渥美清による「喜劇列車シリーズ」が3本ある。『男はつらいよ』以前の作品で、いずれも渥美清の独演的な場面あり、歌い出すシーンあり、コメディとしてのお約束も散りばめらた、とてもしっかりした脚本による娯楽作品だ。
第3作の『喜劇初詣列車』は、1968年1月公開で、舞台は東京と湯沢と新潟。ヒロイン・美和子は古町芸妓。新潟生まれ育ちだけれどまったく訛っていない。「新潟地震で両親と兄を亡くす」という。実際の新潟地震の死者は26名。また、唯一訛り(新潟弁ではない)のあるキャラクターとして出てくる三和子(ぽん太)は青森から新潟に来たという設定だ。雪のシーンは渥美清らは登場しないので、前シーズンの撮影だろうか。本編は晩秋ぽい光景で構成されている。 ここでは、新潟の光景にまつわるメモを中心に記す。 検札で、上田新作(渥美清)が美和子(佐久間良子)と出会うシーン。この室内、何度か出てくるが、165系の座席ではないし、なにより窓が2段サッシではない。座席は80系のものと思われるが、全金車は座席の枠も金属製のはず。また、80系のアコモ改造は、Wikipediaによれば1973年からとのことで、整合性がない。しかし、セットを組むほどのものではないだろうから、80系かなにかにこうした車両があったのだろう。車窓風景は、このシーンでは動かない。他のシーンでは合成で動いている演出がなされれいると思われる。 新潟に着いた車掌一行は、借り上げ宿舎に着いたあと、ネオン街に向かう。新潟くらいになれば、借り上げ宿舎ではなく、専用の宿泊施設があったと推察するが、そこはそれ。イメージカットは西堀から古町の8~9番町あたりだろうか。 新潟駅5番線への進入シーン。左はまだ新幹線の高架がなく、新潟機関区が広がる。ホームにはターレットが引く郵袋の山。跨線橋の設置工事中かな? 続くシーンは4番線への到着。「701M」とあるので「佐渡1号」だ。なお、シーンによって701Mや709M等、いろいろ変わる。左の1番線には新潟色の70系。 これらのシーンの直前に出てくるここは、白新線との複々線化や上越新幹線の高架橋でまったく雰囲気が変わってしまった場所で、ここだと思われる。 https://maps.gsi.go.jp/#18/37.914953/139.073747/&base=std&ls=std%7Cgazo1&blend=0&disp=11&lcd=gazo1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1 新潟のシーンの特定は、万代橋左岸の電電公社のマイクロ回線塔と、旧新潟市役所を目安にするとわかりやすい。 万代橋から柾谷小路を市役所方向へ。東堀を横切るところ。左手のビルはいまもそのままある。右手の新潟中央郵便局は、イメージはそのままに建て替えられている。 カトリック新潟教会。バスが走っているのは、寄居町の交差点からどっぺり坂に向かう道。「ガレージモミヂヤ」は、1962年と1974年の空中写真では確認できなかった。ここも、マイクロ回線塔が見えている。また、画面左手にはお寺の屋根が見えるので、あのあたりが西堀8番町あたりだということもわかる。 ちょっとわからないのがここ。画面中央は旧新潟市役所、その右手前にかぶさるようにあるのは小林百貨店付近と思われる。その右手にマイクロ回線塔。おそらく海側から旧新潟市役所方面を撮っていると思うが、左の大きなビルと、その右の大きな広告塔のある白いビルがわからない。 また、この神社。これはセットだろうか。「階段を上った先の神社で、鳥居がたくさん」「街を見下ろす神社」という神社は周辺にはない。なにしろ新潟は砂丘以外は平べったいのだ。「豊川荷大明神」とあり、「(稲)荷」を書き損じるとは考えづらい。鳥居にある「新潟東建設」「大東石油新潟」「新潟新金属」「新潟相生本舗」等々はいかにも架空の名称ぽい。 終盤のシーン。駅名標には「にいがたそうしゃじょうまえ」。いまの東新潟駅が「新潟操車場前仮乗降場」だった時代のものだ。この時代の駅名標は初めて見た。 * * *
まったく別の話。これは『喜劇急行列車』の1シーン。イメージカットだ。列車は20系だが、もちろんこれは20系の台車ではない。 この台車はなんだろう? 軸箱を囲む馬蹄形(Π型)風の部品からDT19かと思うもΠの上の部分がなく、軸箱上のゴム?が見えている。また、見えているステップ、気動車ではここまで大きくないので、機関車か貨車か。ボギー貨車の緩急車にこんな台車はないし、機関車にしても、ちょっと思い当たらない…などと思いつつ、下記の写真(これはDT18)を見ると、この映像ではΠの上部の凹みが上手く?見えない角度となり、またステップも低い位置まで降りているように見えるだけなのかもしれない。よって、キハ10系のDT19ではないかと推察する。 PR |
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