6月20日、『月刊IKKI』の江上編集長から「『鉄道ファン大全』を見ました、磯部さんがやりたいと言ってたものと方向性が近いのかな?」というご連絡をいただいた。まだ発売前だったので、表紙を見る限りなんとも言えない。この本は、後述する内田宗治さんからも「出るよ」とお知らせいただいていたので、以前から気になっていた。そして今日、入手。
いい。すごくいい。 巻頭言では『十勝の森林鉄道』の著者・小林実さんを本書の象徴のように扱っている。わかる。わかります。 <参考> 『十勝の森林鉄道』(小林実著/森林舎) いま、自分の中で温めている企画があって、それとは幸いにも少し違うのだけれど、おそらく方向性や、作り手の考え方は、同じだと思う。この本は、既存のB5判/A4判の写真中心の鉄道誌では絶対にできない。いや、それらはそれらで大切な存在だし、それを必要としている人も多いのだけれど、そこではない層を取りにいく鉄道書が、ほぼすべてそれらの本の方法論から抜け出せていない、というのが私の見解。それを突き破る方法のひとつが、この本だと感じる。編集長の田中比呂之さんに、くわしくお話をうかがってみたい。明後日の『地図ナイト3』でお目にかかれると思うけれど、お話する時間はあるかな…? 地図ナイト3~鉄道と地図道・今尾恵介と鉄道旅行地図帳 <参考> 『鉄道乗りつぶしナイト!!!』開催します! 『乗りつぶしナイト』ありがとうございました 本書の内容は、どれもとても興味深い。文字を追うのもものかしく、読み続けてしまう。個人的に嬉しかった記事をふたつあげる。 「鉄道趣味メディア大増殖 平成鉄道趣味史」という記事。執筆は内田宗治さん、6年前まで私の上司だった方。その記事に、書泉グランデにこの人ありという鉄道書のご意見番的な存在、笠間さんが「印象に残っている本10冊」というコーナーがある。そこに、わが『鉄道の旅手帖』が入っている。とてもうれしい。 この本は私のアイデアだが、書名は内田さんによるものだと記憶している。最初はもっと説明っぽいタイトルだった。おかげさまで1年間で8刷という好成績。ただし、その後、「質の悪い」類書が多数出たために打ち止め。改訂したカラー版も出したが、初版ほどの爆発力は発揮できなかった。ただし、それは予想通りでもあった。 なお『鉄道の旅手帖』の装丁・地図デザインは、「鉄道趣味メディア大増殖 平成鉄道趣味史」で『鉄道廃線跡を歩く』のデザインを担当したということで談話が掲載されている道信勝彦さんである。これは、偶然。『~歩く』は出てすぐ買っていたけれど、それが道信さんの手によるものだとはまったく知らなかった。(当時はそういう見方をしていなかった) <参考> 『鉄道の旅手帖』類似品 もうひとつはこれ。『魅惑の鉄道ポスター』。ポスターそのものもすばらしいし、なによりもそこに描かれた文字の字体に目がいくのだれど、本論ではここに目が留まった。 「里見宗次作」。 里見氏は、アメリカにかつてあった機関車メーカー、アメリカン・ロコモティブのポスターを多数制作している。その記事が、『鉄道ファン』1981年11月号にある。執筆者は汽車会社の高田隆雄氏だ。いまではwikipediaにも項目があるような里見氏だが、いまのように検索などできない時代、文末は「里見さんの消息はその後杳としてわからぬままに今日にいたっている.」となっている。里見氏の業績が広く日本で知られるようになったのは1990年代なのかもしれない。 ほかの多数の記事も、どれもすばらしい。これだけの本を作る労力は並大抵の物ではない。そこを読者に読み取れというのは無理な話だが、自分の編集者としての技倆を顧みずに言えば、この本は恐れを感じる仕上がりである。有象無象の「鉄道本を出せば売れるだろう」という世の出版関係者は、本書の爪の垢を煎じて飲むといい。 この本の第二弾が読みたい。しかし、自分のものが形になるまではやめてくれとの気持ちはもちろんあるのだけれど、そんなことではいけない、両者(まだ私のほうは目処も立っていないけれど)相乗効果で、趣味の世界を豊かにできればと思っている。がんばらねば! PR |
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