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20110411-99.jpg

19歳まで新潟に住んでいた。そして母方の実家が柏崎だったため、日頃は急行「しらゆき」または「赤倉」をよく利用していた。「とがくし」は、利用時間が都合が悪かったのか、1回しか乗った記憶がなく、気動車急行が非冷房で窓全開だったのに対し、冷房が寒すぎた記憶がある。もちろん、自由席にしか乗ったことがない。

昭和55年、なぜかは知らないが、越後線で行った。急行なら柏崎まで1時間半のところ、越後線の各停は3時間かかる。吉田を過ぎると子供心にエキゾチックな駅名が続き、興味をそそられた。その時の写真が、上のキハ55である。これは母がカメラを持っていて(ミノルチナSという)、母が撮った。

それから少し経って、ミノルチナが壊れた。シャッターが下りなくなった気がする。もともと写真など撮る家ではなかったので、私がへたくそな小学生らしい写真を撮るために、お年玉でミノルタハイマチックSというカメラを買った。それで駅名標を撮った。間違いなく、種村直樹『鈍行列車の旅』巻末の、森嶋孝司さんの824列車全駅名標撮影、が大きく影響している。そのため「鳥居型」に絞って撮った。

総じて、越後線の鳥居型駅名標には木製ので鳥居型に組んだものはなく、すべて鉄製であったと思う。L字型のアングルか、古レールを組み合わせていた。興味深いのは書体である。すべて手書きであるため、個人のクセが出ている。文字にも、矢印にも、罫線にもクセが出る。そのおかげで、同じ人が書いたと推測できる複数の駅名標がある。そうした観点で見て行く。


なお、定型は、

ひらがな
漢字
ローマ字
(所在地)
←---→
燐駅|燐駅

である。

ここにアップするのは、。そのとき、あるいは後日撮った写真である。雪景色のものは、ほとんどが昭和56年冬の撮影である。モノクロは昭和57~58年頃と思う。

●新潟駅

「鳥居型」がないので割愛。

●白山駅
5048e90e.jpgとにかく平仮名の太さが目立つ。「は」「さ
」に、後日書く越後西線の駅名標と同じテイストを感じるが、他の平仮名を見ると別。所在地表記もない、オリジナル型。

後ろのキハ45 32は、寒冷地仕様の500番台とともに新潟の顔だった。

白山駅は島式ホームで、駅舎には地下道が通じていた。その、地下道の階段がとても味わい深かったのだが、いま現在はホームともども改築中で、跨線橋が架設されている。白山駅は、高校時代、「汽車通」してた友人をときどき見送りに行った。私は自転車通学だった。

●関屋駅
c21b5694.jpgこの時代の駅名標は、ローマ字に特徴がある。PCで言うところの「全角英数字」になっているのだ。こんなに丸っこいアルファベットはアルファベット文化圏の人は読み取りづらいのではないか。アルファベットには、アルファベットを表記するのに適した書体があるのだ。気にしてない書物が世の中には多すぎるけれど。

窓の外を見れば、まだ貨物輸送をしていた時代。

新潟から内野あたりは当時でも乗客が多く、車内から駅名標を撮るとどうしても人が入ってしまい、思うように撮れなかった。子どもとはいえ、(被写体でもない)人にカメラを向けることには抵抗があった。

●青山駅

当時は存在しない。

●小針駅
321e8a5d.jpg駅名標は、古レールである。ローマ字を「TE RA O」と書くようなスタイル。これは新潟口で見られた。

●寺尾駅
dff9b3f0.jpgこれも「アルファベット全角系」だ。露出オーバーのため、よく見えない。

●内野駅
8a813b9c.jpg「てらお TE RA O」の書き方からして、小針駅と同系統だろう。

●内野西が丘駅

当時は存在しない。

●越後赤塚駅
55616d50.jpgここだけ書体が違う。丸ゴシック系ではなく、角ゴシック系で力強い。「か」を見ると、国鉄フォントに似ているが、他の文字はそうではない。

ローマ字表記、「越後」と「赤塚」の間にハイフンが入る。

ここまで(旧)新潟市。

●越後曽根駅
47de0e24.jpg白山駅と同系統かもしれない。所在地表記もないし。また、ここも「越後」「曽根」の間にハイフンが入る。

その向こうの「銀バス」が気になる人もいるかもしれない。

●巻駅
cf905599.jpgなぜかローマ字だけが角ゴシックになっている。それ以外は、後述する荒浜駅などと同じ系統に見える。

こちらも古レール。古レールを門型に組み、その上に鉄板をかぶせてある。

●岩室駅
7ab3b3d1.jpgこんな写真ばかりで本当に申し訳ない。所在地表記あり。

●北吉田駅

当時は存在しない。

●吉田駅
669ffa28.jpg岩室駅と同系だろう。「み」「よ」がかわいいし、「わ」も筆順ではなくレタリング的に処理されていて、かわいい。

燐駅表示、「いわむろ 」とスペースがあるのが気になる。


昭和50年代の駅名標(越後線)その2に続く。
昭和50年代の駅名標(越後線)その3もあるよ。

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20110206-11.JPG


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20110206-01.JPG楽しみにしていたイベント、『鉄イッターサミット』に行ってきた。この看板の電車がかわいいw

今回の出演者、小倉沙耶さん栗原景さんオオゼキタクさんは、よくツイッターで絡んでいるお友達。そして向谷実さんは、私にとっては20年前にはカシオペアのコピーバンドをしていたくらいの方で、#mmclubもずっと注目している方。どう絡むのかに注目しながら、そしてツイッターという個人対個人のツールをどうイベントに仕上げるのかに注目しながら開演を迎えた。

会場内は、イベントがイベントだけにPCを開いている人が多かった。私はiPadを借りて参加。携帯だといろいろつらいので。また、ツイッターイベントなだけに、会場内で「ツイッター上では知り合いなんだけど、会うのは初めて」のような挨拶があちらこちらで聞こえる。私のTL上にいらっしゃる方も多い。

20110206-02.JPG第一部、乾杯から。左から、小倉さん、向谷さん、栗原さん。

20110206-03.JPGまずは、ツイッターと鉄道旅行の親和性の話。フォロワーを旅気分に誘うだけでなく、現地での情報交換、ニアミス、あるいは実際に(偶然の要素を含んで)出会ったり。いろいろうなづける方も多いと思う。


第2部。名古屋から大阪へ移動中?の斉藤雪乃さんが電話でゲスト出演。会場では雪乃さんの声がほとんど聞き取れず、それもそのはず、電話の声はこのような「電話+マイク」で拡散していたのだ…。リハではうまくいっていたらしい。
20110206-05.JPG.

次いで、鉄道会社などのツイッターの状況の話。和歌山電鉄のたま、ひたちなか海浜鉄道のおさむなどがツイートしている。この場で、琴電のキャラクター、ことちゃんとリアルタイム(少しタイムラグがある)でツイッターで絡む。そして、それに関連してひたちなか海浜鉄道の吉田社長が登壇。
20110206-04.JPG画面右端が吉田社長。ひたちなか海浜鉄道では公式ツイッターはやっていないが、ツイッターが持つ大きな力は感じているという。

ここで、向谷さんが突然「上野発の気動車列車を運行して、阿字ヶ浦まで乗り入れましょうよ!」と提案。それにまじめに答える吉田社長。でも、このノリはまさしく向谷倶楽部。そうして数々のプロジェクトを立ち上げ、成し遂げてきた向谷さんならではの呼びかけだ。ツイッターイベントとは無関係だが、この程度の脱線はまったくOKだ。

第3部でオオゼキタクさん登場。『早春列車』を歌った後、突如向谷さんのiPadによる伴奏つきに!20110206-07.JPG
なにこれすごい。

20110206-09.JPG事後に手の部分だけアップ。いやあ、こうした競演は鳥肌もの。会場でしか味わえない。UST見ている人たちの「行けばよかった」コメントが多数流れる。すかさず向谷さん「どうしてこなかったの?」。ほんと、そうだ。

ハッシュタグで見ていると、この発言にマジレスで返す人が少なからずいた。「事情があって行けない人もいるんです」みたいな。そういう意味で言っているのではないだろうに。他の場面での向谷さんの発言が正鵠を射ている。「ソーシャルなメディアなんだから、自分の意見も言うし反論もする」。

別の場面の話だが、しかしこういう人も出てくる。「USTなんだから放送倫理に云々」。じゃあUSTやめればいいのですね。わかります。ツイッターで異様な正義感を発揮する人には辟易する。

続いて「ツイッターあるある」。
20110206-08.JPG鉄道旅行をしながら見たり書いたりしていると車窓を楽しめなくなったり、ここぞというところで圏外になったり。この場面で、ハッシュタグ#tetsusumにメンションがどっときた。

そしてオオトリはツイッター大喜利。これは先のハッシュタグをご覧いただければわかるが、あまりのメンションの多さに読み切れないものが多数あったようだ。その中から、4つのお題にそれぞれ4~5個くらいのネタがひょみあげられる。高評価のものに「特急」、まあまあのものに「急行」、まあのものに「各停」が与えられるというもの。

これも、参加している人は、お題に対しての回答を発言をしているので、たとえば「クモハのクってなんだっけ」という「ボケ」的な回答をしている人に、そのフォロワーが「駆動のクらしいです」みたいなリプライを送っていたりというなかなかカオスな面もあった。

この大喜利、TLではとてもおいきれないので、この機械が活躍した。
20110206-06.JPG

そんなこんなの盛りだくさんで、21時近くに、終了。

終演後、楽屋で向谷さんにご挨拶して一緒に記念撮影していただいた。光栄です。

終演後、出演者らと打ち上げへ。企画者の小倉さんはほんとうに安堵されたようで、それがとってもさわやかでした。大阪でこのイベントやるなら行きますよ!


タクさんがツイッターで書いていたけれど、ツイッターのおかげで「個人の活動」だった鉄道趣味が大きく広がった。それは私も同じ。いわゆる「鉄仲間」はひとりもいなかったのだけれど~~栗原さんや土屋さんは仕事仲間であり、そういう会話もしてはいたけれど~~ツイッターのおかげで、1年前にはゼロに近かった鉄道の仲間が大きく増えた。40間近になって友達が増えるというのはとても嬉しいことだ。

私は2009年夏にアカウントをとっていて、その後休眠状態だったところ。『山さ行がねが』ヨッキれんさんがツイッターを始めたことできちんと(?)使い出した。そしてそのヨッキさんに進めたのは『廃道写真館』鳴瀬たつきさん。お二人には深く感謝している。

写真家・米屋浩二さんの写真展『アジアン鉄道』に行ってきた。場所は新宿東口、タカノのビルの4階、コニカミノルタプラザだ。作品の画像をあげるわけにはいかないので画像ナシのエントリになるが、御容赦いただきたい。下記リンクをクリックしてほしい。

コニカミノルタプラザの案内
「フォト蔵」に米屋さんがアップされた作品1
「フォト蔵」に米屋さんがアップされた作品2


今回の写真展は、「まだ若いアジアの鉄道(←文言は違っていたかもしれません)」と、それを利用する人々の表情を披露するもので、どの作品もとびきりに明るい。ほとんどの作品は乗客が主役で、みな、カメラを見て微笑んでいる。時にはニヤリとしていたり、無表情だったりもするが、それもコミュニケーションの結果。

作品に写っている女の子はどの子も本当にかわいいし、おじさんも温かみのある表情をしている。舞台となる列車は、旅の雰囲気あり、日常使いの雰囲気あり。モノトーンの作品ゆえに、それらが際立つ。自分も銀塩カメラに広角レンズをつけてトライXを詰めて現地に行けば、そうした風景に出会えるのではないか…という錯覚に陥る。錯覚、というのは、もちろんそんなに簡単にそうした作品をものせるわけがない、という意味である。その錯覚が悪いということはまったくないと思うし、私はかつて所持していたペンタックスKX(デジタル一眼レフのk-xではない)をもう一度入手したくなった。


私が会場を訪れたときは比較的早い時間帯だったので、米屋さんから直接、撮影時のエピソードをお伺いしながら拝見するという非常に贅沢な観覧ができた。じっくり拝見し、もう一度ゆっくり拝見したら、あっという間に1時間以上がすぎていた。

この写真展を見たら、きっと、車両中心で撮っていた写真好きな人でも、人物を撮りたくなるに違いない。今度は5Dに28mmだけつけて出かけてみようと思う。


なお、米屋さんの作品について、過去のエントリはこちら。

インドネシアのトレリストラス+ランガー(?)+トレッスル橋脚
インドネシアのCikubang Bridge(続)


映画『アンストッパブル』をより味わうために(1)
映画『アンストッパブル』をより味わうために(2)のつづき。

■SD40-2は「旧式」?

公式サイトのストーリーでは、主人公らが乗るSD40-2を「旧式機関車」と書いている。旧式だと、なにか不都合があるのだろうか? 端的に「新型の暴走機関車を、旧式の機関車が止める」という対立の図式を作りたかったのだろうか。日本で例えれば、DF200が重連で牽引する機関車を、1両のDD51が綱引きして止めるイメージか。

「旧式」の欠点は? 機関車の性能で考えると、粘着牽引力だったり、燃費だったりするのだが、それを次で比較してみる。


■SD40-2は、AC4400CWを止められるのか?

サイトThe Diesel Shopにあるデータを羅列してみる。なお、両車種ともに6動軸である。

車種/原動機出力/粘着牽引力(起動時)/粘着牽引力(定格)
AC4400CW/4400PS/18万lbs@粘着係数*35%/14.5万lbs@13.7MPH
=81647kg/65771kg@22km/h
SD40-2/3000PS/9.2万lbs@粘着係数*25%/8.21万lbs@11MPH
=41739kg/37240kg@17.6km/h
*adhensionとだけ書いてあるので「粘着係数」、日本では%ではなく「0.35」などと表記される数値だと思うが、違うかもしれない。

このAC4400CWが重連で牽引しているのだから、SD40-2が1両だけ追いついたとしても…。

では、実際の事故はどうだったのだろうか。実際の機関車は、暴走した列車の牽引機、最後尾に連結して原則させた機関車も、ともにSD40-2であった。


■鉄道会社は株価を気にする?

運行部長が「この事故で株価はどうなる?」といったことを発言するシーンがある。会社のことしか考えていないと印象づけるシーンだが、アメリカの鉄道会社は大きな投資対象になっているため、こういう考え方をしてもおかしいとは思わない。

実際にCSXが事故を起こした2001年5月頃の株価推移を見てみると、これが重大なインシデントで済んだためか、影響がないように見える。株価推移はこちら


■鉄道安全教室

鉄道施設を見学する小学生の団体が出てくる。アメリカでは、踏切事故対策に頭を悩ませており、こうした取組はよくあることのようだ。

そのシーンで「鉄道に乗ったことある人!」と挙手をさせたときに、多くの子どもたちが手を挙げたのが意外だった。アメリカの鉄道は基本的に貨物輸送であり、一般の人間が乗るとしたら大都市近郊のコミューター路線くらいだと思うのだが、この子どもたちが乗ったのはなんなのだろう? 



…といったように、アメリカの鉄道のことを知ると、より各場面が持つ意味が理解できよう。


■鉄橋の存在感…まとめ

もっとあやぶまれた「スタントンの大曲」。そこに橋梁があり、手前というか奥というか、一端には急曲線かつ勾配のあるアプローチ線がある。映画『アンストッパブル』をより味わうために(1)で地図を示したその橋は、冒頭、まだ事件を知る前の主人公たちのシーンなど、幾度となくスクリーンに登場する。速度制限25MPHということは、かなりの急曲線だ。この橋を俯瞰するシーンがとても美しい。

この橋は、プラットトラスとプレートガーダーで構成されている。プラットトラスの大きさは2種類あり、大きなものは当然径間が大きい。おそらく、元々は水運のために径間を大きくとったものであろう。アプローチ部分はトレッスル橋脚だ。

ほかにも随所で橋梁が出てくる。そのほとんどはプラットトラスだったり、ペンシルバニアトラス(分格のプラットトラス)だったり。もしこれが日本なら、コンクリート製の高架橋となるのではないだろうか。言い換えれば、アメリカの鉄道が舞台の映画だからこそ、鉄橋だらけなのだ。と思う。

アメリカの鉄鋼産業は19世紀末から大規模に発展した。トラストを組み、莫大な利益を上げ、株価も一方的に吹き上がっていった。橋梁技術も発展させた。そして、架ける橋架ける橋、そのほとんどを鋼製橋梁とした。鉄道でいえば、高架橋は鋼橋。橋脚はトレッスル。道路でいえば、長大な径間が必要な橋は鋼製吊橋。そこまででもない橋はカンチレバートラス。それぞれ、当時の日本では考えられないほどの大型のもの。

私は、この映画の見所は、近代的な機関車の重量感と、前近代的な鉄橋の組み合わせだと思う。もしスタントンの大曲がコンクリート製高架橋だったら、クライマックスシーンでジェットコースターのごとく描かれてもちっとも時間がわかないだろう。鉄橋ゆえの、トレッスル橋脚ゆえの軋みを再現することで、この映画は完成度を高めている。



最後に、未消化で残った点をふたつ。

(1)重要な役割を果たす、溶接工のネッド。彼の存在意義が不明である。それがこの映画で唯一、消化不良となっている。出勤前、スタンドで油を売っているネッド。彼の元に電話が入り、「ポイントを切り替えろ」との指示が入る。その後、彼はクルマで列車を追いかけることになるのだが、なぜ彼にその指示が下ったのか? その辺が読み取れなかった。

(2)脱線機が失敗するというくだりがある。これ、確実に脱線させるなら、レールを外せばいいじゃないの。


以上、3回に分けて勝手に解説した。もしまだ見ぬ方がいらっしゃったら、ぜひご覧いただきたい。既に見た方は、ぜひもう一度。そのようにして、実際に見に行っていいただければ幸いである。
映画『アンストッパブル』をより味わうために(1)の続き。

■日本語字幕について

●賛辞

英語との対訳はわからないが、日本の鉄道用語とは正確に対応している。たとえば、大部分のアメロコにはダイナミックブレーキがついていて、これがストーリーにも関わるのだが、アメロコの場合、ダイナミックブレーキは発電ブレーキを意味する。これは、アメロコのことを知らないと、単に「ダイナミックブレーキ」などとカナ表記しかねない部分なので、訳者GJ!である。

 アメロコのボンネット(フードという)上部がキノコのように張り出しているものがあるが、
これが発電ブレーキの放熱器であり、その上にはファンがある。
アメロコウォッチャー(トレイン・スポッターという)は、そのファンの数を気にする。


「力行」にはルビを振ってまでこの日本語を充てていた。すばらしい。ほかにも多数のGJがあった。


●惜しい!

残念だったのは、アメリカはマイル表示が普通であって、機関車のスピードメーターもマイル表示なのに、字幕がキロ表示だったことだ。

「時速128km」という字幕でも、映像は80MPHのスピードメーター。
「スタントンの大カーブの制限速度は時速25km」という字幕の後ろの映像は、「15」(MPH)と書いた標識。
「91.7km標」(だったような気がする)という字幕の後ろの映像は57マイルのポスト。

それぞれ

「時速80マイル(約128km)」
「~時速15マイル(約25km)」
「57マイル(約91.7km)標」

などとすればいいのに。


■機関車について

この映画では、貨物列車をGEAC4400CWが重連で牽引している。しかし、実際に起こった事故ではEMDSD40-2が単独で牽引していた。これはおそらく、映画の視覚的な効果を狙ってのことだと思う。また、時速80マイル(時速128km)ということに信憑性を持たせるためかもしれない。

しかし、SD40-2が暴走する列車に追いつき、連結したときには時速80マイルだった(と思う)。ということは、。SD40-2はそれ以上のスピードで走らなければならないのだが、本機の最高時速は65MPH(約時速104km)である。このへんを言うのは野暮というものか。なお、たしか、劇中、「いま時速104km(←数値はうろ覚え)でおいかけてる」というようなセリフがあった。これはそれを踏まえているのか。

また、AC4400CWは、その車名どおり4400馬力。これが重連で引く貨物列車を、果たして3000馬力のSD40-2のダイナミックブレーキで、引っ張って止められるのだろうか。これは、私にはその計算ができないので真偽は不明である。


さて、wikipedia英語版によれば、撮影には複数の車両が使われたとある。

●#777、#776…カナダ太平洋鉄道からのリース。
この2両が、無人の貨物列車の牽引機。4両とも、撮影終了後も映画の塗装のまま使用されている。
・#777…前半#9777、後半の傷んだ姿は#9782
・#776…前半#9758、後半の傷んだ姿は#9751

●#1206、#7375+#7346…ホイーリング・アンド・レイク・エリー鉄道からのリース。
#1206が主人公。#7375+#7346は「失敗した作戦」のため爆発炎上した機関車。

・#1206…3両使用。#6353と#6354。もう1両は運転台のショット。
・#7375…#6352(エキストラ的に出ている#5624も)
・#7346…#6351(エキストラ的に出ている#5580も)

#7375+#7346は、#777+#776に押し出される形で脱線・転覆したあと大爆発する。軽油を燃料とするディーゼル機関車が、そこまでの派手な爆発をするものだろうか?

●#2002(施設見学の児童たちを乗せた列車)…サザン・ペニンシュラ鉄道のEMDのGP11

■機関車の塗装について

実際の事故は、CSXが起こしたものである。CSXの塗装は、くすんだ紺/グレー/黄色である。
こちらのサイト「Crazy 8's the CSX report」からリンク)

対して、映画の中ではこのような塗装である。
20110129.JPG公式サイトよりキャプチャ・トリミング)

この塗装はサンタフェ(アッチソン・トピカ・サンタフェ鉄道(ATSF))の塗装を連想させる。こういうものだ。
ATSF C44-9W #637 4 (2)

上記写真はAC4400CWの前身というべきC40-9W。

AC4400CWの製造開始は1993年。ATSFは、1996年にBN(バーリントン・ノーザン鉄道)と合併し、BNSF鉄道となった。実際にATSFカラーとなったAC4400CWの画像は見つけられていないが、C40-9WにはATSFの塗装パターンを踏襲しているものがある。意図的に「赤+銀」にした上記のような車両もあれば、BNSFの濃緑+オレンジをベースに、この「インディアンの羽根」をイメージしたロゴをあしらったものもある。
Smokin' It Up


興味深いのは、CSXの事故をもとにした映画なのに、BNSFの前身たるATSFに似た塗装としたことである。営業エリアは、CSXが東海岸、BNSFはそれに接続するように中部から西海岸であるので、ライバル会社を貶める意味合いはないと思う。単に「かっこいい」ためかもしれない。


(まだ続く)
映画『アンストッパブル』をより味わうために(3)

(上記にリンクしたwikipediaの記事は、私が立項したものや大きく改稿したものが多数あります。こんな形で役に立つとは。)


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