岐阜県の八百津町にはいろいろな珍しいものがある。丸山ダムはダム好きの人たちの間で相当に有名で、その「珍しいもの」も、ダムに由来するものも多い。この旅足橋(たびそこはし)も、そのひとつである。 すごくさりげないので、一見、「ふつうの吊橋とどこが違うの?」と思うかもしれない。 通常、吊橋が吊っているのは床版ないし補剛桁である。その場合、ケーブルから垂直に垂れ下がるハンガーロープが補剛桁を吊るのだが、この旅足橋はケーブルが補剛桁の上弦を兼ねている部分がある。この構造は、アメリカの橋梁エンジニア、デビッド・バーナード・スタインマン(David Bernard Steinman)が考案したもので、「Florianopolis型」(フロリアーノポリス型。「Florianpolis橋」と誤記されていることもあるので注意、元はブラジルの地名である)という。目的は、タコマ橋崩壊に鑑みた耐風性の向上らしい(未確認)。 さて、先に側面を見せたが、まずは西から。 これでも国道418号である。細い。主塔は鋼製。 ちょっと進む。補剛桁上弦とメインケーブルの関係が見えてくる。 主塔のあたりから見ると、ハンガーロープに視線が行く。 銘板その1。「たびそこはし」。「~ばし」とは濁らない。 銘板その2。「旅足川」。 では、補剛桁とメインケーブル、ハンガーロープの関係を見ていく。 端部。この補剛桁のトラス、メインケーブルと一体化しているんだから相当にぐにゃりぐにゃりと曲がるような気がするのだが、このようにガセット結合となっている。 トラスの上弦がなくなる部分。 メインケーブルとはピンで結合されているように見える。この構造は後述する。 このような形で、メインケーブルが補剛桁と一体化している。 独立した垂直材。トラス部分だけを見ると、上に向けて\|/という形になった真ん中の部分。どうやってケーブルと接続されているかというと… このように、ガッチリとクランプで留めている。 別角度。 別角度。 こんどは/|\型の部分。 根元。 こう見ると、メインケーブルなどほとんど動かないのではないかとおもうほどの剛結っぷりだ。 銘板3。「昭和二十九年四月二十九日竣工」。天皇誕生日を指定したか。 銘板4。「旅足橋」。 東側主塔。 補剛桁東側の端柱にあった製造銘板。 昭和29年(1954) 岐阜県建造 内示(昭和14年)二等橋 製作 株式会社横河橋梁製作所 『横河橋梁八十年史』にも、写真が載っている旅足橋。それでも、どういう構造だったかなどは「きわめて珍しい補剛トラスをもった吊橋」という程度なのがすごく残念だ。 旅足橋。見ると意外に(?)衝撃的だった。ダムマニアのみなさんもぜひ。 PR |
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