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歩鉄の達人さんのツイートとサイトで「波状まんぽ」というものを知った。九度山の近くである。国道370号(地図上のピンク色)から見て、南海高野線をくぐったすぐのところにある。


上の地図と方角が違うが、下が国道側。農作業用の道が通っていて、それぞれ築堤を斜めに横断している。南海高野線をくぐる大師第16号橋梁もそうなのだが、ねじりまんぽにはなっておらず、単純なアーチだ。

 
 
川の上に張り出すかたちで道がついている。それもコンクリが新しい。そして道路側には鹿除けと思われるフェンスがある。写真を撮っていると、この奥の畑の管理をしている方が来たのでご挨拶。


 
4枚巻きのイギリス積みだが、築堤に対して斜めになっている分、少しずつズラして積んでいて、それが坑門に角度となって現れている。

 
東側から。ご覧の通りコンクリートなのだけれど、2020年10月27日の日付があるKDDIの記事『秘境駅にもauの電波は届く?乗り鉄アイドル伊藤桃が「南海高野線」を調べてきた』では、未舗装で、しかも農業用モノレールがあったようだ。

さて、この奥が本題の、旧九度山発電所水路橋である。
 
大師第16号橋梁を抜けて東を見たところ。

 
内部はこうだ。冒頭の図のように、道路方向に短いアーチが、水路方向に少しずつズレて組まれることにより、斜角に対応している。現在、国内唯一の例のようだ(『組積造による斜めアーチ構造物の分布とその技法に関する研究』小野田滋・河村清春・須貝清行・神野嘉希)。日本語では「有肋斜歪穹窿」というのだそうだが、「ゆうろくしゃわいきゅうりゅう」とでも読むのだろうか。

 

 
 
ズレは、煉瓦一つにつき30mm程度だろうか。アーチは31列あるので、両端で1mくらいオフセットできている。

 
東側から。水路橋の意匠も凝っている。この水路橋はすでに使われていない。ドローンを飛ばして上から撮るべきだったか…。

それにしても、重要な車道とかならともかく、農作業用の道である。それなら道を直交させたほうが一般的なアーチにできて簡単じゃないかと思うのだが、煉瓦をこう積むことは別に難しいことでもなんでもなかったのだろうか。また、農作業用の道だけれど、こうして坑門…ではなくて橋梁だから何といえばいいのだろうか、を装飾しているのもすごい。

『組積造による斜めアーチ構造物の分布とその技法に関する研究』によれば、有肋斜歪穹窿は、ここと、新永間高架橋の日陰町拱渠しかないらしい。日陰町拱渠は現在、見えなくなっているため、埋められているか、改修等でまったく変わっているのかもしれない。

* * *

 
 
おそらく大師第14号橋梁の下流と思われるところを、ドローンで撮影。歩鉄の達人さんのサイトでは「先は開渠」となっているが、それが、これだと思われる。川に出る前に壁が築かれていて、もしかしたら使われていないのかもしれない。

現地は枯れ木の枝が密集し、ドローン本体との遠近感を掴みづらい。ドローンを絶対に枝に接触させられないので、かなり難しかった。
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