8月22日(日)・23日(月)と、東京から高崎・六日町・犀潟・富山・岐阜・天竜二俣・東京、というルートでぐるりと一周してきた。22日の朝、高崎駅のトイレを出たところでふと窓の外を見ると、そこには古い跨線橋があり、その骨組みはプラットトラスの構造ではないか。
跨線橋、とくに古レールを使ったものは当然、トラス構造であることくらい、誰もがわかっていることだろうが、そのトラスの組み方が突然、目に入ってきた。 跨線橋とて「橋」である。人が歩く部分の桁をどう支えるか、という観点で見ると、トラス桁のものとビーム桁のものがある。もしかすると最近は張殻構造なんてのもあるかもしれない(妄想)。また、横桁がどこにあるのかも意識するとおもしろい。 ここでプラットトラスになっているのはなぜなんだろう。活荷重は小さいので、構造計算しやすいとか。あるいは、レールみたいな軟らかい部材を使うから、斜材に引張力のみが働くプラットトラスになっているとか(ワーレントラスは、斜材にかかる力は引張力/圧縮力/引張力…と交互になる。レールは、5mもあれば、私が乗るだけでぐにゃりと曲がるくらい軟らかい)。そちら方面はまったくわからないので、なぜプラットトラスなのか、正確な理由は分からない。 そういう目で見ると、この高崎の跨線橋は、7パネルなのに、向かって左にズレて、中央パネル部分の斜材がクロスしている。ということは、向かって左側の向こうになおもう1パネル分、あったのかもしれな。この跨線橋は上弦材と斜材がレールで組まれ、下弦材は断面が形鋼(C型チャンネル?)に見える。なお、横桁がどこにあるか、写真からはわからなかった。 さて、高崎で突如目覚め、できる範囲でトラス桁の跨線橋の写真を撮ってみた。また、帰宅後、過去に撮った写真で跨線橋が写っているものをいくつか抜き出してみた。 高山本線中川辺駅な6パネルのプラとトラス。見事。屋根や側壁は、単なる雨よけで、構造物になっていない。 よく見ると、横桁は下部のガセットで結合されてはおらず、1パネルあたり2本の横桁が、なんらかの構造で下弦とくっついているようだ。 高山本線笹津駅。こちらは2連の構造となっていて、向かって右が4パネル、左が7パネル。左の方の中央格間の斜材はレールではなく帯板だ。たしかに、もっとも大きな力がかかるのは端部の斜材である。横桁は、下部のガセット部分に結合されているようだ。 橋脚は端柱を兼ねている、ということはこれはラーメン構造の要素もあるというのか? そういう分類をしていいかどうかは、私にはわからない。 この、すばらしく「まもなく消失する雰囲気」を醸し出しているのは富山駅の跨線橋。いま、富山駅は新幹線開通に向けての工事がたけなわであり、遠からずこの跨線橋も姿を消すだろう。 見事に古レールを大活用して作られた、8パネルの跨線橋。1パネルにつき2本、横桁(レール)が乗っていて、その上にコンクリートで床版が打ってある。木造の側壁は完全に雨よけに過ぎない。 水戸線下館駅。全体は写っていないが、ほぼわかろう。6パネルである。注目したいのは、斜材が対角線を通っていないように見えること。いや、正確には正方形に近い形で連続していて、垂直材が天方向に突き出してそれが屋根を支えている。これも、横桁は下部のガセット部分にはなく、下弦に1パネルあたり2本、レールを使った横桁が載っているという、100フィート英国系ポニーワーレンかのような構造をしている。 高山本線越中八尾駅。5パネルのプラットトラス。横桁はきちんと格点間をつないでいる。 これは、外見の写真がないが、北海道の石北本線遠軽駅の跨線橋の内部。プラットトラスだ。きちんと上横構もある。 いまはなき、北海道のちほく高原鉄道の本別駅にあったもの。これはワーレントラスだ。下弦は帯材、それほどの荷重負担は課せられてないようだ。横桁は下部のガセットに結合されている。 根室本線の落合駅の跨線橋内部。これはワーレントラスである。上横構がない。 信越本線犀潟駅。形鋼を利用して桁をつくり、その上にプレハブのような通路がかぶさっている。 高山本線下呂駅。高山本線の跨線橋は大きく分けて3タイプあるようだった。先に紹介したプラットトラスのもの。近年設置されたらしい、このような形鋼を利用した者。もうひとつは、屋根もない、道路の歩道橋みたいなタイプである。 また、内部をご覧いただければわかるとおり、こちらも上横構がない、といっていい。曲線を描くのは、単に屋根を支えているだけではないか。 高山本線角川駅。こちらも形鋼で桁を作っているので、よく似ている。 以上、手持ちの写真でつらつらと考えてみた。これからは跨線橋の写真を「きちんと」撮ってみようかと思う。膨大な数が、まだまだ間に合うはずだ。 PR |
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