北海道の日高町を日勝峠に向かって登る途中に新清見トンネルがある。長さ910メートル。その手前右側に、旧道が見える。

左に見えるのが新清見トンネル。手前の橋(新清見橋)を渡っていると、車窓右に「旧道だろうな」と思える橋がある。その向こうには隧道も見えている。
右側の橋は幅も狭いし、これは旧道に間違いなしだろう…?

なんかおかしくないか。幅、ではなく、その処理というか…。
だってほら、センターラインが…。

登り側の写真がごっそり切り取られている。
断面を見てみると、非常にきれいだ。まるで最初から「いまの形」に作られているかのようにすべすべしている。
ノーファインダーで撮ってみた。

鉄筋の断面から錆が垂れている。酷材たる石まで断面を見せているので、工事にあたり、橋の5分の2ほどをカットしてしまったのだ。
川の高さに降りてみる。

PC桁がスッパリと切断されているだけでなく、前後の橋台は崩されている。

西側の橋台部分。右側(北側)がごっそりと欠き取られている。コンクリートの切断面、「刃」が回転した痕跡がある。
画像右の欠き取られた部分を見るに、本来はこれだけの幅があったのだ。橋台を崩した跡には新橋の橋台が設置されている。崩された橋台の「中身」は土砂だろうから、切断面が崩れてこないように矢板がカマしてある。

桁の裏側。左側がカットされたているのだが、これだけ見ても、カットされたようには見えない。
上にあがって対岸へ。
新清見橋(現道)の工事は、清見橋を欠き取らないと進行できないはずだ。では、通行量の多いこの日勝峠ルート、どうやって1車線分になった橋の交通を確保していたのだろうか?
現状から推察するに、清見橋を半分欠き取ったあと、反対側(上記画像の左側)に仮橋を設置し、2車線を確保していたのではなかろうか。
(8月28日追記)
8月28日、
@Einshaltさんから上記架設を裏付ける、工事中の画像をいただいた。

この画像右側、トラックが載っているのが仮橋だ。
これを見て思うのは、PC桁を縦に割っても、通常の道路として使用できるほどのきちんとした強度が確保されているのか、ということだ。まさかそんな使用法は想定していないのだろうが、当然、その点は確認した上でこの形態になっているのだと思う。
そして、新たな謎を
@LEVEL_7Gさんが提起した。PC桁を半裁にする工事は、供用中にしたのか否か?
一般的な道路工事を見ていると、カッターで切断するのは、その外側に少しの余裕があればできそうだ。この橋でいえば、センターラインにカラーコーンを置き、それより内側で作業をするならば、片側車線だけを不通にすることで作業は継続できるのではないか、ということだ。じっさい、センターラインから切断面までは
1mはないけれど…というくらいの余裕がある。一時的に仮橋を2車線分作ったのでは…という可能性もなくはないが、現地では、「仮橋の跡」は明確に1車線分しかないこと、また、この規模の国道でも数時間の片側交互通行で対処できるものと考えるので、それはないだろうと思う。
貴重な画像をありがとうございました>Einshaltさん
(8月29日追記)
@3710dc205さんから、
「カットされた側の主桁を挟んで横梁の構造が変わっているようなので、残った5主桁でもともと構造として完結している気もします。旧橋を拡幅したときに2連目の桁をかけて目地でつないでいた可能性もあると思います。6主桁以上のPC桁を切って5主桁にするのはできそうですが、主桁同士がPC鋼材で横方向に連結されているのを一度解除して連結し直す必要があると思います。そうなるとそこそこ大変な工事になりそうな。もともと5主桁のPC桁だとすれば主桁に支持されて側方に張出したRCの梁・スラブを切り落とすだけなので、供用しながらでも施工できると思います 。」
というご指摘をいただいた。たしかにおっしゃるとおり。上の、桁裏の画像を見ても、橋脚はPC桁の縦桁5本の幅しかなく、その左側=カットされた部分との境は、橋脚とは別の種類・仕上がりのコンクリートになっている。
ということは、ご指摘の中でも相当譲歩のある「6主桁を5主桁に」ということは考えづらく、分離しやすい部分が(たまたま?)センターライン付近であった、と考える方が自然であろう。
貴重なご指摘をありがとうございました>3710dc205さん
この橋がある場所は冒頭のとおり。現在の地形図には、この旧道は、このとおり抹消されている。

(カシミール3D+電子国土)
旧道を掲載しておく。

(カシミール3D+山旅倶楽部)
新清見トンネルはちゃんと見ていないが、どうやらちゃんとした銘板があるどころか、関係者の氏名を記した銘板まである。詳細は「
旅鴉 北海道179市町村をゆく」というサイトに掲載されていた。ぜひ。