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鉄道車両は自在に前進・後進をするが、案外、その理屈ってわからない人が多いのではなかろうか。

電車や電気機関車の直流モーターは、電流のプラス・マイナスを入れ替えれば逆回転する。これは小学生でもわかるだろう。では、気動車やディーゼル機関車はどうだろう。エンジンの出力軸は逆回転しない、ということは、常識なのか、それともクルマなどに関心がないと知らないことなのか、ちょっとわからないが、トルクコンバータ内に逆転機が内蔵されているか、台車内に逆転機が配置されるので、そこで回転の伝達方向を変える。

では、蒸気機関車は?


国鉄の制式蒸機全般に見られるワルシャート式弁装置の場合、「逆転機」(下記の8→1→3も含む)がそれを担う。同時に、クルマのギヤチェンジに相当する役割も受け持つ。これを理解するには、蒸気の流れ…蒸気溜め(ボイラー上のコブ)→シリンダの上の蒸気室(下記の6)→シリンダ(下記の7)→煙突、という流れと、シリンダ内でピストンが動き、それに連動して主連棒が動き、動輪が回転する、ということがわかる必要があるが、それはここでは書かないので、下記のgifアニメやwikipediaのワルシャート式弁装置の項目をご覧いただきたい。逆転機は、「ピストンのどちら側に、どれだけの蒸気を供給するか」を決める装置だ。

wikimedia commonsより。クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植



停車時の動き。



gifアニメとは向きが逆だが、逆転機は運転士側(車体左側)にあるので、こちらで撮影した。停止すると、シリンダ下部の排水弁を開く。水平の棒が後ろ(画面右)方向に動くのがわかる。次いで逆転機を操作し、ミッドギアにする。




今度は後進に移る。

発車前に、シリンダ下部の排水弁を閉じる。水平の棒が前(画面左)方向に動くのがわかる。次いで逆転機を操作し、ミッドギアから後進フルギアにする。


同じ動作を、逆側(機関車の右側)から撮影したもの。



上部のgifアニメと同じ向きだ。


蒸気機関車の魅力は、ロッドの動きに尽きる。もしワルシャート式弁装置でなく、外見的には単純なスチーブンソン式だったら、もう少し魅力は薄れているに違いない。そして、ワルシャート式弁装置の動きが複雑だからこそ、パッと見て理解されないという不幸もある。逆転機の妙味を味わっていただければと思う。


(関連項目)
逆転機の位置と公式写真の関係
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