8月28日、「十二橋クルーズ+鹿島工場ツアー」に参加した。主催はイカロスの大野さんだ。ルートはこう。
【道の駅佐原→利根川→中江間閘門→中江間水路→与田浦→新左右衛門川→十二橋→加藤洲閘門(工事中で通行止め、折り返す)→与田浦→大割水路→大割閘門→常陸利根川→新横利根閘門→横利根川→横利根閘門→利根川→道の駅佐原】(上記地図はDAN杉本氏のカシミール3Dを使用して作製) 水路を行くのは初めてなので、閘門の中を行くのも初めて。ルートにはいろいろな閘門が組み込まれていたが、もっとも気になったのがこの横利根閘門だ。常陸利根川(北側)から利根川(南側)に向かって進む いや別に煉瓦だからとかそういうことではない。煉瓦ってずるい。煉瓦だというだけで取り扱いが変わる。ただの材料じゃないか。 いや、この閘門が気になったのは、他の閘門と異なり、 (謎1)観音扉のゲートだったこと (謎2)通常、閘門を挟んでゲートは1組なのだが、それが2重、すなわち4つのゲートがあっていたこと (謎3)ゲートはそれぞれ対になり、菱形をしていたこと (謎4)それぞれのゲートの高さが異なること (謎5)ゲート先端に木材が打ち付けてあること というように、やたら特殊な感じがしたのだ。門扉がこちらに突き出しているのがわかるだろうか。 位置の紹介がてら、航空写真で見てみると、その意味がわかるだろう。 「2組の菱形」の存在がわかるだろうか。左上が常陸利根川方面、右下が利根川方面である。便宜上、左上常陸利根川方から「1番ゲート」「2番ゲート」…とする。 船を近づけ、1番ゲート開扉。 1番ゲートよりも2番ゲートのほうが背が高い。 向かって右側の上にあるでかい歯車が動いている。 雨ざらしでこれが回っていることに感動する。注油も大変なんじゃないか。 ここが自動化されたのが何年、だとかいう記述をどこかで見たが、それまでは向かって左の歯車を手でキリキリ回していたのだろうか。 1番ゲート全開。 向こうに見える2番ゲートが、向こうに向かって突き出しているのがわかるだろうか。 進む。 進行方向(利根川向き)左を振り返ってみる。1番ゲートと2番ゲートの高さの差がこれだけある。 2番ゲートの先端部(画面では右側)は木製である。これが謎だった(後述)。 また、画面右側に奥行きのある窪みはなんだろう。この下部から注排水するのではないかと思う(まったくの憶測です)。 閘門内に入り、1番・2番ゲートを閉め、注水、3番ゲート開放へ。すべて手動。 通過し終わるまで、ここにこれだけ興味を持つとは思っておらず、3番・4番ゲートが閉まっている状態の写真はない。これは、開放後の、利根川に向かって右側である。 ここで、4枚のゲートのうえ、2番・。3番、すなわち利根川方のゲートのほうが高さがあることに気づいた。 文字で書くとこんな感じ。 (利根川)≪> ≪>(常陸利根川)
菱形の上に、利根川方のほうが高さがある。なぜだ。現地ではまったく疑問を解決できないまま横利根閘門を後にした。 後ろを向き、利根川から常陸利根川方向をみている。当然だが2番ゲートは閉じられている。 さて、帰宅後、この横利根閘門について検索したが、上記疑問に答えられるものは発見できなかった。wikipediaに項目があったり、香取市などのサイトで説明しているが、いずれも「複式閘門である」という記述があるのみで、まったく使えない。「複式閘門」ってなんだよ!説明しろよ! こういうことは、間違いなく、市の教育委員会もコピペでものごとを済ませている証拠である。どこのなにを引用したか書いておいてくれ。 さて、検索結果の中に、この閘門は重要文化財ということで、文化庁のサイトにはこのような記述があった。 ここでも解決せず。閘室、閘頭部は説明があり、閘門外擁壁、閘門用地は説明がなくてもわかるのだが、「複閘式閘門」、これは「複式閘門」の別名だと思うが、この説明がない。 引き続き検索し、下記のことがわかった。 (A)観音開きのゲートは「マイターゲートmiter gate」という。その由来はYahoo!の辞書のイラストがわかりやすい。 (B)マイターゲートは、水位の高い方に突き出す形で閉じる。つまり、通常は同じ方向に突き出す。理屈はこうだ。ゲートの表裏で水位に差があると水圧にも差が生じる。水位の高いほうが水圧が高いため、それを利用して密着させるために、水位の高いほうに突き出している。アーチ構造の要石の役割を水圧が果たす(ちと違うか)。 (C)ゲート端部(つまり合わせ目)には密閉度を高くするために木材を用いることがある。 (D)「利根川が増水した時に、横利根川は霞ケ浦に逆流する」(稲敷市のサイトより。原典不明)。ということは通常は常陸利根川から利根川方向に流れる(見学時には私にはどちらの水位が高いかわからなかった)。 これらから考察するに、 ・本当は、常陸利根川に向かって突き出すゲート(1番、3番)だけでいいのに、たまに利根川が逆流するから、それに対抗するような配置で利根川に向かって突き出すゲート(2番、4番)があり、結果、菱形になる。 ・そのため、ゲートの高さは1番と3番、2番と4番が同じとなっている。 ・利根川の逆流のほうが、常陸利根川からの通常の流れよりも大規模か、水位が高いため、2番・4番ゲートのほうが1番・3番よりも高い。 つまり、 ・利根川が逆流する可能性がなければ、4組のゲートではなく、ゲート2組の通常の閘門になるはずだった ということだ。すべてすっきりと解決した。 #のちに「閘頭部」を検索していたら、がーちゃんのサイトにあたった。昨日ご一緒してたじゃないか…おうかがいすればよかったよ。とほほ。 ついでに。 もう一度、地図を掲示する。 この横利根水門付近の県境のラインがおかしい。 これは、本来の横利根川に沿って県境が定められたのに、その後、川の淵側を短絡する形でこの横利根閘門が設置され、本来の川筋は埋め立てられてしまった。しかし、県境は動かさなかったため、、本来の県境がおかしな形で残ってしまったのだ…と推測する。 PR |
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