、自らの土地の一部を通路として提供していたもので、それゆえに一軒一軒、独立しているものだったが、現代ではそうではなく、歩道(公道)に庇を突き出している場合が大半だろう。昭和40年代、50年代などに、あらかたまとめて歩道とともに整備され、アーケード商店街のイメージに近くなった。上の写真は小千谷市のものだが、どこもこのようにきれいに整備されている。
 
新潟市の本町通、古町通をはじめ各地にあり、ほか、新発田、水原、新津、村松、五泉、加茂、三条、見附、長岡、柏崎、直江津、高田、糸魚川、栃尾、小千谷、小出、六日町、湯沢、十日町…などなどにある。

いくつかの雁木通りを回ったとき、見附の通りの端部、そろそろ折り返そうかと思ったところに、ハッとするものがあった。

商店街として整備された連続式のものではなく、一軒一軒のものだ。向かって左端…。

家は新しくなっているが、雁木だけは古そうだ。手作りのにおいがぷんぷんする。注目すべきは屋根のコーナー。

厚い板が曲げられている。

建物との間隔は、突っ張り棒のような梁。ちょっと歪んでいる。雁木の屋根部分は新しいようだが、長手方向の軒というのか梁というのか、この木材は古そうだ。

ただ、古いのはこの部分だけで、続く軒は新しかった。梁の裏側には電気の配線。それらの器具には、新しいものもあれば古いものもある、これは梁とともに更新されたのだろう。

この古い雁木と新しい雁木、それぞれ、やはり個人が作ったものなのだろうか。ある一軒から人が出てきたのだが、そのときは尋ねようとも思わなかった、なんともったいない。

* * *

新潟県内の雁木通りをハシゴすると、街によっていろいろなスタンスがあるのがわかる。加茂はがんばっているなと感じたが、別の見方をするとデザイン的に画一化されてしまってもいた。もちろん、こんなのはデザインの観点だけの話で、実際に使う人が明るく、活気を感じるならばなんの問題もない。




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