東新潟港駅付近の廃線跡(夜)の続き。改めて、午前中に行った。
重油を運ぶ水管橋 東北電力新潟火力発電所で書いたワーレントラスのすぐ近くに、東新潟港駅の廃線跡がある。この距離だ。 ここは、実家からたぶん2kmもない。しかし「みなとトンネル」が開通するまでは、ここに来るには大廻りしなくては来れなかったし、そもそも新潟にいた頃にはここらへんには興味がなかった。いま思えば、自転車で駆け回っていた小中学校の頃に、ここに来ようという発想がなかったのは、実にもったいない。 何度か書いたが、その頃には越後交通の廃線跡や信越本線の青海川付近の廃線跡から、そうしたものに関心は持っていた。ただし、それを「よく考える」ことをしなかった。考えれば、手持ちの地図を見れば、ここに貨物駅があるのはわかったはずなのに。 なんともったいない。かつて、ここにワムが蝟集していた時代を、みすみす見過ごすなんて。 現地には原付で行ったが、みなとトンネルは原付通行禁止なので、結局大廻りをした。 東新潟港駅跡に残る「安全の塔」。近くに寮のようなアパートもあるが、関係あるのかないのか…。 まだ当分、このまま放置されていることだろう。なかなか港らしい、荒涼とした風景だと思っている。 PR
重油を運ぶ水管橋 東北電力新潟火力発電所が、かつての臨港線をまたいでいることは記事に書いたとおりだが、この水管橋と道路1本隔てて線路が放置されている。途中で分断されている箇所もあり、本当に放置状態である。その場所は真っ暗なので、少し南下した場所で撮った。
横断歩道と並行するように、線路が道路を横切っていた…はずである。しかし、その痕跡は舗装の下に埋もれている。 水管橋側を見る。線路内には雑草が生え、両脇は住宅街のため、敷地内が物置として、おそらく勝手に使用されていたり。 角度を変えて。推測するに、レールはそのまま舗装で埋められたのかもしれない。 警報機跡。灯火類はすべて撤去されている。 影を落とす。 反対側、すなわち焼島側を見ると、道路の街灯が、まるで線路沿いを照らす水銀灯のように一列に光っている。 詰所も勾配票も残っている。あ、左に傾いている…(←修正しろよ) 遠くに煙突が見える。地図を見たけれど、ちょっとどこの工場かはわからない。 すてきだ。 (昼間の様子は後日アップ予定)
新潟に育ちながら、ついに現役時代を見ることがなかった越後交通長岡線。小学生だからというわけでもなく、最末期はすでに働いていたが、鉄道趣味から相当に遠ざかっていたので、関心すらないまま、いつのまにかなくなっていた。
大津農業倉庫(越後鉄道 槙原駅跡) 越後交通与板駅跡の日通倉庫 の記事でも書いたが、4月末に付近を原付で訪問した際の写真を一部、アップする。もっと多くの写真をFlickrにアップしているので、ぜひそちらもご覧いただきたい。すべて、意図的にコントラストを高め、色調を触っている。 レポートなど、既にすばらしいものが山とあるので、私などが出る幕はない。
丸田祥三さんの写真集『眠る鉄道 SLEEPING BEAUTY』が、ついに完成した。「本」というカテゴリでは比類なきものができあがった。つきつめると、印刷物として、こういうものを作ることができるのか…。
丸田さんの作品ひとつひとつについてはいまさら私が書く必要などない。また、どんな作品が掲載されているかは下記の「制作実況中継」で十分想像できると思う。私の感想など、ファンにはなんの役にも立たないが、造本と印刷についてなら多少は参考になると思う。そこで、それらについて書く。 <ぜひご覧ください> togetter:丸田祥三×祖父江慎×凸版印刷×江上英樹 『眠る鉄道』制作実況中継 本書の企画・担当は、月刊IKKIの江上英樹編集長。広田尚敬さんのデビュー60周年記念企画をとりまとめ、『Fの時代』を作り上げた方だ。(<参考>『Fの時代』と『Cの時代』)
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この本に興味をもったら、あるいはこの本を買うかどうか迷ったら、ぜひ書店で手にとってみていただきたい。とにかく、「造り」が魅力的だ。この「造り」が、本書の作品をさらに高めている。装丁は『廃道 棄てられし道』と同じく祖父江慎さん+福島よし恵さん。 上の写真のように、本書は、ノド(綴じてある側)までめいっぱいに開く。そして、紙が厚くて硬い。ノドまで開くこの製本は「コデックス装」、通称「綴じっぱなし製本」といって、本来は、この背に布を貼り、ハードカバーをつけるものだ。これを並製本にすると、こんな感じに見開ける。 ノドまで開けて、硬い紙だとすると、「絵葉書の束」のような印象になる。外周に白地があることによって、絵葉書感はなくなり、額装のような印象になる。このあたり、祖父江さんの狙いなのだろう。 印刷については前述のtogetterに詳細があるが、一部の折は蛍光ピンクを使った5色刷りである。印刷で再現できる色は、比較的限界が低いのだが、丸田さんの作品の彩度を再現するために、凸版印刷のプリンティング・ディレクター、金子氏が決断したものだ。しかも、通常、蛍光色は最後に刷るのだが、逆に先に刷って、その上にCMYKを刷ることで、シャープさと輝きを実現している。 私のダメな目では、5色刷りと教えていただいたページをルーペで覗いてもそれだとわからないので、このページもそうなのかどうかわからないのだが、丸田さんお気に入りの一枚が右の作品。こんな写真ではわからないだろうが、まるで絵画のようなのだ。最近撮影したデジタルカメラによる作品の、手が切れるようなシャープさと被写体の硬さとはうってかわって、画面全体がとても軟らかい。私はどシャープな作品も大好きだけれど、丸田さんのファンはこちらの作風を好む人も相当いるのだろうな、と思う。ほかにも、まるで昭和30年代の雑誌の付録のようなやさしい、少しくすんだ色合いの作品もいくつかある。たとえばこの作品。(自宅の蛍光灯が写り込んでいるのはご容赦!) わかりやすいように作品の一部だけを写すと… どうだろう、この絵画感は。 巻末には、江上さんこだわりのページとして、全作品の現役時代の写真が掲載されている。 この写真とデータを集めるのが、相当難儀したらしい。いや、でも、相当そこで楽しめたはず…と、実はお手伝いしたかった私はそう思っておく。 そして、ここで、広田尚敬さんの作品も掲載されている! 丸田さんは、広田さんをとても尊敬している。こんな形での共演、喜んでおられるのか、今度お会いしたら伺ってみようと思う。
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もう、うっとりする本だ。定価2625円。決して高くないと思う。3冊買って、1冊は「本」として大切にし、2冊はバラして1枚1枚の作品として額装して飾っておきたいくらいだ。25日配本なので、書店店頭には明日ころから順次並ぶはずだ。 本書で、丸田祥三さんの「三部作」は完成した。これから、本書を、丸田さんの作品を、作品世界をさらに楽しむためのイベントも企画中だ。私も絡むかもしれない。乞うご期待。
昭和56年(1981年)、友人のH君から借りたコロタン文庫の『国鉄駅名全<オール>百科』(小学館)に載っていた飛行場前駅が、小学4年生を打ちのめした。これが北海道か。
広い空、だけど暖かくもなさそう。草いきれを十分に感じるけれども、海風も吹いていそう。とにかく、この駅があこがれとなった。 本文でも2ヶ所で写真が使われている。鳥居型駅名標が大好きで、よく真似して絵を描いたり、駅名標の写真がたくさん載っている本を日夜探していたような私にとって、この駅名標も衝撃的だった。 ひこうじょまえ。やすべつ。あさじの。 なんともいえない手書き文字。標準的なものよりもかなり小振りの駅名標。ローマ字がないということは、定型ではない…。あまりにもこの写真を見過ぎて、安別と浅茅野もあこがれの地名となった。 天北線が廃止になった頃には鉄道趣味から離れていたので(廃止になることは知っていた)、結局は現役時代には行っていない。後年、大学を卒業後にバイクツーリングをするようになって、このあたりはよく通った。浅茅野あたりの地名を見るたびにこの駅のことは思い出すが、どうせ駅などないものだと思い込み、訪ねたことはなかった。 さらに年月が経った。 どうやら、2011年になっても、ホームや駅名標の一部が残っているようだと知った。 その夏、いろいろ無理をして10年ぶりのソロツーリングを実現した。現地3日。ぜひ行こうと思った。 夏の匂いがする。 線路だったところは舗装され、自転車道路になっている。両脇の草は刈られている。ここを自転車が通ることがあるのだろうか? 板張りのホームがあった。板の上に乗るのがためらわれるほど乾ききり、踏み抜けば踏み抜けそうだった。 右に見える標識は、まるでメインの標識が落ちて補助標識だけが残っているように見えるが、そうではなく、「国道0.1km」のような字が書いてあったと思う。 この場所に、何時間でもいたい。この場所で夕暮れを迎え、夜を迎え、朝を迎えたい。そう思った。
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こんな青空も、興部に着く頃には曇天となり、雨となった。紋別あたりでまた晴れた。この後、三国峠を越えて苫小牧まで走った。
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コロタン文庫は罪深い。こんな本である。 小学生の時、H君に借りた本をあまりに読み込みすぎて折り目をつけてしまい、申し訳なかったので新しいのを買ってH君に返した。私の手元に残った本は、その後しばらく持っていたものの、やがて鉄道から離れたころ、近所の子どもにほかにもたくさんあった同類の本とともにあげてしまった。いま思えば、思い入れのある本を手放すというのは、悔やんでも悔やみきれない。上記の写真は、2000年代に入ってからオークションで購入したもの。 本文での取り上げ方はこう。ひとつの駅が、本の巻頭、エリアの最初、本文と3ヶ所に掲載されている。いまなら事情もわかってしまうが、そんなことはどうでもいい。この駅を巻頭に掲載してくれたからこそ、思いが募ったのだ。ありがとう、コロタン文庫。 |
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