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小学生の頃、南正時さんの「ケイブンシャの大百科シリーズ」をたくさん持っていた。確か、初めて入手下のは『特急・急行大百科』。小学校2年の頃、同級生からもらったような気がする。以後、『蒸気機関車大百科』『機関車・電車大百科』『特急大百科』『ブルートレイン大百科』『特急もの知り大百科』『鉄道模型大百科』等々、たくさん持っていた中でも『鉄道写真大百科』は本当に熟読した。

もちろん小学館のコロタン文庫、実業之日本社のこどもポケット百科も多数持っていた。個人的には、南さん+えがしら剛さんコンビのケイブンシャと実業之日本社のシリーズが好きだった。ベストはケイブンシャなら『蒸気機関車大百科』、実業之日本社なら『国鉄全線大百科』だ。えがしらさんのイラストはずいぶん真似して描いた。いまでも鉄道車両を擬人化するときはえがしらさんの描き方以外は「違う」と思ってしまう。それほど好きだ。コロタン文庫は詳しいけれど、子供心がなかった。

いまの勤務先である実業之日本社の社名は南さんの本で知った。入社後すぐ、縁あって南さんと仕事関係の会合でお目にかかることができ、そこから十数年を経てついにお仕事をご一緒させていただいたのは感激の一言だ。

恐ろしいのは時の経つ早さで、南さんの本を熟読した年齢からお目にかかるまでが12年くらいとすると、お目にかかってから現在が19年近く経っているということだ。

前置きはここまで。


「日鉄連」こと「社団同人 日本鉄道研究団体連合会」による『台湾鉄道大百科』。見ての通り、かつての「ケイブンシャの大百科シリーズ」のパロディだ。パロディらしく、見た目も中身も本気だ。ケイブンシャを踏襲している。カバーのピンクと紫の縞縞部分、「ケイブンシャの」に替わり「ニッテツレンの」となっている。

紙はケイブンシャのものに似ている、ボール紙に近いというか少し灰色がかった厚い紙。本文はすべてにルビが振ってあり、基本的にはタイトルが丸ゴシックである以外は本文が明朝、キャプションがゴシックとなっていて、写植書体すら不自由していた時代の雰囲気を十分に再現している。

版面(はんづら)の外側の地紋も、いかにもである。カラー32ページ+モノクロ224ページ、堂々の1000円(安い!)。ここまでやってこそのパロディである。この本は2013年末のコミケ等で販売された。巻末には、南さんのシリーズへの謝辞が書いてある。


* * *

偶然か必然か、翌2014年1月の『週刊大衆EX』に「80年代のカルチャーを牽引した分厚い浪漫の塊!ケイブンシャの大百科の大百科」という記事が掲載された。
当時の編集者へのインタビューも入っていて、貴重な証言が多々ある。私も勤務先で「こどもポケット百科」を量産していた大先輩に話を聞いていたのだが、ほぼそれと合致している。この記事に「少なくとも3~5万部は刷って」いたと描いてあるが、逆に言えば、それくらいのスケールメリットがないと子供でも買える価格が実現できなかったのだ。

1980年前後には、どの書店にもこの手のシリーズの書棚があった。新潟の北光社で言えば、1階の、文庫本等の部屋の先端、出入り口付近のレジの手前下が売り場だった。背を上に向けてぎっしりと箱詰めされたように並んでいたと思う。子供はそこにしゃがみ込み、どの本にしようか手にとって選んだ。

どの本も熟読した。『国鉄全線大百科』(実業之日本社)などは痛んでしまったので買い直した。しかし小学校4年生の冬から『鉄道ファン』を読み始め、そちらにどっぷり漬かっていく。相変わらずえがしらさんの真似をした絵は描いていたが、少年向けの本は読まなくなる。その何年か後、駄菓子屋兼文房具店(副業)をしていた実家で、大百科シリーズは、店に来る子供たちにすべてあげてしまった。今思えばなんと思ったいないことだろう。前述の大先輩は、つい最近まで数百冊、各社の本を持っていたが家に本が増えすぎたために処分してしまったという。これまたなんともったいないことか!

* * *

2001年頃か、ケイブンシャが南さんの本を2タイトル(3かな?)復刻した。そしていま、各社の本が古書では高値で取引されている。でも、いまもし電子書籍で500円くらいであれば、私は買う。どうだろう、そんな需要は3桁の単位であるだろうか?

spcl thnx @team185

●関連項目
天北線 飛行場前仮乗降場
『駅名おもしろ大辞典』(夏攸吾著/日地出版)

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